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東京駅開業100周年! ~「歴史」と「新しさ」が共存する日本のセントラルステーション~

投稿日 : 2014年12月11日

 東京駅開業100周年!

~「歴史」と「新しさ」が共存する日本のセントラルステーション ~

 

日本の首都・東京の顔であるJR東京駅が、12月20日、開業から100年を迎える。100周年を前に、赤レンガ造りの駅舎を開業当時の姿に復原する大がかりな工事が完了。一方で、周辺の新しいビルや商業施設と一体となり、「駅」の概念を超えた複合的な空間として進化し続けている。歴史と新しさが共存する東京駅にスポットをあてた。

 

 

~ 歴史ある駅舎、100歳超えても“現役”で ~

 

「東京駅は、100年前の開業以来、どこかで工事が行われていなかった日は一日もないのではないでしょうか。それほど日々変わるので、変化を追いかけきれないですね」。東京駅の魅力にとりつかれてその姿を撮り続け、自らを「日本で唯一の東京駅フォトグラファー」と称する佐々木直樹氏はこう語る。

 

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【開業100周年を迎える東京駅(撮影:佐々木直樹氏)】 

 

東京駅は、第一次世界大戦中の1914年(大正3年)に開業した。その頃、すでに上野や新橋などに主要駅があり、当時は原っぱだった場所に新しく建設された東京駅の役割は、東京の各地で国と民間会社が別々に作っていた鉄道を接続し、人や物の流れを活性化することだったという。

 

完成まもない東京駅の全景 (1)小

【1914年開業当時の東京駅(JR東日本提供)】

 

当初は小規模な計画だったが、設計途中に日本が日露戦争に勝利したことで予定の7倍の予算が使われ、日本の勢いを国内外に示す全長335メートルの巨大な駅舎が誕生した。設計を手がけた建築界の第一人者・辰野金吾が、あえて和風ではなく西洋風建築にこだわったというエピソードも残る。

 

免震ゴム

2003年、駅舎が国の重要文化財に指定されたことなどを受け、2007年から大規模な保存・復原工事がスタート。約350台の免震装置を埋め込むなど、東日本大震災レベルの地震でもひびが入らない耐震性を目指す免震化工事などが施された。

 

 

 【写真:復原工事で建物の下に設置された、揺れを和らげる免震装置(JR東日本提供)】

 

また、第2次世界大戦の空襲で焼失したまま復原されていなかった駅の3階部分や、ドーム型屋根が60年以上を経てお目見え。屋根の建築資材として、工事期間中に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県・石巻市で、奇跡的に津波に流されずに回収されたスレート(粘岩板)が使用されたことも話題となった。

 

JR東日本は、東京駅を“現役”の駅として長く活用しながら、価値ある歴史的文化遺産として未来に残したい考えだ。

 

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【(左)第2次世界大戦で3階部分や屋根が壊れた駅舎。戦後、駅舎は2階建てに、屋根は八角屋根に修復されていた(JR東日本提供)/

(右)開業当初の3階部分やドーム屋根が復原された東京駅(撮影:佐々木直樹氏)】

 

 

~ 「駅」ではなく「街」? 東京ステーションシティが目指すもの

 

歴史を守るばかりではない。東京駅の今を語るキーワードは、「駅から、街へ」。「東京ステーションシティ」の名称のもと駅周辺の施設が一体となり、ショッピングやビジネス、教育、文化など、駅の概念を超える複合的な空間を形成している。東京ステーションシティPR事務局の渡辺香菜子さんは、「人こそ住んでいないが、規模感は『街』そのもの」と話す。

 

東京駅で電車を降りると、改札内のショッピングエリア「エキナカ」に、お弁当や土産屋など約150店舗が商店街のように連なっている。改札を一歩出れば、さらなるショッピングエリアやレストラン、ホテル、ギャラリーなどがあり、駅にいながらにして買い物や宿泊、文化鑑賞や結婚式まで楽しめる。

 

2014年講演風景 (4)さらに、東京駅と入り口を直結する形で、周辺に様々な商業施設やオフィスビルが立地する。2007年には、ビジネスの拠点として、オフィス等が入居する42-43階建てのツインタワー(グラントウキョウノースタワー/サウスタワー)がオープン。同じく駅直結のサピアタワー(35階建て)には、企業のほか東京大学など12大学が入居し、一般向けに講座が開かれるなど「知の拠点」として機能している。

 

 

【サピアタワーで大学教授の講座が受けられる「東京オトナ大学」。

4年間で延べ約3000人が参加した(JR東日本ビルディング提供)】

 

 

グランルーフ外観(小)

最近では、2013年、駅東側のエリアに、周辺のビルをつなぐグルメ回廊「グランルーフ」が開業。近代的な外観が印象的で、西側に位置する赤レンガ駅舎とは全く異なる表情を見せる。「100年の歴史と、都会ならではの先進性や機能性を持つ“2つの顔”にワクワクさせられる」と佐々木氏は語る。

 

 

 

 

【赤レンガ駅舎と対照的な表情を見せるグランルーフ(JR東日本提供)】

 

 2020年、東京駅は、1964年以来2回目のオリンピックを迎える。JR東日本によると、増加が見込まれる海外観光客の受け入れに向けて、無料公衆LANや多言語案内サインの設置といった準備が進められる予定。「歴史、伝統、文化、学術、ビジネス、先進性が融合した、世界で唯一の駅」を目指す東京ステーションシティの、さらなる進化が楽しめそうだ。

 

 (Copyright 2014 Foreign Press Center/Japan)

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東京駅開業100周年特設サイト

(東京ステーション指定ホームページ内)

http://www.tokyostationcity.com/100years/

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