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注目すべき海外メディアの日本報道(2015年5月20日)

投稿日 : 2015年05月20日

注目すべき海外メディアの日本報道

(5月14日~5月15日)

 

平成27年5月20日

 

安保法制関連法案の閣議決定を各国メディアが報じる

5月14日夕方、日本政府は臨時閣議を開き、安全保障法制の関連法案を閣議決定した。閣議決定後には安倍首相が会見し、国民に向けて法案の意義を説明した。閣議決定されたのは、新法の「国際平和支援法案」と、自衛隊法を含む10本の既存の法律の改正を一括して一つの法案にまとめた「平和安全法制整備法案」の2本。法案は、集団的自衛権の行使について、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃により、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を「存立危機事態」と位置付け、そうした際には自衛隊が防衛出動し、武力を行使することが可能であるとした。また、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態を「重要影響事態」と位置付け、「周辺事態法」を改正して「重要影響事態法」とし、そうした際に行う後方支援には地理的な制約がないことを明確にしたほか、支援の対象もアメリカ軍に限定しない等とした。

 

総理大臣官邸前では、14日朝から法案に反対する約500人(主催者発表)が集会を開いた。法案は15日に国会に提出され、政府・与党は、大幅に会期を延長してでも今国会で法案を成立させたいとしている。

 

在京の外国メディアも、戦後日本の安全保障政策における大きな転換とされるこの度の閣議決定について速報している。米国メディアでは、ロイター通信電子版が、竹中清記者による「安倍首相、新たな安全保障関連法案は抑止力を高め、戦争のリスクを減らすと説明」を掲載。新法案は、中国が軍事的に台頭する中、日本が新たな日米防衛ガイドラインに沿って日米同盟においてより大きな役割を果たすことを可能にするなどと報じた。また、同社はリンダ・シーグ、竹中清両記者による「安倍内閣が安全保障関連法案を承認、有権者は警戒・困惑」も掲載し、与党が多数の議席を占める中、法案は国会を通過するものと思われるが、世論調査によれば、有権者は困惑しており、賛否が大きく分かれている等と報じた。AP通信電子版は、山口真理記者による「安倍内閣、自衛の役割を拡大する法案を承認」を掲載。「自衛」の概念をより広く定義し、自衛隊が国際的により大きな役割を担うことを可能にする法案が閣議決定されたが、国民の支持は二分していると報じた。ブルームバーグ電子版は、イザベル・レイノルズ、高橋舞子両記者による「安倍首相、安全保障関連法案を閣議決定後、軍事力の使用を制限すると明言」を載せ、同法案を巡る国民の反対と地域での緊張を鎮めようとする首相の姿勢を報じた。ワシントン・ポスト紙電子版は、アナ・フィフィールド東アジア総局長による「安倍内閣、戦後の安保法制を緩和するための法案を承認」を掲載。法案が実現すれば、米国が攻撃を受けた場合に日本の自衛隊の支援を受けることが可能になるだろうが、国会での審議は激しいものになると予想され、法案による安全保障政策の転換は日本国民の間でも大いに議論を呼んでいる等と報じた。

 

AFP通信英字電子版(フランス)は、長谷川恭子記者による「安倍内閣、軍事力を拡大するための法案に合意」を載せ、閣議決定について、平和国家である日本が、混乱が高まっているアジア太平洋地域において自らの立ち位置を定義し直そうとする動きであると報じた。フィナンシャル・タイムズ紙(英国)のロビン・ハーディング東京支局長による「日本の軍事改革、アベノミクスを脅かす」と題する記事を掲載。困難な経済改革を成し遂げるための政治的資源を損なうことになるとの指摘にも関わらず、安倍首相は安全保障面での規制緩和を推し進めようとしていると報じた。南ドイツ新聞電子版(ドイツ)は、クリストフ・ナイトハート東京特派員による「日本政府、武器に忍び寄る」を載せ、新たな「平和安全法制」によれば、日本は戦闘に参加するのではなく、後方支援を行うに過ぎないが、戦後、厳格に防衛に専念してきた日本の安全保障政策においては大きな転換だとの見方が出ていると報じた。中国メディアでは、新華通信社英字電子版が、14日付で「安倍内閣、自衛隊の役割の拡大に向け、安全保障法案を承認」を載せたほか、翌15日付で在京の朱超特派員による解説記事「日本の新たな安全保障法案、地域の平和を脅かす」を掲載した。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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