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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年2月14日)

投稿日 : 2013年02月14日

「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。

 

注目すべき海外メディアの日本報道
(1月29日~2月12日)

2013年2月14日

 

 1. 外交:平和憲法改正の可能性に注目が集まる

 

安倍総理が国会で、憲法改正手続きを定めた憲法96条を改正する意向を改めて明言したことを受け、海外メディアでは、「タカ派」と称される安倍総理による憲法9条改正の可能性に注目した。ル・モンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員は、4日付の記事で、安倍総理は9条の改正を目指しているが、国内外への影響の大きさ等を考慮し選挙期間中よりはトーンを弱め、今回は96条の改正に取り組むとの方針を示すにとどめたと報道。同じくフランスのル・フィガロ紙もレジス・アルノー記者による1日付記事で、安倍総理の目標は憲法9条という「足かせ」を外すことだが、そのためには憲法96条の改正に加え、国民の説得が必要な上、海外からの反発も予想されることから道のりは遠いと指摘した。一方で、ASEAN諸国からは憲法改正の動きに期待する旨の報道も見られ、2月2日付コンパス紙(インドネシア)社説は、国際環境が変化するなかで日本が平和のために防衛力の強化を目指すのはもっともなことで、中国とバランスを取るためにもアジアには強い日本が必要だと主張、地域の平和と安定に貢献してきた戦後日本の歩みを見れば心配は不要だと論じた。

 

2. 日中関係

 

日中関係については、山口公明党代表の訪中等、関係改善に向けた動きが報じられた。ニューヨーク・タイムズ紙のマーティン・ファクラー東京支局長は、1月31日付で、安倍総理が中国首脳との会談に前向きで戦略的互恵関係の再構築をすべきとの姿勢を示したことを報じた。また、中国共産党系の環球時報も村山元総理の訪中を報じるなどした。オランダのNRCハンデルスブラット紙の29日付記事は更に、山口代表が安倍総理の親書を習総書記に手渡したことにより戦争が回避されたとし、早期の日中首脳会談実施への期待を報じた。他方、2月3日付ロイター通信は、日中首脳会談の開催は3月の習氏の国家主席就任後のことで、その効果も不透明で楽観はできないと指摘。ル・モンド紙のフィリップ・ポンス記者も、日本政府が尖閣諸島の領有権を巡る問題は存在しないとの立場に固執し互いの立場を否認し合っている限り解決は容易ではないとの見方を示した。

 

しかし、中国海軍が射撃管制用レーダーを日本の艦艇に照射したとの2月5日付の日本政府発表を受け、日中関係の今後を懸念する論調が再び多く見られた。9日付エコノミスト誌(英国)は、中国側は昨年9月以降行動を抑制しておらず、尖閣諸島を巡って両国間で武力紛争が起こる可能性はゼロではないと指摘。8日付フランクフルター・アルゲマイネ紙(ドイツ)、6日付バンクーバー・サン紙(カナダ)も、それぞれ、両国で国粋主義的な動きが完全に収束するまで摩擦が戦争に発展しないとは言えない、中国政府は国内問題から人々の目を逸らすためにナショナリズムを煽っており、何らかの間違いを機に重大な紛争が発生し得る、とした。更に、イタリアのコリエーレ・デッラ・セーラ紙の6日付記事は、現在の尖閣諸島を巡る状況が、過去に中国が領土問題を巡って武力を行使した諸条件に合致していると指摘した。一方で、ドイツのハンデルス・ブラット紙は、8日付記事で、先の戦争を巡る日中間の確執は根深いが、戦争となれば、両国は経済面等であまりに多くのものを失うとし、戦争が起こる可能性はないだろうとより楽観的な見方を示した。

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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