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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年11月22日)

投稿日 : 2013年11月22日

注目すべき海外メディアの日本報道

(11月11日~11月19日)

2013年11月22日

 

1.フィリピンの台風被害に対する日本の支援を現地紙などが報じる

猛烈な台風30号により多数の死傷者が出たフィリピンへの各国の支援が本格化している。日本政府も11月11日午前に国際緊急援助隊の医療チーム25名の派遣を発表。また、12日に1千万ドル(約10億円)の支援を発表したのに続き、15日には2千万ドルの緊急無償資金協力を追加することを明らかにした。日本政府がアジア開発銀行に拠出している基金からも2千万ドルが支援されるため、日本からの支援額は計約52億円となった。13日には、過去最大となる千人規模の自衛隊員を派遣する方針も発表した。

 

現地のフィリピン・デイリー・インクワイアラー紙は、「被災地やフィリピン政府のニーズに合った支援をできる限り行う」との菅官房長官の発言などを報じた11日付のAP通信(米国)記事「日本、医療チームをフィリピンへ派遣」を転載した。また同紙は、13日付でTarra Quismundo記者らによる記事「日本の医療チームが恩返し」を掲載。11日夜の日本の医療チームのマニラ到着を写真付きで紹介したほか、「私たちは、フィリピンが2011年に日本に対してしてくれたことを決して忘れない」とのチームリーダーの言葉を伝えた。別の現地紙、フィリピン・スター紙は11日付の記事「増加する台風『ヨランダ』被災者への支援を多くの国が寄せる」において、日本を含む各国が表明した支援内容(同日時点)を紹介。また、12日付の記事「NBAが救援活動に参加」も日本からの支援に言及した。

 

日本の対フィリピン支援については、欧米メディアも日本と中国との競争関係を絡めながら報道。14日付フィナンシャル・タイムズ紙(英国)掲載のディミトリ・セヴァストプロ特派員による香港発の記事「フィリピン支援により、中国の限界が露呈」は、中国による支援の少なさを報じ、中国の不在が目立つ一方で、日本は1千人もの記録的な数の自衛隊員を救援のために派遣したと伝えた。14日付ル・フィガロ紙(フランス)掲載のピエール・ルスラン記者による記事「フィリピン:台風と災害支援の観点から見る地政学」は、福島原発事故の際に自衛隊の評判が日本国内で高まったことに触れた上で、フィリピンへの自衛隊派遣も平和憲法改正を掲げる安倍政権の政策の一環であると指摘。併せて、中国の台風支援は比較的少額に留まっているとした。更に、15日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)掲載の記事「アジアのライバル関係がフィリピン支援で役割を果たす」は、米国、英国、日本などの大規模な被災者支援に触れた上で、こうした支援は国際的寛容を表すだけでなく、域内で最も急速に台頭する中国に対する先手を打とうとあからさまに示したものでもあると指摘。日本政府関係者が、日本の支援について、主に人道的なものであるとしつつも、安全保障関係の強化とも関係していると認めたと報じた。また、「フィリピンは地理的に日本に近く、戦略上重要なパートナーである」との小野寺防衛相発言も伝えた。

 

 

 

2.   ケネディ新駐日米国大使就任を米国メディアが盛んに報道

11月19日、キャロライン・ケネディ氏が皇居で、オバマ大統領からの信任状を天皇陛下に手渡す「信任状捧呈式」に臨み、新駐日米国大使に正式に就任した。ケネディ氏は、宮内庁が用意した儀式用の馬車で皇居に向かったが、沿道には数千人が詰めかけ、手を振るなどして歓迎した。同氏は、来日前の12日には、ワシントンの米国務省で就任宣誓を行ったほか、佐々江駐米日本大使が主催した大使公邸での就任祝賀レセプションにも出席。「日米の絆を深めたい」と就任に向けて抱負を述べていた。

 

米国では、CNNCBSABCNBCFoxなどのテレビ各局が、12日~13日にかけて複数の番組で就任宣誓や就任祝賀レセプションの模様を伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙は13日付でマイケル・ゴードン記者による記事「ケネディ氏、著名な政治家が長く務めてきた駐日大使への就任を宣誓」を掲載。ケネディ氏は日本の専門家ではないが、ホワイトハウスと密接に結びついており、彼女の大使就任は日本政府の米政府への影響力拡大を示すものと見られる可能性が高いと指摘した。14日付ワシントン・ポスト紙掲載の記事「日本、ケネディ大使を歓迎」は、就任祝賀レセプションを詳細に報じた上で、ケネディ氏は初の女性の駐日米国大使であり、その意味は大きいと指摘。女性のリーダーを増やし、女性が輝く社会を目指そうとの安倍総理の方針にも合致すると論じた。クリスチャン・サイエンス・モニター紙は15日付で「ケネディ大使、最高のタイミングで日本に到着」を掲載。米軍基地の問題などにより日本国民の間で米国への親近感が薄れる中でケネディ大使を赴任させたことにより、米国は、大物外交官を駐日大使として送り込んでいた輝かしい時代が戻って来たとのメッセージを日本に伝えることができたなどと論じた。19日の信任状捧呈式当日の様子についても、AP通信が同日付でエレーヌ・カーテンバック特派員による記事を配信し、ケネディ氏の姿を写真に収めようと多くの市民が沿道に並び、異例にもNHKが同氏の皇居到着を生中継したと報じた。ロイター通信も、馬車での移動の様子や、信任状捧呈式、市民の声などを報じるビデオニュースを即日配信した。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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