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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年10月29日)

投稿日 : 2013年10月29日

注目すべき海外メディアの日本報道

(10月7日~10月25日)

2013年10月29日

 

1.日韓関係改善を勧める声を韓国メディアが報道

日韓両国の新政権発足後、安倍総理と朴槿恵大統領との会談は開かれておらず、両首脳がともに出席する国際会議も当面予定されていない。両国関係の現状を危惧する論調が韓国メディアにも目立ち始めている。

 

10月8日付中央日報日本語版は、パク・スンヒ・ワシントン総局長による記事で、ワシントンでは「日本が韓国よりはるかに大きな存在であることを実感させられるケースが少なくない」とし、米国から見て財政難の自国に防衛費の一部肩代わりを申し出た「ノーと言わない日本を嫌う理由はない」と指摘。「もう一つの同盟」国である韓国の反対は「厄介なだけだ」と論じた。11日付朝鮮日報は、「首脳同士の顔合わせすら気まずい韓日関係が心配だ」との社説を掲載。15日付中央日報日本語版は、韓国各紙の関係者らの在日米軍基地視察中に実施された日韓記者の懇談について、「冷静であるべき言論さえ、歴史の問題に関する限り超然とするのが難しい残念な現実を確認しただけ」としながらも、「韓半島の有事」の際には、維持費を日本国民が負担している在日米軍が防衛する任務を担っているとも報じた。

 

18日付朝鮮日報日本語版は、車学峰東京特派員による記事で2001年に都内で線路に落ちた男性を助けようとして亡くなった韓国人留学生を顕彰した奨学金の授与式を紹介し、初めて両首脳が「同時にメッセージを寄せ」たと伝えた。17日付聯合ニュースイ・セウォン東京特派員の記事で、授与式で読み上げられたメッセージについて報道。同日付中央日報日本語版は、「嫌な人とも対話するべき」で、批判を受けたとしても、日韓での「対話が必要」という「当然の主張をしようと思う」と述べている。19日付朝鮮日報日本語版は、金大中顧問によるコラム「韓日関係、いつまで放置するのか」で、指導者は「もっと冷徹で、物事の分別があるべき」であり、「時には国民感情を乗り越えて未来を見なければならない」と忠告した。

 

 

2.   日本の原発政策の行く末に各国メディアが注目

福島第1原子力発電所で10月9日、塩分除去装置の配管から汚染水が漏れ、水をかぶった作業員6人が被曝した。東京電力は、作業員の健康への影響はないとみている。

 

10日付トロント・スター紙(カナダ)は、AP通信(米国)の山口真理記者による記事「福島原発作業員、パイプを取り違え放射能汚染水を浴びる」を掲載。同原発では人的ミスによる事故が相次いでおり、東電の危機対応能力に対する批判が高まっていると伝えたほか、「度重なる事故は作業環境の過酷さを示すものと考えられる」との原子力規制委員長の発言も報じた。16日付ガーディアン紙(英国)掲載のジャスティン・マカリー東京特派員による記事「日本の被災地、亀裂は原発内に留まらず」は、新たな事故や放射能漏れごとに、東電が直面する課題の大きさが明らかになってきており、福島原発内の作業員らはモラルの急激な低下、健康問題、将来への不安に苦しんでいると伝えた。

 

また、小泉純一郎元総理が10月、名古屋や千葉県内での講演で「原発をゼロに」と語り、国会でも議論されるなど注目を集めたが、15日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)が社説「福島の政治」にてこれら発言を取り上げた。「かつての原発推進者である元首相が、今では原発の全面禁止を望む」との小見出しを据え、小泉氏の原発に対する考えの転換は衝撃的なものであり、原発を巡って政治家の間に大きな分裂が存在することを示していると指摘した。

 

 

