プレスツアー(案内)

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実施日 : 2019年07月08日

案内:農の活きるまち 東京・練馬区プレスツアー

投稿日 : 2019年06月21日

日時:201978日(月)


テーマ:豊かな暮らしを生む練馬の都市農業

 

 

近年、世界各国で都市における農地の役割と魅力が見直されており、「都市農業」をめぐる新たな動きが起こっている。ニューヨークでは、ビルの屋上や室内を利用した都市農園が成長している。ロンドンでは、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックを契機に約2,700の市民農園が開設。ソウルでは2015年から都市農業2.0ビジョンを掲げ、都市農業を推進している。

 

日本では、2015年に制定された都市農業振興基本法により、「宅地化すべき」とされていた都市農地が「都市にあるべきもの」として位置づけられ、地域資源として活用されるようになった。今、あちこちの市町村で市民農園が活況だ。そこでは農作業に縁のなかった一般市民が農地を借りて野菜作りを楽しんでおり、中には本格的に農業に従事する人も出てくるなど、都市生活者の意識も変化している。

 

東京23区の北西部に位置する練馬区は、73万人が住む閑静な住宅街の随所に農地が点在し、江戸時代から続く農家が今も生業として農業を営んでいる、世界的にも珍しいまちだ。23区内の農地の4割に当たる約200ヘクタールの農地が同区にある。生産量都内1位を誇るキャベツや江戸野菜として有名な練馬大根、観光農園数都内1位のブルーベリーなど、多品種の野菜・果物が栽培されている。生産者と消費者が近い距離にあるため、朝採った農作物をその日のうちに新鮮なまま味わうことができる。農作業や収穫を体験できる「体験農園」は、練馬区が発祥地。子どもから高齢者まで「農」と「食」を学べる場、区民と農家の交流の場となり、都市生活に豊かさをもたらしている。

 


本ツアーでは、都会にありながら市街地と農地が融合したまちとして、日本の都市農業を牽引する練馬区を訪れる。1964年東京オリンピックを彩った菊農家から転身した「ブルーベリー観光農園」、住宅にぐるりと囲まれる中で種類豊富な農作物の生産を手掛ける江戸時代から続く農家、その「練馬野菜」の新鮮さを存分に味わえるビストロ、昔ながらの手づくり味噌を貫く東京唯一の味噌蔵、児童の農業体験など農地を活用した地域交流を行っている農園を訪問し、都市農業が生み出す農業と都市生活者の新しい関係を取材する。


 

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 1. 果樹あるファーム 浅見農園

1964年東京五輪を彩った菊農家から1300人が訪れる人気のブルーベリー観光農園へ~

 

練馬区には、区民がふらっと立ち寄り、ブルーベリーやぶどう、みかん、キウイ、柿、いちごなど、年間を通して様々な果物の摘み取りを楽しめる観光農園「果樹あるファーム」が身近に存在する。観光農園数は都内1位、中でもブルーベリー観光農園31園ある。ブルーベリー摘みは小さな子どもから大人まで簡単に楽しめる農体験で、浅見 喜代司(あさみ きよし)氏が営む浅見農園は、毎年シーズンには近所の家族連れなど1300人を超える人々で賑わう。ブルーベリー栽培はあまり手間がかからないと、70歳を機に始めたが、以前はパンジーやペチュニア、菊などを手掛ける花農家だった。

 

浅見氏は、日本を象徴する花「菊」で1964年東京オリンピックの開会式を彩った。聖火台へ昇る階段の両サイドを自らが育てた菊が鮮やかに飾り、その「菊の花の香る花道」を最終聖火ランナーが颯爽と駆け抜ける様子が、テレビで実況中継された。

 

菊はその年の天候や温度によって花の咲く時期が異なる、育成が難しい植物だ。浅見氏は開会式に最高の花を咲かせるため、綿密に計算して入念な菊の手入れを行い、当日に1,500株を納入するために9,000株の菊を育てた。「この年は菊と戦い続けた年だった。東京オリンピックで一番頑張ったのは選手だけど、私も皆に助けられながら、最高の花を提供できた」と当時を振り返る。

 

浅見農園では、住宅街の中でのブルーベリー栽培の様子と、誰もが気軽に楽しめる摘み取り体験について取材し、浅見氏から1964年東京オリンピックの菊栽培についても聞く。


  

【写真提供(中・右):練馬区】




2. 西貝農園

~江戸時代から続く農家、都市農業を続ける魅力と意義~

 

