首長による情報発信

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神奈川県 黒岩祐治知事(2013年9月)

投稿日 : 2013年11月20日

ロゴ日本語技術革新や国際協力などを通じ、「3歩先行く神奈川!」の実現に取り組む神奈川県の黒岩祐治知事に、県の魅力や取組について伺いました。(聞き手:FPCJ理事長 赤阪 清隆)

 

 

aIMG_8527―東京五輪開催が決まりましたね。

影響は非常に大きいですね。私も招致を応援してきました。7年後、日本が世界中から注目されます。練習場など様々な形で県内の施設を使っていただく機会もあるかもしれず、観光面でも非常に大きなチャンス。どんな神奈川をお見せできるか、2020年というゴール、明確な1つの通過点に収れんする形ですべての取組を動かしていくことが可能になりました。

 

~ 集中型から分散型へ かながわ発!エネルギー革命 ~

 

―エネルギー政策に注力しています。

就任して2年4か月になりますが、東日本大震災直後だった知事選ではソーラーパネルを持ち歩きました。代替エネルギーの普及と、ただちになくせずとも原発への過度な依存から早く脱すべきだと訴えたのです。

 

 (写真)5月にオープンした愛川ソーラーパーク

“さんてらすTOBISHIMA”(神奈川県提供)

ソーラーパークまた、「かながわ発!エネルギー革命」と銘打ち、水素エネルギーの普及を目指しています。今年9月、かながわスマートエネルギー計画」の骨子案を発表しました。大きな発電所で巨大な電力を生み出し送電線で流すという集中型のエネルギーから、地産地消の分散型エネルギーへ。太陽光発電、ガスでの発電と廃熱の利用、燃料電池などがあります。2030年度には、県内の電力消費量に対する分散型電源による発電量の割合を45%にする計画です。現在のソーラーパネルはガラスで発電部分を保護したものが主流ですが、フィルム状の薄膜太陽電池も今後エネルギー効率が向上し、値段も安くなると見込まれます。薄く、軽くなればどこにでも設置できるようになり、爆発的に普及するでしょう。

 

「3歩先行く神奈川!」が県のキャッチフレーズ。常に先んじたメッセージを発し、日本で最も先進的に動く。成功モデルを生み出し、国全体を引っ張っていく力に代えてもらう。これが神奈川らしさです。

 

~ 「未病」の改善と最先端医療の追求 ~

   

 (画像)未病産業とは(神奈川県提供)

パワポ日本語―注目すべき施策は。

「ヘルスケア・ニューフロンティア」を提唱しています。急速に進む少子高齢化が現在の先進国にほぼ共通する課題。これまでのシステムが通用しない時代が来ます。そこで、①再生医療、革新的医薬品などを世界に発信する特区と、介護や生活支援ロボットの実用化促進を目指す特区を拠点とした最先端医療技術の追求、②ライフスタイルの改善により「健康」と「病気」の狭間である「未病」を治すという漢方の概念の利用という2つのアプローチをとっています。これを融合させ、健康寿命日本一を目指します。最新技術により健康状態を日常的にモニタリングし、未病を「見える化」したい。すでにお薬手帳を電子化した「マイカルテ」の実証実験を始めています。データを集めたカルテを1人1人持ち歩けるようにしていくのです。それぞれ利便性を感じ、改善を図ってもらうとともに、情報を名前と切り離してビッグデータとして解析し、新たな知見を得ることも考えられます。体調、体質に合わせて医療を個別化すれば、無駄がなくなり、全体の効率化につながる。「未病」産業にはニーズがあり、ビジネスチャンスがあります。

 

―情報発信についてはどう考えますか。

もともと報道番組でのキャスターを長く務めており、伝えることがどれほど大事か強く感じてきました。最近変わってきたものの、県庁では「伝える」という発想は弱かった。職員はみな一生懸命ですが、往々にして内部で完結してしまう。発信し、伝わらなければもったいないですよね。皆がはっとするようなメッセージ力のある言葉を選び、情報を出していくようにしています。とはいえ、経験上仕方ないとは思いますが、日本のメディアはあまり「いいこと」は報道しない傾向があります。練り上げた政策よりも、例えばそれに伴う対立構造などに関心が集中する。伝え方の工夫が足りないという反省をしながら、発信力を強化していきたいと思っています。外国メディアの特派員にも情報提供を進めたいですね。

 

―神奈川県のイメージは。

大都市横浜、湘南の海、古都鎌倉、日本有数の温泉地である箱根。さらには田園風景や丹沢の山々もあり、神奈川を回るだけで日本のすべてがわかる「日本の縮図」です。また、おしゃれでエキゾチック、国際的な街というブランドイメージもあります。半面、横浜などの地名に比べ、「神奈川」の名前は世界的にはさほど有名ではなく、全体としてのブランド力はまだ弱いかもしれない。イメージ力強化に努めていきたいと思っています。

 

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(写真)こだわり続けてきた自身にとってのキーワード「いのち」の自書の前で握手を交わす黒岩知事(右)と赤阪

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