注目の日本報道

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注目すべき海外メディアの日本報道(2012年11月20日)

投稿日 : 2012年11月20日

1.日米関係

(1)11月10日、日本の防衛省は、日米の防衛指針に係る対話の開始を発表した。これについて、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)の林由佳記者は、12日付「日本:日米安全保障協力を見直し」で、中国の軍事力拡大を背景に、米国がアジアにおける日本の安全保障に対しより大きな役割を果たしていく可能性を示すものと伝えた。

 

2. 日中関係

(1)ビジネス・タイムズ紙(シンガポール)の14日付社説「懸念の原因:中国による領有権の主張」では、中国は東南アジア諸国、インド、キルギスタン、モンゴル、カザフスタン、アフガニスタン、韓国との間で数多く領有権問題を抱えているが、米国は、日本が中国等との間で領有権を争っている島々は日米安保条約の対象になると述べており、東南アジア諸国も中国への対抗策として米国との軍事・政治的関係を強めていると指摘。中国は周辺各国から敵視されることが真に自らの利益となるのか、自問すべきと主張した。
http://www.businesstimes.com.sg/premium/editorial-opinion/editorial/cause-concern-beijings-territorial-claims-20121114

 

(2)ル・モンド・ディプロマティーク紙(フランス)11月号の「シナ海におけるナショナリズムの戦争-中国、日本、韓国、ベトナム、フィリピン間の緊張」は、南シナ海、東シナ海における領有権問題の拡大は、如何なる機会をも利用して領域を変更し自国の利益拡大を図ろうとする中国の新政策を象徴するものと指摘。この背後には、これらの問題と利害関係を持つ同国の経済的・政治的勢力の存在があると指摘した。また、中国政府内では外交部が権力争いに敗れて発言力を失っているほか、外交指導部内の関心は対米関係に集中していると指摘。上記海域での争いが戦争へと発展し得るリスクが高まっているにも関わらず、それを制御する政治的システムが弱体化していると警告した。

 

(3)オ・エスタード・デ・サンパウロ紙(ブラジル)は、12日付でプロジェクト・シンジゲートのハーバード大学のジョセフ・ナイ教授による論説「日本、そしてナショナリズムへの転回」を掲載した。ナイ教授は、日本で、安倍自民党総裁や大阪市の橋下市長などナショナリストとして知られる政治家が注目されるとともに、若者が過去20年に渡る不況と政治の混迷に失望している現状を指摘。その上で、穏健なナショナリズムと政治改革が組み合わされば良いが、逆に急進的ナショナリズムがポピュリストの台頭を招いた場合には、近隣諸国の反発など、日本および世界にとって望ましくない事態となると分析した。

 

3.東日本大震災

(1)ソウル放送(SBS)(韓国)は、11日付「死の地から希望を…先端技術で復活目指す」で、津波で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市にコンピュータ制御式の最先端水耕栽培工場が建設され、収穫された野菜が復興の象徴として人気を集めていると伝えた。最先端技術が、絶望の中にあった地域、人々に希望を与えているとした。
http://news.sbs.co.kr/section_news/news_read.jsp?news_id=N1001477963

 

(2)エコノミスト誌(英国)の10日付「六ヶ所村の板挟み」は、2030年代末までの脱原発を目指すとしながら、一方で六ヶ所村での核廃棄物再処理を進め、2050年代までにはフル稼働で国内の原発に燃料を提供できるようにするとしている野田政権の矛盾について、その背景を分析。雇用と収入の面でほぼ完全に再処理施設に依存している同村の事情に加え、政府の観点として、同施設を建設した日本原燃の最大株主が東京電力であり、六ヶ所村での計画が廃止されれば、それによる負債を抱える東電がますます危機に立たされるとの点を指摘した。更に、米国、英国、フランスなどの国々が日本の脱原発に深刻な懸念を表していることも、政府の脱原発計画を曖昧なものにしている一因だと指摘した。
http://www.economist.com/news/asia/21566018-governments-fudge-its-nuclear-future-remains-unconvincing-rokkasho-and-hard-place

 

4.日本経済

(1)12日、日本政府は今年7-9月期のGDPが前期比マイナス0.9パーセントであったと発表した。ワシントン・ポスト紙(米国)のチコ・ハ-ラン東アジア総長は、13日付「日本で景気後退の恐れ」で、欧州での需要低下と悪化した対中関係が輸出に影響していると指摘。米中経済が回復を続ければ、2013年に日本経済が若干上向く可能性もあるが、日本は高齢化と労働人口減少の問題を抱えており、負債対GDP比が先進国中最も高いことから、経済回復のための追加の景気刺激策を打ち出すことは難しくなっていると報じた。
http://www.washingtonpost.com/world/japanese-economy-contracts-economists-officials-predict-a-recession/2012/11/12/e4c1ad34-2ca8-11e2-a99d-5c4203af7b7a_story.html

 

5. その他

(1)ワシントン・ポスト紙(米国)のカツヨ・クワコ記者、稲島剛史記者、ユリイ・ハンバー記者は、11日付「喉が渇いた国々が水資源豊かな日本の森林を買収」で、過去20年間の不動産価格下落、土地登記の不備、水利権を含む森林購入に関する規制の甘さを背景に、中国を含む海外の投資家が日本に注目していると伝えた。同紙によれば、泉から汲み上げた水を輸出している日本企業もあるが、日本の水資源に対する海外投資家の関心の高まりは、正に水供給について世界的な懸念が生じている最中に起こっており、更に水資源の管理は、食糧確保、国家安全保障の面でも重要である。
http://washpost.bloomberg.com/Story?docId=1376-MC14UW6JTSF901-28QRC1KGFRPVDP8ATLO123P3OJ

 

(2)FPCJでは、11月12日に千葉県へのプレスツアー「『植物工場』最前線」を実施した。ツアーに参加した韓国のテレビ局MBCと KBSは、ツアー翌日のニュース番組の中で、千葉発のニュースとして植物工場の最先端の研究を紹介した。また、Bloomberg News(米国)のカメラマンによる写真もウェブ上で配信されている。
News Today Morning (MBC)
「将来の農村の姿は?ロボットが働く植物工場」
http://imnews.imbc.com/replay/nwtoday/article/3180318_5782.html

 

KBS NEWS 
「日本の植物工場、高付加価値産業を創出」
http://news.kbs.co.kr/world/2012/11/13/2566585.html

 

Bloombergカメラマンの写真配信サイト
http://www.gettyimages.co.uk/Search/Search.aspx?EventId=156433139&EditorialProduct=News#1

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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