西貝 伸生(にしがい のぶお)氏は、10年ほど前に勤めていた企業を退職し、江戸時代から続く農家を営む義父を継ぐ形で農業を始めた。トマト、きゅうり、たまねぎ、長ねぎ、里芋、かぼちゃ、キャベツ、そら豆、枝豆、オクラ、にんにく、すいか等、季節に応じた少量多品種を栽培している。「他が作らない野菜」をモットーに、白いとうもろこしや黄色いズッキーニ、紫の白菜、オレンジ色のカリフラワーなど、カラフルで珍しい野菜も生産する。地元練馬のビストロ「Boncourage」の契約農家として、同店とコラボレーションを始めてから、特に種類が増えていった。また、西貝氏は、飲食店への販路開拓や若手農家によるマルシェ開催など、新しい取り組みも始めている。

 

都市農業には、農家と区民の距離が非常に近いというメリットがある。近所の保育園や小学校の子どもたちは、日々野菜が少しずつ大きくなり色づいていく姿を日常生活の中で目にしながら成長する。一方で難しさもある。住宅や通学路が畑と隣接しているため、早朝は大きな音の出る機械での収穫や野菜の消毒作業を控える、といった配慮が必要だ。

 

西貝農園の少量多品種の生産状況について取材する。西貝氏から若手農業家として都会で農業を営む魅力と意義、若手農家の取り組みについて聞く。


  

 

 

3. Boncourage(ボンクラージュ)

~農家と協力し、新鮮な練馬野菜にこだわったビストロ~

 

Boncourageは、店長/野菜ソムリエの大越 喜夫(おおこし よしお)氏が「地元のお客様に練馬で作られる野菜を楽しんでいただきたい」をコンセプトに立ち上げたビストロだ。大越氏は、ホテル西洋銀座など数々の飲食店を経験後、2009年の立ち上げに参画し、2011年より店長を務めている。

 

大越氏は、野菜本来の甘みを持つ新鮮な練馬野菜のおいしさに惚れ込み、フランス料理に必要な「基本的な野菜を安定的に仕入れられる」「カラフルで珍しい野菜も生産できる」という条件の下、練馬区内の農家を一軒ずつ回り、西貝農園を営む西貝氏と出会った。西貝農園の近隣へ引っ越して共同で野菜作りに取り組み、今では80種類もの練馬野菜を店で提供している。その新鮮さゆえ、なすやズッキーニ、とうもろこしも生で食べられるほどだ。

 

Boncourageでは、西貝氏生産の野菜や次に訪問する地元の味噌蔵の手づくり味噌など、練馬産の新鮮で豊かな食材を使った昼食を味わう。「農家の苦労がわかるからこそ、練馬野菜のおいしさを消費者に伝えたい」と話す店長の大越氏と、契約農家の西貝氏に、2人のコラボレーションの歩みについて聞く。


  

【写真提供:Bon Courage

 

 


4. 糀屋三郎右衛門(こうじやさぶろうえもん)

~東京唯一の味噌蔵 手づくりにこだわった心と体に優しい昔みそ~

 

糀屋三郎右衛門は、手づくり味噌を製造する都内で唯一の味噌蔵だ。明治時代に茨城県で創業し、1939年より練馬区に味噌蔵を構え、辻田 雅寛(つじた まさひろ)氏が現在7代目を務める。味噌の良し悪しが決まる「こうじ」には100%国内産米、大豆は厳選した国内産大豆のみを使い、添加物などを一切使用しない。味噌づくりは手の感触や香りなどで確認していくことが大事だとして、できるだけ機械化せず手づくりにこだわり、昔ながらの伝統の味を守り続ける。

 

仕込みでは、長い年月をかけてすみ着く酵母菌などが作用し、味に独特の深みが生まれるため、古くから用いられてきた伝統の大きな木桶を使用する。蔵には100年以上使い続けられた木桶もあり、プラスチック容器は使わない。味噌の熟成・発酵には、気候や環境などが深く関係するため、出来上がる味噌は毎回個性豊かなものとなる。現在は白米、玄米、大麦、小麦の味噌のほか、数代に渡って研究を重ね完成したこうじ「雪の花」などを、通販サイトでも販売している。練馬区産の大豆を使った味噌づくりにも挑戦している。

 

東京練馬の味噌蔵 糀屋三郎右衛門を見学すると共に、辻田氏へこだわりの昔みそ作りについて話を聞く。


  

【写真提供:糀屋三郎右衛門】

 

 


5. すずしろ農園

~大人気!練馬野菜の販売ロッカー~

 

