実施日 : 2008年06月19日 - 21日
【プレスツアー】6月19日~21日:プレ北海道洞爺湖サミット・プレスツアー
投稿日 : 2013年08月23日
~先端環境技術と自然との共生~
地球環境と気候変動問題がメインテーマとなる7月の北海道洞爺湖サミットまで1ヵ月余り。サミット議長国である日本のリーダーシップが問われる。
サミット開催地の北海道は、豊かな自然環境に恵まれ、自然を神として生きてきた先住民族アイヌの伝統が受け継がれている。洞爺湖は、30年に一度噴火する活火山とともに生きるまちだ。また、長い冬がもたらす雪や強風といった厳しい自然を逆に資源として、風力発電や冷暖房に活かす試みも活発化している。
ツアーでは、サミット開幕を直前に控えた北海道で、サミット会場等の関連施設を視察するとともに、自然と共生する人々の暮らしと叡知に触れる。さらに、先端環境技術によって、低炭素化社会を目指す様々な活動を取材する。******************************************************
7月の北海道洞爺湖サミットまで1ヵ月余り。サミットでは、地球環境と気候変動問題がメインテーマとなる。今年は、京都議定書に基づく温室効果ガスの削減義務もスタートし、サミット議長国である日本のリーダーシップが問われる重要な年となる。
サミットが開催される北海道は、豊かな自然環境に恵まれ、自然を神として生きてきた先住民族アイヌの伝統が受け継がれている。豊かな自然は、時に厳しい牙を住民に向ける。サミット開催地の洞爺湖は、30年に一度噴火する活火山とともに生きるまちだ。人々は、噴火を予知し迅速に避難することで災害をやり過ごし、火山活動がもたらす温泉と火山灰による豊かな大地を自然の恵みとして、生活を営んできた。また、北海道の長い冬がもたらす雪や強風といった厳しい自然を逆に資源として、風力発電や冷暖房に活かす試みが各地で活発化している。
ツアーでは、サミット開幕を直前に控えた北海道で、サミット会場等の関連施設を視察するとともに、自然と共生する人々の暮らしと叡知に触れる。さらに、先端環境技術によって、低炭素化社会を目指す様々な活動を取材する。
*本ツアーは外務省が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営するもの。ツアーには、海外から招聘する記者4名も参加予定。
【取材内容】
1. サミット会場と国際メディアセンター(IMC)
サミットのメイン会場となる「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」は、標高625メートルのポロモイ山の頂上に位置し、四方には絶景が広がり、眼下には洞爺湖を望む。そのロケーションと高級感は国内外で高く評価されており、地球環境問題を議論するサミットにふさわしい会場となる。またルスツリゾートに設置されるIMC(国際メディアセンター)は、環境サミットにふさわしい環境配慮の取り組みがなされている。最大4000人が利用するといわれるプレスセンター棟の下部には地元の雪を貯蔵し、作業スペースなどに冷風を送り込むほか、雪の融解水を植栽用の散水やトイレの洗浄水に利用する。また、屋根からの自然換気、自然採光にも配慮された設計となっている。
ツアーではサミット会場のウィンザーホテルを視察するほか、IMCが設置されるルスツリゾートに宿泊する。
洞爺カルデラの南に位置する有珠山は、30年に一度の周期で噴火を繰り返している活火山。しかし、2000年の噴火時には1人の死傷者も出さなかったように、噴火の予知と地元住民の防災意識が徹底されている。また、火山は災害だけではなく、温泉や農作物の栽培に適した土壌、洞爺湖の浄化など様々な恩恵をもたらしている。火山活動という厳しい自然現象を受け入れつつ、その恵みとともに生きる人々に、自然と共生する人間の営みを見ることができる。
今年2月、洞爺湖温泉に、温泉排水から熱エネルギーだけを回収し、熱交換して温泉水の加温エネルギーに再利用する、全国初のヒートポンプシステムが導入された。これにより、従来の重油ボイラーの使用は完全に停止、原油換算で年間300キロリットル、二酸化炭素1340トンの削減が見込める環境配慮プロジェクトが、サミットが開催される小さな町で動き出した。
ツアーでは、洞爺湖の成り立ちと自然の脅威を洞爺湖ビジターセンター等で理解しつつ、活火山である昭和新山、有珠山を視察、更に新たな取り組みである洞爺湖温泉のヒートポンプシステムを取材する。
先住民族アイヌにとって、山や川、海は、無尽蔵の食糧を蓄える大きな倉庫。神である自然は、暮らしに欠かせない存在であった。そうしたアイヌ文化が受け継がれてきた白老町では、先人の知恵と歴史を受け継ぎ、循環型社会の形成を目指す取り組みが進められている。
来年4月の稼働を目指して建設が進められているのが、北海道大学などと共同開発した、ダイオキシンを発生しない高温高圧処理による我が国初のバイオマス燃料化施設。今年1月からは、施設の実証試験プラントも稼働を始めており、来年4月に完成すれば、町内で発生するゴミの92%が資源化できる見込み。製造された燃料は、併せて町内の日本製紙白老工場に建設中の新エネルギーボイラーに、石炭の代わりに供給される予定で、資源循環型のまちづくりの大きな一歩となる。さらに、町内には民間の産業廃棄物運搬会社によるバイオディーゼル燃料(BDF)の製造工場も先月完成、月産9万リットルの生産を見込んでおり、公用車などの燃料として利用される。
