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実施日 : 2011年08月12日

東京の節電ライフ – 荒川区の「街なか避暑地」プロジェクト(2011年8月12日)

投稿日 : 2011年08月12日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.1/FPCJ】

 

2011年8月12日

 

東京の節電ライフ - 荒川区の「街なか避暑地」プロジェクト:
節電しながら、区民の熱中症予防・交流拡大を目指す

 

 

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福島第一原発事故の影響で、東北電力・東京電力管内を中心に節電が求められている今年の夏。自治体によっては、施設の利用を制限・短縮する動きもある中、東京都の荒川区では、6月21日(火)から9月30日(金)まで区内の公共施設33ヵ所を「街なか避暑地」に指定。区民に最寄りの「避暑地」に集まってもらうことで、各家庭での電力消費を抑えて区全体での節電効果を高めながら、高齢者等の熱中症予防や区民同士の交流促進も狙っています。

 

8月上旬、「街なか避暑地」の一つである「峡田(はけた)ふれあい館」を訪ねました。この日の東京の予想最高気温は31度。雲が多いながら、日差しも強く蒸し暑い日です。

 

午前11時半過ぎ、フリースペースの1階ロビーには、小さな子供連れの母親や小学生を中心におよそ30名が集まっており、昼食をとったり、備え付けのパソコン画面を覗き込んだりと、思い思いに過ごしています。

 

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3階では、館内のプレイルームに子供を預けた若い母親等およそ20名がフィットネスに汗を流しているほか、中高年の利用者が折り紙を使ったフラワーアレンジメントに真剣な表情で取り組んでいました。これらは、各「避暑地」が利用者を増やすために頻繁に企画しているイベントの一部です。

 

「我慢」「制限」など、ネガティブなイメージと結び付きがちな「節電」を、「区民の健康維持、交流拡大の機会」として積極的に捉える「街なか避暑地」の試み。このユニークな逆転の発想は、一体どこから生まれたのでしょうか?

 

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荒川区環境課によれば、「街なか避暑地」発案のきっかけは、同区の一部も対象になった大震災後の計画停電。「区民の節電への意識が強く、節電のあまり、熱中症患者が出ては本末転倒。去年は、一人住まいの区民が自宅で熱中症で亡くなるケースもあったので、熱中症対策としての狙いもあった」そうです。

 

「避暑地」事業は、区民の評判も上々です。峡田ふれあい館の山田寿昭館長によれば、「夏休みに入ってからは、一日中ここで過ごしていく子もいて、一日平均200名、7月中は6000名が利用しました」。子どもとともに同館をほぼ毎日訪れるという30代女性は、「家は暑いし、ここに来れば友達もいる。節電にもなる」と来館の理由を語ります。別の若い母親たちや、「宿題はしないけど、よく遊びに来る」という小学4年生の女子児童からは、同館で新たな友達ができることもあるとの声も聞かれました。

 

区全体での「避暑地」利用者数は集計中とのことですが、区では、(特に「避暑地」の指定や利用呼びかけをしなかった)前年より1割程度利用者が増えていると見ています。区の試算では、標準的な「避暑地」に9人以上の利用者がいれば、暑さをしのげて電力使用量も減らせるとのことです。

 

(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)

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