実施日 : 2006年04月28日
向島プレスツアー
投稿日 : 2013年08月22日
本物の芸者文化と現代アートが息づく下町探訪
実施日:4月28日(金)
申し込み状況:募集定員(10名)に達しましたので、これからのお申し込みはキャンセル待ちとなります。ご了承下さい。
浅草の向こうの島「向島」(墨田区)は都心では数少ない江戸情緒を残す町。スピルバーグ監督の「SAYURI」が描く芸者の世界を巡って様々な議論が巻き起こったが、向島は本物の芸者文化を今に伝える町でもある。江戸時代には料理屋を中心に栄えていたこの地に芸妓が登場し始めたのは明治に入ってからとされる。1940年には、それまでいくつかに分裂していた見番の大合同が実現、芸妓屋408軒、料亭・料理屋215軒、芸妓1,300人という日本最大の花街が出現した。その後の社会情勢とともに日本各地の花街は徐々に衰退していく。そうした中でも、向島は現在でも芸妓約120人、料亭・料理屋18軒という東京で6ヵ所ある花柳界の中で最大規模を誇り、本物の芸者文化を守り続けている。
そうした江戸文化が残る町・向島は今、若手アーティストらからも熱い視線を集めている。2000年に初めて開かれた大規模アートイベント「向島博覧会」では、下町の蜘蛛の巣状の入り組んだ路地や古い民家がアートシーンに変わった。その後も毎年様々なイベントが開催されている。そうした動きをきっかけに、この地に移り住む若手アーティストも現れ始めた。向島は奇跡的に関東大震災や東京大空襲の惨禍を逃れ、築100年近い木造建築物が今も随所に残る。そうした建物の空き家化も進んでおり、防災・防犯上の問題点も指摘されている。廃屋同然の建物を居住そして制作スペースとして、自分なりに甦らせて移り住む若手アーティストやクリエーターの出現は、現代アートの発信拠点としての向島の再生を予感させる。 ツアーでは新旧アートが奇妙に同居する東京の下町、向島の魅力に迫る。
このツアーはFPC、向嶋墨堤組合、墨田区、墨田区文化観光協会が共催するものです。
取材内容
1.向島の歴史と若手アーティストについてのブリーフィング
ブリーファー:向島百花園・佐原滋元さん
1804年創設、200年を超える歴史ある庶民の名園「向島百花園」。現在は都の管理となっているが、今も園内で「茶亭さはら」を営む佐原滋元さんは同園の8代目当主。佐原さんは向島の“顔”であるだけでなく、若手アーティストの向島でのイベント開催にも手を貸すなど、変わる向島・変わらない向島を間近に見ている。佐原さんを向島百花園に訪ね、向島の歴史と若手アーティストが活性化する向島の今について話を聞く。
2.若手アーティスト取材
(1)新進気鋭の現代美術作家、森脇環帆さん
森脇さんはあるアートイベントがきっかけで、築80年以上といわれる東向島の一軒屋に5年前に移り住んだ。ふるさとのように静かで落ちついた雰囲気と、銀座などにも近いロケーションが気に入っているという森脇さんは、内装も自分なりに改装し、アトリエ兼居住空間として再生した木造古民家での暮らしを楽みながら、向島を舞台にしたアートイベントでも存在感を示している。
(2)日本画家の大山龍顕さん
今春、東京芸術大学大学院博士課程を修了した大山さんは多くの店がシャッターを閉じた「鳩の町商店街」の元婦人服店を2年前から借りて制作活動を続けている。通りすがりの人が足を止めて見てくれたり、銭湯で商店街の人から声をかけてもらえる下町の人情に居心地の良さを感じている。また、商店街の組合の一員として商店街のジャンパーのデザインも引き受けるなど、商店街での認知度も高く、近く絵画教室を開くことも考えている。
(3)若手建築家の佐藤柚香さん
同じ「鳩の町商店街」で約80年前に建てられ、長年薬局として使われてきた長屋をシックな骨董品屋に変えたのは、若手建築家で古民家の移築や再生を手がける佐藤さん。「古材を身近に感じてほしい」という佐藤さんは、実家の調布からこの場所に移り住む際、大家さんから「好きにやっていいよ」と言われ、店内にも大胆に古材を取り入れた設計で、作る人の遊び心溢れる空間を作り出した。
3.向島花柳界についてのブリーフィング
ブリーファー:向嶋墨堤組合 波木井照夫組合長
昼食時に1903年創業の料亭「水の登」を訪問、芸者の芸の舞台としての料亭について理解を深めるとともに、向嶋墨提組合の波木井組合長から向島花柳界の歴史と現状、そしてバブル崩壊後は客足が遠のき厳しい経営環境が続く中、花街の繁栄を維持するための方策などについて話を聞く。
4.稽古(踊り、笛、清元)取材、舞台鑑賞と師匠及び芸妓インタビュー
芸妓芸妓屋組合・料亭組合・料理屋組合が1986年に合体してできた向嶋墨提組合では毎日、普段着の芸妓が踊りや笛、清元などの厳しい稽古に励んでおり、伝統文化の継承が実践されている。花街・向島の特徴は若手の芸妓衆が多いこと。一般のOLが、芸が好きで訪ねてくることも少なくない。また、向島では料亭・料理屋自身が、「かもめさん」と呼ばれる店専属の若い接待女性を抱えているが、その中には本格的に芸の修行をして一人前の芸妓を目指そうとする者も現れており、こうした背景も向島の伝統文化の継承を支えている。
ツアーでは、通常一般には公開していないそうした日常の稽古風景を取材するとともに、“完成品”ともいえる着飾った芸妓による芸の真髄も堪能する。さらに、技の継承の極意について踊りの師匠に話を聞くとともに、日夜芸に励む芸妓にもインタビューし、その意識を探る。
実施要領
1.実施予定日:2006年4月28日(金)
8:15 FPC発
9:00-9:45 向島の歴史と若手アーティストについての
ブリーフィング(百花園・佐原滋元さん)
10:00-11:45 若手アーティスト訪問
12:00-13:20 昼食(料亭「水の登」)及び向島花柳界につ
いてのブリーフィング(墨提組合組合長)
13:30-14:30 稽古(踊り、笛、清元)取材
14:40-15:00 舞台鑑賞
15:00-15:45 師匠及び芸妓インタビュー
16:30 FPC着、解散
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人1,500円(バス、昼食代等含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後程参加者にご連絡します。
4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。
5.FPC担当: 矢野 ・ 白井 (Tel: 03-3501-5070)
6.備考:
(1)写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2)FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。