G20首脳会議を中国・杭州で開催
投稿日 : 2016年09月13日
朝日:中国自身も問われる
産経:習氏の独り舞台にすぎぬ
日経:G20は自由貿易と改革の推進へ行動を
毎日:世界貿易拡大へ行動を
読売:中国の「有言実行」が問われる
写真:YONHAP NEWS/アフロ
中国・杭州で9月4、5日に開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)は、世界経済のさらなる下振れを回避するため財政政策、金融政策、構造改革のすべての政策を活用することを織り込んだ首脳宣言を採択して閉幕した。
全国紙5紙は同月6日付の社説で、世界経済の諸課題に新興国、産油国を含むG20各国が認識を共有した意義と成果を認めながらも、特に朝日、産経、読売の3紙は経済大国である中国の取り組み姿勢を注視し、今後の行動に注文を付ける論調となった。
■ 中国の鉄鋼過剰生産
全5紙が指摘したのは、G20で大きな議題となった中国の「鉄鋼過剰生産」問題で、特に朝日、産経両紙はそれぞれの視点から中国政府の対応に厳しい注文を付けた。
朝日は各国から改善を求められた中国の鉄鋼過剰生産について、2008年のリーマン・ショック後に中国が「世界経済を救う」ために採った大型景気対策のツケであることへの理解を示しながらも、「対応を誤れば、国内の雇用はもちろん、不良債権問題を通じて金融不安に波及するおそれがある」と中国政府のかじ取りの困難さを指摘した。その上で、中国に求められているのは「経済・社会政策を、大国としての自覚のもとで、各国と協調しつつ展開することだ」としている。
産経は、G20が鉄鋼過剰生産問題の解消のために情報を共有する国際的な枠組み「国際フォーラム」について「中国は過剰生産への対応を約束しても国内改革が進んでいない」として「問題解決への前進とみるのは早計」と釘を刺した。
読売は、国際フォーラムの設立で合意したことを評価した。しかし、中国が温存し続ける不採算の国営企業、いわゆる“ゾンビ企業”の横行について、「世界経済のリスク要因となっている」として、「議長国としてまとめた以上、中国の『有言実行』が求められている」と強調した。
毎日も、この問題について「G20では、中国が作りすぎた鉄鋼製品を輸出し国際価格を低下させている問題が取り上げられた」として、「他国から不公正と非難される行為は慎むべきだ」としている。
■ 回避された中国海洋進出
最も厳しかったのは産経で、「協調ばかり演出し、中国にとって不都合な現実は覆い隠す議事運営に終始した」と批判するとともに、メンツを失うことを恐れた中国は南シナ海などにおける急速な海洋進出問題など「外交や安保を封印」したと非難した。
読売も、今回のG20への疑念として、「中国が議論を経済に集中させ、自らが軍事拠点化を進める南シナ海問題の封印を図ったことだ。地域の安定から目をそらしたままでは、経済連携も実効性が疑われよう」と論じた。
■ 構造改革と反保護主義
日経は、今回のG20について、「低成長の克服と自由貿易の促進」が最重要課題であったとしながらも、世界経済が3%程度の経済成長で伸び悩んでいることから、「とりわけ重要なのは、潜在的な各国・地域の成長力を底上げする構造改革の断行」であると強調した。
毎日は、「最も警戒すべきは、世界的に拡大の兆しがある保護貿易主義や反グローバリズムの動き」であるとし、G20では、世界経済の成長を促進のために、貿易自由化への努力の再加速化、反グローバル化の根底にある経済格差への不満、不公平感に正面から向き合うことが重要であると論じた。
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