プレスツアー(案内)

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実施日 : 2005年12月15日

「変わる東京都心の社寺」 プレスツアー (12月15日 午後)

投稿日 : 2013年08月23日

~スピリチュアルな空間での“新感覚”な取り組み~

 

社寺とはつまり、「神社」と「寺」。かつての日本社会では「氏神制度」、「檀家制度」が大変よく機能しており、社寺は前近代的な役所機能も併せ持つ、地域の暮らしには欠かせない存在であった。しかし時が下り現代に至ると、社寺の営みは形式化され、社寺には年始の初詣や受験祈願、各種法事や祭事などで足を運ぶのみ、という日本人が増え、高度経済成長の影で、各地域における社寺の求心力は弱まったかのように見えた。
しかし最近、東京をはじめとする都市の社寺に新たな変化が見られるようになった。社寺をステージとするジャズライブやピアノコンサート、エスニック舞踊やファッションショーなどの企画が次々に生まれ、オフィス街では寺の境内でくつろぐビジネスマンやビジネスウーマンの姿も目につき、ついにカフェを併設する寺も登場した。20代の若い僧侶はインターネットを駆使して「わかりやすい仏教コンテンツ」と「僧侶としての日常」を広く情報発信しており、転じて仏教法話がライブイベントと融合するなど、情報感度の高い若者にとってこうした社寺は遠い存在で無くなりつつある。
このように、再び公に開かれ始めた「社寺」の取り組みは、単なる一過性のものではなく、さまざまなつながりや思いに根ざした新たなムーブメントと言える。
今回のツアーでは、こうした新たな取り組みを見せる東京都心の「社寺」を訪問する。神谷町の駅前に位置する光明寺では、ランチタイムに近隣のビジネスピープルが集まるカフェを訪問し、「都会のオアシス」としての寺のありかたを取材する。つづく青山の梅窓院では、2003年に落成した新本堂を見学。この建物は著名な建築家・隈研吾(くまけんご)氏の設計で、寺院本堂としては珍しく大変モダンな建築物として高い注目を浴びている。ツアー当日は地下一階の祖師堂にて開催中の『ワダエミの衣装展』も立ち寄り、同寺が提供する「聖なる空間とアートとの融合」を垣間見る。最後に神田明神を訪問し、伝統を継承しながらも、氏子である秋葉原電気街とタイアップした「ITと神社の融合」を積極的に図る試みについて話を聞く。

 

※光明寺・梅窓院への訪問について:急な法要や葬儀のため、やむをえず取材の予定が若干変更になることがあります。あらかじめご了承ください。

 

取材内容

 

 

 

 

1.光明寺

 

(1)僧侶・松本圭介氏取材 >> Link
浄土真宗本願寺派・光明寺に所属する僧侶、松本圭介氏(法名:紹圭)は26歳。東京大学哲学科を卒業後、仏教の考えにひかれて同寺で働き始め、2003年に試験に合格して僧侶となる。「こんなに深くて広いものは仏教を置いて他にはない」という思いから、インターネットサイト「彼岸寺」を開設し、自身が考えていること、僧侶としての所感、 “坊主”としての何気ない毎日等々を日々情報発信するというユニークな「伝道」で、一般的な僧侶のイメージを覆し、同世代の若者を中心に大きな共感を呼んでいる。
松本氏に「僧侶になったいきさつ」や「僧侶として成し遂げたいこと」、
「仏教寺院の将来」などについて話を伺う。

 

 

(2)「神谷町オープンテラス」取材 >> Link
神谷町オープンテラス(写真1・2)は、光明寺の本堂を利用して開かれたオープンスペース。地下鉄日比谷線神谷町駅にも近く、平日は多くのビジネスピープルでにぎわうオフィス街である。「せっかくここにお寺があるのだから、もっと多くの人に活用してほしい」という僧侶・松本圭介氏の思いに共感した有志が集まり,ソファとテーブル、灰皿、無線LAN、そして貸出自由の書棚を設置。本堂の2階部分にあたるこのオープンテラスからは、眼下に寺院併設のよく手入れされた墓地が並び、その向こうに森木立、そしてさらに向こうには東京タワーがそびえ立ち、まさに都会のオアシスともいうべき景観が楽しめる。4月~10月の常時オープン期間中には、飲み物とお菓子もオーダーできるため、お弁当を持ち込んでランチタイムを過ごす人も多い。またここに集う若い「音楽好き」の若者たちが不定期に開催するライブイベント「彼岸音楽会~誰そ彼」も徐々に認知されつつある。

 

11月からは不定期営業というスタイルをとっているが、取材当日は臨時でカフェをオープンしてもらう。カフェの店長木原健氏とお菓子作りを担当する僧侶青江覚峰氏に話を伺いながら、参加記者もここで昼食をとり、新たなスタイルのカフェを体感する。

