実施日 : 2008年03月18日
3月18日(火):「東京の農業」プレスツアー
投稿日 : 2013年08月22日
第1弾:再び注目される「江戸野菜」
~地産地消を支える東京の農業。大都市の中で生み出されるこだわりの「東京産」農産物~
「東京の農業」プレスツアーの第1弾として、江戸時代にその歴史をさかのぼる、伝統の「江戸野菜」を取り上げる。都市の近代化や農業の効率化に伴い、東京から多くの農地が姿を消したが、江戸時代には地域ごとに特色のある名物野菜が名を馳せていた。その「江戸野菜」の多くが戦後消えていったが、なかには時代を越えて今も地域で受け継がれている江戸川区の小松菜や、一度は途絶えかけてしまったものの、最近になって注目されて復活を遂げた亀戸大根などがある。
近年、「地産地消」「スローフード」など、自分の暮らしている地域内で生産されたものを食す、という考え方が見直されている。消費者の食の安全性への関心も高まっている。そんななか、「江戸野菜」と呼ばれる、江戸川区の小松菜や亀戸が起源の亀戸大根などの伝統野菜に再び熱い視線が注がれている。また、最近では東京都内で生産された牛乳にこだわり、「東京牛乳」としてブランド化した牛乳も出てきた。食料を長距離輸送しない地産地消は、環境面でも注目されているほか、都市における農業は緑地としての機能や災害時の食糧補給を担う可能性もある。大都市東京のなかで営まれる農業に注目すべき動きが見られる今、創意工夫と情熱で東京での農業に取り組む生産者や新たな動きを追うことで、一見イメージが結びつかない「東京」と「農業」の関わりを見直す。
※FPCJでは今後、「東京の農業」プレスツアーシリーズとして、ブランド牛乳や、ファッションの中心地、銀座における養蜂プロジェクトなどを取り上げたツアーを実施する予定です。
江戸川区の顔、「小松菜」
「小松菜」の名前の由来は、現在の江戸川区の小松川近くを訪れた八代将軍徳川吉宗(1684年~1751年)が、昼食に出された菜っ葉の美味しさに感激し、地名の小松川から「小松菜」と名付けたこととされている。その江戸川区は、現在も全国シェア1位を誇る一大産地として、大都市東京の消費を支えている。同区では、江戸川産の小松菜のブランド化を目指し、生産者、行政、大学が協力し、その優位性を科学的に裏付ける研究プロジェクトが発足した。区内の小中学校では、地域の特産品である小松菜を積極的に給食に取り入れたり、校内で小松菜作りに挑戦したりすることで、小松菜が子供達の食育に大きな役割を果たしている。地元では小松菜を使ったアイデア商品が次々と生まれ、地域経済の活性化にもつながっている。
「亀戸大根」の復活ストーリー
江戸時代には庶民の味として親しまれていた「亀戸大根」も、戦後都市化が進み、世間から忘れ去られていた。しかし、地元亀戸の割烹「升本」の先代の女将が、昔ながらの味を残そうと亀戸大根を使ったメニューをお店に出したのをきっかけに、再び光が当たり始めた。
【 取材内容 】
小松菜(江戸川区)
1. 小松菜生産農家訪問 (江戸川区農業経営者クラブ 会長 石川善一氏)
江戸川区は年3,570トン(2005年度)の収穫を誇り、市町村別では全国1の生産地だ。江戸時代から代々小松菜を作り続けている農家を訪ね、伝統を現代の知恵で守る生産者の話を聞く。
2. 江戸川区行政・農家・弘前大学による共同プロジェクト
(えどがわ農業産学公プロジェクト)
江戸川区の小松菜の味や効能を科学的なデータで裏付けることでブランドを確立しようと、産学官がチームとなって研究に取り組んでいる。この「えどがわ農業産学公プロジェクト」は、区内の生産者団体と弘前大学、江戸川区が手を結んだもの。他の生産地との差別化を図りたい江戸川区・生産者側と、東京分室を開設し、地域との連携を模索していた青森の弘前大学のニーズが合った。弘前大の分析により、「江戸川区の小松菜はカルシウムや鉄分含有量が全国平均を上回る」という結果も出ている。食の安全性や栄養価に関心が高まるなか、消費者に「江戸川ブランドの小松菜」をアピールする強力な材料となりそうだ。
3. 小松菜を使った学校給食(小学校訪問)
江戸川区の小中学校では、地元の小松菜をふんだんに給食に取り入れている。昨年、区が11月15日を新たに「一斉小松菜給食の日」と定め、区内の全106小中学校で小松菜給食を実施。各校の栄養士がアイデアを競い、小松菜のパンやケーキなど個性豊かなメニューが登場した。区内の給食では、この日1日で、地元農家が作った小松菜約1.7トンが使われた。子供達自身が校内で小松菜作りに挑戦している学校もあり、区内の子供達の伝統的な食や健康への意識を高める「食育」に大きな役割を果たしている。
4. 小松菜を使ったアイデア商品
江戸川区では、小松菜を使った新たな名物が続々誕生している。そば屋「長寿庵」では麺に小松菜をたっぷり練り込んだうどんやそばを作り、好評だ。そのほか、小松菜焼酎、小松菜アイスクリームまである。小松菜アイスクリームは、若手生産者が、小松菜作りに使用する堆肥の提供元である牧場の協力を得て、その牧場でとれたミルクと江戸川産の小松菜を使ったアイスクリームを商品化したものだという。
亀戸大根
5. 割烹「升本」
一度は消えかけた亀戸大根の復活に大きく貢献したのは、地元亀戸の割烹「升本」の先代の女将。昔ながらの食文化が消えていくのを憂えた先代の女将さんが、亀戸大根とあさりを組み合わせた昔ながらの庶民の味「亀戸大根あさり鍋」を店のメニューとして出そうと考えたのがきっかけとなった。女将さんと、伝統野菜を後世に残したいと願う生産者との出会いがあり、契約栽培が始まった。これが波及し、地域の食文化を守ろうという機運が亀戸で高まった。近隣の学校では子供達によって亀戸大根が栽培されるようになり、2000年からは「福分け祭り」が始まった。祭りでは、子供達が育てた大根を地元の神社に奉納するほか、農家が育てた大根が参拝客らに振舞われ、地域の食文化を伝える機会となっている。(昼食)
6. 亀戸大根生産現場
「升本」と契約栽培を行っている農家の畑を見学する。亀戸大根は現在も江戸時代のままの形と品質を保っているという。
【実施要領】
1.日程案:2008年3月18日(火)
08:45 日本プレスセンタービル発(借り上げバスで移動)
09:15-10:00 小松菜 生産農家取材
10:15-11:30 東京都農林総合研究センター 会議室着
- 弘前大学との共同プロジェクト ブリーフィング
- 小松菜関連アイデア商品開発 ブリーフィング、試食
- 小松菜給食に関するブリーフィング
12:00-13:15 小学校給食取材
13:45-15:10 割烹「升本」での昼食、および取材
15:30-16:00 亀戸大根 生産現場取材
16:45 日本プレスセンタービル着
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人2,000円(移動バス代、昼食費含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。
4.募集人数:先着10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5.FPCJ担当:小泉、吉田(Tel: 03-3501- 5070)
6.備考:写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従って下さい。FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。