熱海市 齊藤栄市長(2014年12月)
投稿日 : 2014年12月26日
熱海の歴史や文化を活かした「本物」の地域資源を活用し、観光まちづくりと経済活性化に取組む、熱海市の齊藤栄市長にお話をお伺いしました。
(聞き手:FPCJ理事長 赤阪 清隆)
―熱海市が行っている外国向けのプロモーションは。
熱海市はイタリアのサンレモ市、ポルトガルのカスカイス市と姉妹都市、中国の珠海市と友好都市提携を結んでいます。これら都市が国際交流の直接的な拠点となっています。珠海市とは子どもたちが卓球やホームステイをとおした市民交流などを行っています。
【写真:齊藤栄市長】
カスカイス市からは、交流が始まった1990年にジャカランダという花木2本が贈られました。ここ2年、新たな名所づくりの一環として海岸沿いに100本ほど植林を行い、遊歩道を整備しました。今年の6月に完成し、新たな観光資源となっています。
【写真:ジャカランダ(熱海市提供)】
―熱海市では外国人観光客に向けてどのようなプロモーションをされていますか。
東アジア、特に中国、韓国、台湾、香港を中心に行っています。中国の瀋陽には、熱海市の駐在員事務所を置いています。具体的な取組みとしては、韓国の釜山で開かれる国際旅行博覧会などへの出展を行っています。民間団体では、熱海国際経済交流会がこれら国々の旅行エージェントに対して観光誘客のための働きかけをしています。【写真:中国・珠海市ホームステイの様子(熱海市提供)】
熱海市では、これまで首都圏のお客さまの誘客に力を入れてきました。訪れる方々は年間宿泊者数でいうと280万人、交流数でいうとおおよそ580万人になります。外国からのお客さまは、これまで誘客に力を十分入れてこなかったこともあり、宿泊客数でいうと1%に満たない、約2万人弱程度となっていて近隣の観光地と比べても高い数字ではありません。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてこれから本格的にインバウンドに力を入れていこうと考えています。新たな駅舎、駅ビルの建設を機に熱海駅周辺のインフラ整備を行うと同時に、熱海の良いところにしっかり磨きをかけていきたいと考えています。【写真:熱海市内の温泉(熱海市提供)】
市民防災はもちろんのこと、観光都市としての防災にも力を入れています。東日本大震災以降、とくに津波の被害が大きく言われるようになり、外国の方にも分かりやすい避難誘導のための看板を整備しています。熱海市の場合、山が海に迫っている地形ですから、もし大地震が起きたら「川を避けて、海抜10メートルにある市役所より高いところへ逃げる」ということを徹底しなくてはなりません。海上花火大会が開催される日にチラシや地図を配布したり、旅館やホテルにも常備しています。また、ホテルの従業員への防災教育も他都市に先駆けて行ってきました。静岡県では各町内会が中心となって自主防災組織を結成しており、その結成率は100%でレベルもかなり高いです。行政だけでなく、一般市民が高いレベルで機能的に動けるようになっています。【写真:富士山と熱海市の全景(熱海市提供)】
―先ごろ日本が国別ブランドランキングで1位になりました。熱海市のブランドは何でしょうか。
熱海市の初島に行く途中に海上から見える富士山、温泉、海の幸、一年をとおして楽しめる花火大会。梅、桜、もみじにジャカランダといった自然の美しさに芸者さん。まさに外国の方々にとって日本の魅力が凝縮したまちが熱海です。熱海市は東京からのアクセスが抜群で、品川から新幹線ひかりで35分、こだまで50分の距離にありながら、保養地、観光地として発展してきた華やかなまちです。これからシティプロモーションをさらに強化しながら「日本でナンバー1の温泉観光地づくり」を官と民で協力しながら作り上げて行きたいと思います。【写真:花火大会の様子(熱海市提供)】
【齊藤栄市長(左)と赤阪FPCJ理事長(右)】