実施日 : 2014年01月24日
報告(プレス・ブリーフィング):「2014年の日本外交見通し」(2014年1月24日)
投稿日 : 2014年02月07日
FPCJでは、外交評論家でマサチューセッツ工科大学(MIT)・シニアフェローの岡本行夫氏をお招きし、日本外交の見通しをテーマにお話し頂きました。参加者は、中国、ドイツ、オランダ、英国、米国などの記者21名を含む計54名で、日本外交に対する海外の高い関心が窺えました。
冒頭、岡本氏は、「日中関係・日韓関係が同時に悪化したのは初めてのことではないか。同盟国である米国との関係にもすきま風が入って来ている」と厳しい現状を指摘。その背景として、日本の歴史認識のほか、中国・韓国のナショナリズム・自信・指導部の性質を挙げた上で、「日本外交は、少なくとも今後2~3年間は難しい時期が続くだろう」と見通しました。
日中関係に関しては、「尖閣諸島は海軍戦略の進化とともに中国にとって重要な場所になっており、中国側の譲歩の可能性はない」とした上で、「中国は本気で尖閣諸島を獲得しよう、少なくとも中立化しようとの考えだと思う」と述べました。また、中国はそのために一番邪魔な日米関係に楔を打とうとしており、日本の信頼性を傷つけるために世界中で大量のキャンペーンを行っていると指摘。中国が日米を離間させようと思っているうちは日中関係の改善はなかなか難しいだろうとの見方を披露しました。
日韓関係については、「2012年秋以降、慰安婦問題を背景に『険悪』という状態にまで悪化している」、「終盤に支持率が落ちると『反日』を利用してきた歴代の韓国大統領と異なり、朴政権はスタート時から反日というカードを使っている点で独特」と指摘。その上で、「国家間関係においては指導者が友好的な基本トーンを設定することが非常に重要」と述べました。
最後は、「日本人は、少し閉鎖的だが、穏やかで平和的。だが、中国、韓国によってそうした実像とはかけ離れたメッセージが世界に伝えられようとしている。もし、これが両国の政治主張を強化するためのものならば、日中関係・日韓関係はいずれも非常に重要なのだから、両国にはもう一度冷静に日本と話し合ってもらいたい」と述べた一方、「当分、日中・日韓関係の展望が開ける望みはないことから、国際世論に日本を理解してもらうための努力を続けることが2014年の日本外交の課題となる」と指摘してブリーフィングを締め括りました。
質疑応答では、東南アジアやオーストラリア等の日本への態度、日中関係が「政冷経熱」の路線で進展する可能性、日本が国際的情報発信を強化して行くための方策、米軍普天間基地移設問題進展の見通しなどに話題が及びました。