3.   特定秘密保護法案への懸念を各国メディアが報道

国の機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案が10月25日、閣議決定された。安倍総理は同日、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案とセットで今国会成立を目指す意向を表明。防衛、外交、スパイなどの特定有害活動の防止、テロ活動の防止の4分野で「漏洩が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある」と行政機関の長が判断した場合、特定秘密に指定し、指定期間を5年で更新可能とするもの。一方、特定秘密の指定範囲があいまいで、半永久的に公開されない可能性があるなど、報道の自由や国民の知る権利を阻害するとの懸念も高まっている。

 

10日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)電子版は、Eleanor Warnock記者による記事で、安倍総理は防衛・外交政策を一本化しようと努めているが、本法案が足を引っ張っていると分析。世論調査では77%が反対しており、特定秘密とは何か、指定期間の延長が恣意的に行われないかなどの点で、ジャーナリストや法律家、市民は非難の声をあげていると報じた。19日付エコノミスト誌(英国)は、東京発の「日本での報道の自由:秘密と嘘」を掲載。かつてはソ連のKGBから「スパイ天国」と評され、他国に比べ情報漏洩に対する刑罰が非常に軽く、同盟国、特に米国から不満が寄せられてきた日本で、安倍総理は強力な新法を成立させようとしているとした。記者が政府や官僚から情報を受け取る特別なチャンネルを持てる特権的な記者クラブ体制から、公務員がジャーナリストに一切話さなくなるという大転換が起きるかもしれず、現状に改革は必要だが対極に走る必要はないとの識者の声を伝えた。24日付ロイター通信電子版は、Kiyoshi Takenaka記者らによる記事で、第二次大戦時の厳しい統制により長く日本ではこの種の法制度はタブー視されてきたが、安倍政権は両議院で多数派を占めており、成立する見通しと報道。安倍総理が求める、市民の権利よりも義務を重視した憲法改正と並行した動きと見る識者の声を報じた。福島第一原発の危機や中国との緊張関係なども特定秘密となり得るとして、行政の不正や失態に関する取材活動が大いに損なわれる恐れがあるとの専門家の見方も伝えた。

 

25日付朝鮮日報(韓国)日本語版は、車学峰東京特派員による記事で、日本版NSCには日本が「安全保障上の脅威勢力」とみる中国や北朝鮮の担当チームも置かれる予定と紹介。同法案については、すでに法で規定されているにもかかわらず罰則を「大幅強化」した法律を新たに設けることに対し、「言論の自由や国民の知る権利を侵害する」と批判があると説明した。同日付新華社通信(中国)英語版は、東京発の「日本、情報漏えい者への罰則強化の見込み」を掲載。同日付サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(中国・香港)電子版は、AFP通信(フランス)の「物議を醸す秘密保護法案を閣議決定」を転載した。米国政府によるメルケル独首相へのスパイ活動が取り沙汰される中、米国からの長年のクレームを受けてきた、日本のおしゃべりで悪名高い官僚に栓をすることを狙った法案だと説明。国民の知る権利に関する十分なセーフガードがないなどの日本弁護士連合会の声も伝えている。

 

26日付フランクフルター・アルゲマイネ紙は、カーステン・ゲアミス東京特派員による記事で、本法案は日本の有名な法律家から批判を受けており、国民の権利を抑制する憲法改正を目指すという安倍総理らの権威主義的な考え方の延長線上にあると指摘した。30日付インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、「日本の反自由主義的な秘密保護法案」との社説で、国民の知る権利を損なう法案が成立しようとしていると報道。何が秘密であるのかガイドラインはなく、政府はどのような不都合な情報でも秘密に指定することができるようになるかもしれないと論じ、ジャーナリストを投獄すると脅すことですでに不透明な政府をより見えにくくしようとしているとした。NSC内での中国・北朝鮮向けの部署の設置は安倍政権の対立的な姿勢を示すものであり、市民の自由を損ね、東アジアで日本政府への不信を拡大しそうなタカ派的な外交政策の新たなサインでもあると批判している。

 

 

<関連リンク>

外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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