ウォッチ・ジャパン・なう

一覧に戻る

東日本大震災から6カ月が経過(2011年9月13日)

投稿日 : 2011年09月13日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.5/FPCJ】

2011年9月13日

 

 

東日本大震災から6カ月が経過

 

東日本大震災から6ヵ月が経過

9月11日で、東日本大震災の発生から6カ月が経過。多くの被災地で、地震発生の午後2時46分にサイレンがならされ、犠牲者に黙とうが捧げられた。警察庁まとめによれば、10日現在、震災による死者は1万5781人で、依然として4086人が行方不明となっている。また、内閣府まとめによれば、全国の避難者数は8万人を超えている。国土交通省によれば、仮設住宅は、必要とされる戸数のおよそ94%に相当する4万9125戸が既に完成している。岩手、宮城、福島の3県で被災直後には約1800あった避難所も、8月31日に、岩手県ではすべて、福島県でもほとんどが閉鎖された。

 

交通網の復旧状況

東北地方の道路や鉄道などの交通インフラの復旧は着実に進んでいる。東北新幹線は9月23日に一部区間の徐行運転を解除し、震災前のダイヤで運行再開の見通し。また、国土交通省によれば、東日本の幹線道路はほぼ復旧している。東北の空の玄関口である仙台空港では、7月25日に国内定期便の運航が始まり、国際線もほとんどの路線の再開が表明されている。ただ、復旧が遅れている港湾施設は、公共岸壁373カ所のうち利用されているのが199カ所に留まっており、本格的な復旧が急がれる。

 

東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に向けた道筋・進捗状況

現在、福島第一原発では、事故収束に向けた工程表の「ステップ2」として、遅くとも来年1月までに原子炉温度を100度以下にする冷温停止状態が目指されている。これまで同原発敷地内に溜まった放射性物質を含む汚染水を浄化し、再び原子炉の冷却に利用する「循環注水冷却」が続けられてきたが、東電によれば、9月7日午前の原子炉圧力容器下部の温度は、1号機、3号機でそれぞれ、86.2度、95.9度であった。同時点での原子炉圧力容器下部の温度が113度あった2号機でも温度低下が進めば、「冷温停止状態」が達成されることになる。また東電は、9月11日に2号機及び3号機のタービン建屋に溜まっている高濃度汚染水の水位が海抜3メートル以下になり、建屋とつながるトンネルから汚染水が海に流出する恐れがほぼなくなったと発表した。

 

東電の賠償金支払いスキーム

8月30日、東京電力は、政府の原子力損害賠償紛争審査会が8月5日に公表した「中間指針」に基づいて、福島第一原発事故に伴う損害賠償金の算定基準や手続きを発表した。賠償の対象は、避難住民15万人を含め、全体で40万~50万件に上ると見られている。東電は、9月12日から補償受付を開始、10月初旬から支払いを行う予定。

 

野田新内閣の発足

9月2日、野田新内閣が発足した。野田佳彦新総理は、官邸での記者会見で、震災からの復旧・復興、福島第一原発事故の収束と、周辺地域における放射性物質の除染を最優先課題として挙げ、「福島の再生なくして日本の再生なし」と述べた。また、エネルギー政策については「脱原発路線」の継承を示す一方、現在定期検査などで停止中の原発については、地元の理解を得て再稼働したいと述べた。

 

新内閣では、細野豪志・原発事故の収束及び再発防止担当、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)と、平野達男・東日本大震災復興対策担当、内閣府特命担当大臣(防災)等が菅内閣からの留任となった。政府は8月15日の閣議で、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を統合して新設する「原子力安全庁」(仮称)を環境省の外局とすることを決定しており、細野氏は環境大臣も兼任する。

 

野田総理は、9月8日に福島県を訪問。福島第一原発や伊達市内の小学校のプール除染の現状を視察した後、佐藤雄平知事と会談した。原発事故で放出された放射性物質の除染を早急に進めると確約した。10日には、宮城県気仙沼市と岩手県陸前高田市も視察した。

 

(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)

 

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信