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実施日 : 2011年12月13日

報告(ブリーフィング):今後の日本政治の展望(2011年12月13日)

投稿日 : 2013年08月21日

img4ee813599ec36宇治敏彦・東京新聞・中日新聞相談役(特任論説委員)をお招きし、「今後の日本政治の展望」をテーマにお話しいただきました。参加者は、外国プレス13名を含む33名でした。

 

冒頭、宇治氏は今の日本が抱える問題点を3つ(震災や原発事事故処理の遅れ、経済状態の悪化、野田内閣の支持率・不支持率の逆転などの政治の劣化)挙げた上で、野田政権の本質についてお話しされました。

 

現在の民主党は「自民党的民主党」であり、国民の多くが2009年の政権交代にかけた期待を失望に変えてしまった。その理由の一つは、民主党にはマニフェスト(選挙公約)があっても、どのような社会を目指すのかという基本的綱領がない。さらに、野田首相は、政治的不安定(短命政権)を避けたいが故に、「安全運転」を心がけるあまり、国民への説明が不足し、結果支持率低下を招いている。しかしながら一方で、第1野党の自民党も人気を回復しておらず、2大政党がシーソーゲームのように機能せずに、無党派層が最大勢力という「やじろべえ型」になっている。

 

続いて宇治氏は、野田首相の政治上の先生の一人と言われ、「オトウチャン」の愛称で親しまれた大平正芳元首相の名を挙げ、キーポイントは、「増税という国民にとって苦い薬を飲んでもらうためには、総理大臣をはじめ政治家らが自ら身を削る努力をするなど、真っ先に苦い薬を飲む姿勢を国民に示すことが必要である」と述べました。また、行政改革と財政再建のポイントは、自ら率先して倹約に努めた、江戸中期松代藩家老・恩田木工にあるとし、「今のところ、野田首相は国民に消費税を上げることへの理解を求める方策で成功していない。政治とは、国民の心をつかむということだという基本的なことを誰からも学んでいない」と述べました。

 

また、野田首相が抱える2012年問題に焦点を当て、来年の政局は、3月、6月、9月に大きなポイントがやってくると述べました。各ポイントは、
①来年度予算案の成立を、来年3月中にメドがつけられるかどうか。
②来年の通常国会に消費増税法案を提出するならば、6月に可決できるかどうか。
③民主党および自民党代表選挙が9月に行われる。

 

従って、「野田首相が2012年に直面してやること」として宇治氏は、①政府として国民への説明責任を果たす、②報酬カットを含め政治家が自ら経費節減に努力している姿を国民に見せる、③野党に対して全面的協力をとりつける努力を重ねることであり、そのような努力をしなければ、6月にかけて解散圧力がますます強まっていくだろうとの見方を示しました。

 

最後に宇治氏は、来年は日本を含めて世界が大激動時代に突入していくだろうとし、政治のリーダーと国民大衆とがぶつかりあう場面が増え、米国での「オキュパイ運動」のような貧困と格差への抗議運動が日本だけでなく世界的に強まるだろうと述べました。同時に、ナショナリズムの激化が予想され、各国間のパワーゲームが本格化していく中で、日本の指導者が乗り切っていけるかどうか、不安に思っているとも述べました。そして、まず国内政策を固めることが野田政権の課題だとし、それが今のような内閣支持率が日ごとに低下していくような状況では、野田首相自身が2012年問題に深刻に直面することになるだろうというのが予測であると締めくくりました。

 

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