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実施日 : 2013年07月17日

報告:参院選後の安倍政権見通し(2013年7月17日)

投稿日 : 2013年08月21日

FPCJでは、星浩 朝日新聞特別編集委員をお招きし、「参院選後の安倍政権見通し」をテーマにお話しいただきました。参加者は計65名。外国プレス参加者は36名に上り、選挙後の安倍政権の行方に対する高い関心が窺えました。

 

星氏はまず、来る参院選の焦点として、
(1)「安倍自民党が衆参両院で多数派となり、国会でのねじれ現象が解消されるか」
(2)「自民・日本維新の会が衆議院で憲法改正に必要な3分の2以上の議席を持つ中、両党が参議院でも3分の2以上の議席を獲得できるか」の二点を挙げました。
一点目については、「各紙世論調査結果を見る限り、選挙では自民が70議席程度、公明が10議席程度を獲得し、参院での与党議席数が過半数を超えることが確実な情勢である。ただし、自民単独で過半数の議席を得ることは難しそうで、引き続き自公連立が維持されるだろう」と指摘。二点目については、「今回の参院選で自民・維新の会が3分の2以上の議席を得ることは難しく、当面は憲法改正に向けた動きはないだろう」と見通しました。

 

参院選後の安倍政権については、①今後2年間での物価上昇率2%の達成、②消費税の10%への段階的引き上げ、③基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字対国内総生産(GDP)比を2010年度水準から段階的に黒字化するという三つの数値目標を背負っており、困難を抱えてのスタートになると指摘。また、海外・市場の期待は構造改革にあり、各産業界の推薦を受けて選出された国会議員もいる中、どこまで既得権益の見直し・廃止に踏み込めるかが大きな鍵になると述べました。

 

星氏は、その上で、今後の日本政治について、
(1)自公が衆参で多数派となったことで法案や予算が通り易くなり、成長や規制緩和が進んで株価も上昇し、消費税引き上げで財政再建も進むとの「楽観的シナリオ」と、
(2)既得権益や構造改革の見直しが進まず、株価も上がらないとの「悲観的シナリオ」の二つを提示。
後者の場合は、株価低下の場合も消費税は引き上げられると予想されることから、内閣支持率が下がり、安倍総理のリーダーシップは弱体化して自民党内の権力闘争が起こるとの見立てを披露しました。

 

最後に、星氏は「どちらのシナリオに進んでいくかは、安倍総理の力量のほか、日本人が政策的に苦しい時期に耐えうるかにかかっており、今後数カ月は日本全体が試される期間となる」と締めくくりました。質疑応答では、ヨーロッパでの金融危機の安倍政権への影響や参院選後の日本の原発政策、8月15日の総理の靖国神社参拝の可能性などに話題が及びました。

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