都会の婚活事情 ~自治体が恋のキューピッドに~(2011年11月24日)
投稿日 : 2011年11月24日
【ウォッチ・ジャパン・なう vol.13/FPCJ】
2011年11月24日
都会の婚活事情 ~自治体が恋のキューピッドに~
少子化、未婚・晩婚化対策などを目的に自治体が独身の男女に出会いの場を提供したり、お見合いを仲介する動きが活発になっています。かつては、地域に存在した「世話焼きさん」が仲介してくれた縁結びですが、最近は、地域や親戚といった身近な結びつきが希薄となり、適当な相手にめぐり合う機会が減ってきてしまっているといいます。このため自治体が「世話焼きさん」に代わって様々な形で「婚活イベント」を企画し、良縁探しに協力しています。
アグリdeデート~みうら農婚大作戦~
露地野菜中心の農業が盛んな神奈川県三浦市は、次世代、その次の世代と農業を支える人が必要となっています。2009年2月に三浦市農業協同組合の協力を得て、組合員への配偶者対策にかかわるアンケート調査を実施しました。同市では、販売農家804戸に対して同居農業後継者はわずか416人と後継者の不足を憂慮する声も聞こえており、また、配偶者対策に賛成の意見も多く寄せられたため、農業後継者の不足に一石を投じるために婚活イベントを企画しました。。
実施三年目の今年は、10月に1泊2日で農業体験を通した婚活イベントが開催され、三浦市内の若手農家20人と農業に関心がある女性19人が参加農作物の収穫などの体験を通して交流を深めました。このイベントを通して5組のカップルが誕生し、11月には昨年のイベントで成立したカップル1組が成婚するなど一定の成果をあげています。参加者からも好意的な意見が多数出ており、実行委員会でも手ごたえを感じていることから、来年以降もイベントを続けていく予定だそうです。
「エコ活de婚活in道志~「女神の森」で自然と君に恋をする~
三回目を迎えた横浜市水道局主催の婚活イベントは、今年9月、10月に横浜の水源・山梨県道志村で開催されました。「市内在住または在勤」と制約があったにも関わらず、80人の定員に対して3倍以上の申し込みがありました。
婚活イベントを開始したきっかけは、横浜市が2009年に実施した水道に関する意識調査でした。30歳代の市民の多くが、。「水道水はなんとなくおいしくない」というイメージを持っていることがわかり、この年代への広報活動を強化することにしました。さらに市が主催する既存の水源地バスツアーでも30歳代の参加が芳しくなかったことから、エコ活動と婚活を組込み、一人でも参加しやすく、限られた時間で参加者同士の会話が進むように対象者を限定したプログラムが策定されました。イベント当日は、水源地見学や水源かん養林の仕組みの学習、ペアでの下草刈りや植樹といったエコ活動の他、グループでの昼食作り、ペアでの散策などを通して交流を深めました。終了後、参加者同士で連絡を取り合っているとの報告もあり、早速成果がみられています。
婚活in浦安リゾート
東京ディズニーランドを擁する千葉県浦安市は、11月下旬にディズニーリゾートのホテルで婚活イベントを行う企画を立てました。(主催:浦安観光コンベンション協会など)。「婚活in浦安~絆の復興~」と銘打ったこのイベントの参加者を市がホームページを通して募ったところ、首都圏のほか、遠くは関西からも応募が殺到したそうです。当日は、男女別に婚活に関する講座を受講した後、ブライダルフェアを見学し、恋愛や結婚に対する気持ちを高めてから参加者同士の交流を深めるパーティーへと移るそうです。女性の応募が多いとのことですが、「ディズニーリゾートのホテルで理想の相手を探す」という設定が「ロマンチックな雰囲気でカップルになりやすいかも」といった女性の心理に作用したのかもしれません。
少子化で若年層の人口が減少すると、地域の経済活力が低下してしまい、自治体の財政が立ち行かなくなってしまいます。行政が婚活支援によって出会った男女が結婚して、子育てをする-描いた青写真通りに果たして上手く進むか今後の展開が注目されます。
(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)