 

 

2.梅窓院

 

(1)新本堂見学、住職・中島真成氏取材

 

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梅窓院は、寛永二十年(1643)この土地に代々暮らす青山家の菩提寺として現在の渋谷区外苑前に開山された。現在の青山という地名は、この青山家の名からとったもので、まさに青山発祥の地が梅窓院といえる。現在は、江戸三十三観音の第二十四番札所として参詣する人も多く、また、毎年9月に境内において開催される"郡上踊り"は昔からこの土地に住む地域住民に親しまれ、古き良き東京を偲ばせる貴重な行事のひとつである。
一方で、2003年に完成した梅窓院・新本堂(写真3)は、世界的に有名な建築家・隈研吾氏の設計で、ガラスを多用したシャープでモダンな外観が美しい建物である。地下鉄銀座線・外苑前駅から徒歩1分という利便性もあり、新本堂地下の「祖師堂」と呼ばれるホールは、広く一般に開放することを前提に設計された。寺院とは別の独立した出入り口を

備え、音響施設や十分なスペースの舞台を設置。営利目的ではない各種文化活動をサポートする場として、公に開かれた存在となっている。
今回のプレスツアーでは、モダンでありながらどこか日本の形式美を感じる新本堂の外観・内観、さらに完全バリアフリー化された観音堂も見学する。また「青山らしいお寺」をめざして本堂改築を指揮した梅窓院住職・中島真成氏に今後梅窓院が目指す方向などについてお話を伺う。

 

(2)『ワダエミの衣装世界展』 
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黒澤明監督の映画『乱』(1985年)でアカデミー賞を受賞した、世界的衣装デザイナー・ワダエミ氏。受賞してから20年となる今年、その類稀なる才能と、華麗なる軌跡を集めた待望の衣装展を東京・梅窓院祖師堂で開催している。(写真4)
同じく黒澤明監督の映画『夢』(1990年)で使われた人間大の雛人形の衣装をはじめ、特別にセレクトされた約100点の衣装が展示された会場はすべてワダエミ氏自身によってプロデュースされており、梅窓院祖師堂の持つ静謐な雰囲気と相まって、アーティスティックな空間を作り出している。今回の企画展について、プロデューサーの町田直子氏にお話を伺う。

 

 

3.神田明神:「秋葉原電気街」との新たな取り組みなどを取材

 

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1000年以上の長い歴史を誇る、江戸総鎮守・神田明神。(写真5)丸の内地区をはじめ、神田地区から日本橋地区に広がる108町会のエリアに暮らす氏子住民のみならず、日本を代表する最先端企業にとっても「氏神様」としての篤い信仰を集める由緒正しい神社である。また、神田明神は新しい取り組みを積極的に取り入れていることでも知られており、伝統的な年中行事を現代的にアレンジして展開するなどの取り組みにも力を入れている。
二年に一度、春に行われる「神田祭」は、神田明神とその氏子住民にとって重要な神事のひとつであるが、近年は秋葉原再開発エリアの活性化を受けて、歴史ある「神田祭」は新たな様相を見せ始めている。2005年度は、神田明神とIT関連企業、そして秋葉原電気街との3者タイアップにより、「神田祭」のインターネット番組配信を実現させ、秋葉原電気街の大型スクリーンではリアルタイムで祭の様子が放送された。また、これに先立ち神田明神では「IT情報安全祈願守」(写真6)を発表するなど、秋葉原界隈の電気産業や丸の内ビジネス街を氏子に持つ神社として、新たな存在感をアピールしている。
「伝統」と「革新」をバランスよく備え、“庶民派”であることにこだわり、街とともに変化する神田明神の魅力について、広報を担当する権禰宜・清水祥彦氏に話を聞く。

 

 

実施要領

 

 

 

1.日程:12月15日(木)午後

 

12:30     フォーリン・プレスセンター集合(貸切バスで移動)
12:50     光明寺着
12:50~13:30 テラスにて昼食、取材
13:30~14:00 光明寺僧侶・松本氏に取材
14:20     梅窓院着
14:20~15:00 梅窓院住職取材、本堂、祖師堂見学
15:00~15:40 梅窓院祖師堂「ワダエミの衣装世界展」見学
15:40     梅窓院発
16:15     神田明神着
16:15~17:00 神田明神取材
17:00     神田明神発
17:20     フォーリン・プレスセンター帰着、解散

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:1人1,500円(バス、昼食代等含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後程参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:先着順15名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が15名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。

 

5.FPC担当:小泉・山代(Tel: 03-3501-3401)

 

6.備考:
(1) 写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2) FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

 

 

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