ツアーでは、白老町関係者から、循環型社会に向けた取り組みについて説明を受けた後、バイオマス燃料化実証試験プラントとBDF製造工場を取材する。
4. 日本製鋼所室蘭製作所
昨年で創設100年を迎えた日本製鋼所室蘭製作所。“鉄の街”室蘭を代表する企業の一つ。戦前は民間最大の兵器会社であったが、戦後は高度な技術・ノーハウを平和産業へ転換。現在は大型の鋼材を高圧プレスで加工する技術では世界トップクラスの実力を持ち、原子炉の圧力容器など主要部品のシェアでは世界の約8割を占めている。原油高などの影響もあり、世界各国で原子力発電所の新設が検討され、また地球温暖化ガスの排出削減のため原子力発電に注目が集まる中、同社への関心も高まっている。最近では新エネルギー・環境関連部門にも力を入れており、風力発電用機器の製造も盛んに行われている。
また、日本製鋼所が誇るもう一つの隠れた製品が日本刀。1918年に敷地内に建設された鍛刀所では、伝統文化である日本刀の鍛刀技術保存のため、現在でも刀匠の手により、製鋼技術の粋ともいえる日本刀作りが続けられている。
ツアーでは、同製作所の概要説明を受けた後、関連工場や風力発電施設、日本刀の鍛刀所を取材する。
(注:原子力部材関連工場内の撮影は一切できません。)
5. モエレ沼公園
大都市札幌の市街地の周囲を8つの緑地帯で緑化する「緑化環状グリーンベルト構想」のシンボル的な存在がモエレ沼公園。1988年、初めて札幌を訪れた世界的彫刻家イサムノグチは、ゴミの埋め立て処分場の跡地を公園として甦らせるプランに共鳴し、公園を設計。ノグチは同年末に死去したが、その基本設計に基づいて工事が進められ、2005年7月にグランドオープンした。全体を一つの彫刻とみなした公園のシンボルは、ガラスのビラミッド「HIDAMARI」。夏場のこの建物の冷房は、冬季に貯蔵庫に蓄えた雪を利用した「熱交換冷水循環方式」により賄われており、この方式はG8サミット開催時にIMCで採用される。また、冬季の暖房には、ピラミッドの上部に滞留する熱を取り入れているなど、随所に環境負荷軽減の工夫が見られる。
ツアーでは、加藤啓世・札幌副市長(環境担当)と市の環境政策について懇談した後、モエレ沼公園を視察する。
6. 環境総合展
北海道洞爺湖サミットの関連事業として、6月19日~21日の3日間、札幌ドームで環境総合展2008(実行委員長・高橋はるみ知事)が開催される。環境をテーマとした総合展としては国内最大規模で、「最先端の環境技術を世界に発信」する絶好の機会となる。「環境啓発・エコライフ」「新エネルギー・省エネルギー」など4分野で道内外の300を超える団体が出展予定。まさに低炭素社会の実現に向けた、環境テクノロジーのショーケースとなりそうだ。
ツアーでは、サミットでも使用される予定の燃料電池自動車の試乗も含めて、最先端技術を体験する。
(写真提供:JHFC水素・燃料電池実証プロジェクト)
【実施要領】
1. 日程案
Day 1: 6月19日(木)
09:00 羽田空港発(NH55)
10:35 新千歳空港着
12:00-12:45 昼食
12:45-13:30 白老町の循環型社会に向けた取り組みについてのブリーフィング及び質疑応答
13:45-14:15 BDF製造施設取材
14:30-15:15 バイオマス燃料化実証試験プラント取材
16:30-17:30 ウィンザーホテル視察
18:00 ルスツリゾート着
(ルスツリゾート泊)
Day 2: 6月20日(金)
08:15 ルスツリゾート発
09:00-09:45 洞爺湖ビジターセンター
10:00-11:00 昭和新山、有珠山
11:15-12:00 洞爺湖温泉ヒートポンプシステム取材
12:15-13:00 昼食
14:00-17:00 日本製鋼所室蘭製作所
18:30 ホテル着
(札幌泊)
Day3: 6月21日(土)
08:00 ホテル発
08:30-11:15 環境総合展(札幌ドーム)
12:15-13:15 昼食懇談(モエレ沼公園)
13:20-14:00 加藤啓世副市長との懇談
14:00-16:00 モエレ沼公園取材
18:05 新千歳空港発(JL532)
19:35 羽田空港着
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人20,000円(交通費、昼食費含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。
4.募集人数:先着6名(ペン記者を優先します)
*申し込み人数が6名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5.FPCJ担当:矢野、永井(Tel: 03-3501-3405)
6.備考:写真撮影は一部制限があります。担当者の指示に従って下さい。FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。