吉田 忠男(よしだ ただお)氏は、子息と親子2代ですずしろ農園を営んでいる。畑のすぐ隣には、野菜販売ロッカーを設置し、毎朝収穫した野菜をロッカー内に用意。季節に応じて、なす、トマト、きゅうり、たまねぎ、じゃがいもなどを販売しており、新鮮なとれたて野菜が簡単に手に入ると地元の人に人気で、午前中で売り切れることも多い。練馬で3番目に始めた農業体験農園も好評で、現在約120区画の農地は全て貸し出し、利用者に農作業を指導している。

 

1996年に練馬区で誕生した農業体験農園は、農園主が自治体の助成や援助を受けつつ、丁寧な農作業指導を行い、利用者が種まきや苗の植え付けから収穫まで体験できる農園だ。練馬区の農業体験農園の区画数は全国1位。都会に住み働きながら農園生活が楽しめるとして人気のプログラムで、農家と市民の交流の場にもなっており、現在全国140か所以上に広がっている。


とれたての新鮮な野菜を住宅のすぐそばで購入できる野菜販売ロッカーを見学し、吉田氏に話を聞く。


 

 

 

6. エコファームヨシダ

~学校近くの畑が子どもたちの教室 都会の畑がもたらす地域社会貢献~

 

エコファームヨシダを営む吉田 茂雄(よしだ しげお)氏、慶應義塾大学や学習院大学の馬術部から引き取った馬糞に野菜の皮や芯、米ぬかを混ぜ堆肥活用し、とうもろこし、枝豆、じゃがいも、さつまいも、たまねぎ、大根、キャベツなどを生産している。化学肥料の使用量を極力減らして育てた野菜は、とても甘いと評判だ。

 

収穫した野菜は毎朝、練馬区内外の最大で8校の小学校へも納品しており、昼には給食として子どもたちの口に届く。帰宅途中の児童から掛けられる「今日の給食おいしかった」の一言が、「日々の大きな励み」と吉田氏。さらに、小学校の総合学習の授業に協力し、児童がエコファームを訪れて土作りや収穫体験をする機会を提供している。都会の中に存在する畑が、子どもたちの食育へ大きな役割を果たしている。

 

エコファームヨシダを訪れ、吉田氏から農園を活用した校外授業の受け入れなどを通した地域社会への貢献について聞く。


   

【写真提供(右):練馬区】




7. 前川 燿男(まえかわ あきお) 区長インタビュー

~練馬から世界へ発信 201911月開催「世界都市農業サミット」に向けて~

 

東京都練馬区は20191129日(金)~121日(日)の3日間、「世界都市農業サミット」を開催する。世界の主要都市において農地の役割と魅力が見直される中、ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントの5都市から行政関係者や研究者などを招聘し、シンポジウムや分科会、収穫体験などの視察を通して、都市農業の意義と魅力を共有、発信するイベントだ。前川区長は「世界有数の大都市東京にありながら、市民生活と融合した『生きた農業が営まれている練馬の姿』を世界に向けてアピールしたい」と意気込む。

 

前川燿男 区長より、練馬の都市農業の展望や、世界都市農業サミットへの抱負について聞く。


【写真提供:練馬区】

 

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【実施要領】

 

1.スケジュール

※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。

78日(月)>

8:00                 小竹向原駅(東京メトロ有楽町線・副都心線、西武有楽町線)集合

8:30-9:00          練馬区の都市農業についてのブリーフィング

9:00-10:00        浅見農園(果樹あるファーム(ブルーベリー観光農園))

10:15-11:30       西貝農園(江戸時代から続く農家)

11:45-13:00       Boncourageにて昼食(練馬野菜を使ったビストロ)

13:15-14:30       糀屋三郎右衛門(東京唯一の味噌蔵)

14:45-16:00       すずしろ農園(野菜販売ロッカー見学)、エコファームヨシダ(農園を活用した地域貢献

16:15-17:00       前川燿男 区長インタビュー

17:30               小竹向原駅 解散

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:2,000円(練馬区内の移動費、食費を含む)

*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。

*小竹向原駅までの往復交通費は参加者の負担となります。

 

4.募集人数:10名(各社ペン1名、カメラ1名、TV12名まで)

※申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当: 取材協力課 濵田、中野、小泉

Tel: 03-3501-3405E-mail: ma@fpcjpn.or.jp

 

6.備考:

1)本プレスツアーは練馬区が主催し、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が企画・運営を担当しています。

2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

4)主催者とFPCJは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

 

以上

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