プレスツアー(案内)

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実施日 : 2012年09月11日

案内: プレスツアー 「日本一の防犯ボランティアが治安を守る埼玉県」

投稿日 : 2013年08月23日

一時期悪化が懸念された日本の治安が、急速に回復している。1998年に戦後初めて200万件を突破した犯罪件数は、2002年には285万件でピークに達したが、その後は減少に転じ、昨年は148万件と約30年前のレベルに戻ってきている。その一因と考えられているのが、地域コミュニティーにおける人々の絆を活かした市民ボランティアによる防犯活動だ。

 

その数は5,000団体を超え、“日本一の防犯ボランティア”を誇るのが埼玉県だ。1985年頃から増加傾向にあった同県の犯罪件数は、1998年頃から急増し、2004年には18万1,350件でピークに達した。これは、毎日約500件、およそ3分に1件の割合で犯罪が発生していたことになる。また、犯罪の急増に伴って警察官一人あたりの負担も増加し、検挙率は一時12.8%まで落ち込んだ。一人の警察官が治安を担う県民の数も全国一で、警察官不足も深刻だ。

 

県では2003年に就任した上田清司知事の強いイニシアチブにより、地域住民がボランティアで巡回などをする自主防犯活動団体「わがまち防犯隊」の拡充に向けた取組をスタート。2005年以降減少に転じた犯罪件数は、2011年には10万253件と7年連続で減少し、最も多かった2004年から44.7%も減少したことになる。また、「わがまち防犯隊」の活動が街頭犯罪などを抑止することで、警察官はより重大な犯罪に取り組むことができ、検挙率も3年連続で向上し29.1%まで回復、最も低かった2002年に比べ約2.3倍となっている。特に、殺人、強盗、放火等の重要犯罪の検挙率は73.6%と、主要都道府県の中では最も高い。

 

県内では、主として地域の自治会が中心となり、昨年末現在で5,445の自主防犯活動団体(22万3601人)が街頭パトロールなどを行っている。この団体数は、2位の東京都(3,840)、3位の神奈川県(3,160)大きく引き離し、日本一を誇る。現在でも埼玉県内の自主防犯活動団体数は増加傾向にあるが、それと反比例するように、県内の犯罪件数の減少傾向が続いており、防犯・治安面で市民と警察の協働により、良い循環が生まれている。

 

本ツアーでは、県政の中でも安心・安全を重要項目としている上田埼玉県知事との会見、警察関係者への取材のほか、「わがまち防犯隊」の先駆けとして地域の治安維持に貢献する戸田市南原町会防犯パトロール隊の活動を見ながら、安全社会への取り組みを取材する。

 

<取材内容>

 

1.上田清司・埼玉県知事会見                                               http://www.pref.saitama.lg.jp/room/

 

「“源動力情報”埼玉から政策発信 ―成功モデルで日本を元気に!―」がスローガン。人口が密集した大都市から過疎の中山間地域まで多様性に富む埼玉は日本の縮図であり、埼玉で成功した政策モデルは他の地域でも役立つはずとして、埼玉の政策を積極的に公開、情報発信して全国の自治体にそれを利用して欲しいと訴える。県知事就任当初より安心・安全を重要課題とし、身近な場所で起きる犯罪を防ぐには県民ひとりひとりの心がけが大切との考えで、住民の間に自分たちのまちは自分たちで守るという防犯意識を高め、自主的な防犯活動を積極的に支援してきている。

 

1948年生まれ。1967年福岡県立三池高等学校卒業、1971年法政大学法学部法律学科卒業、1975年早稲田大学大学院政治学研究科修了。建設省建設大学校非常勤講師を経て、1993年に衆議院初当選、2003年8月に衆議院を辞職し、同9月に埼玉県知事に就任、現在3期目。

 

2.埼玉県防犯・交通安全課長および埼玉県警広報課 ブリーフィング                             
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kenkei/

 

埼玉県内の犯罪件数は減少傾向にある。2011年の刑法犯認知件数は10万253件で、前年と比較すると5,975件(5.6%)減少、これは2005年から7年連続の減少であり、過去最悪を記録した2004年の18万1,350件と比較すると、8万1,097件(44.7%)も減少している。

 

しかし、県民の身近で発生するひったくり及び自動車盗、振り込め詐欺(恐喝)の被害金額の激増等、一部の罪種については、全国的にみて高い水準で発生しており、治安情勢は依然として厳しい状況にある。

 

2001年度以降、警官の増員が導入されているものの、その間の県人口の増加もあり、警察官1人当たりの人口負担は4年連続全国1位であり、刑法犯認知件数負担も2011年度は全国第一位であり、県警察官は依然として高い業務負担を強いられている状態にある。

 

警察官不足を補った大きな要因は、「わがまち防犯隊」の活動であった。2004年には刑法犯の認知件数が過去最悪となり危機感を募らせた県は同年、「県防犯のまちづくり推進条例」を施行。翌2005年には、第1次の「県防犯のまちづくり推進計画」を策定した。計画の最重要課題のひとつが、自主防犯活動団体「わがまち防犯隊」の育成であった。県は防犯隊のリーダー養成など、団体の育成に努め、県警は犯罪発生情報の提供や合同パトロールの実施により、団体の活動を支援してきた。「わがまち防犯隊」の活動が街頭犯罪などを抑止することで、警察官はより重い犯罪に取り組むことができるようになり、検挙率の改善、刑法犯認知件数の減少に結びついた。

 

ツアー当日は、埼玉県防犯・交通安全課長および埼玉県警広報課より、県内の犯罪概況、「わがまち防犯隊」との協働、警察活動の状況につき説明を受けるとともに、埼玉県警察本部の通信指令室の視察をする(通信指令室では、1日平均約2000件の110番通報を受け、事件の現場を特定する地図表示システムなど最新機器を駆使してパトカーや交番などへ無線指令を出す)。

 

3.戸田市南原町会防犯パトロール隊                                                     
http://www.pref.saitama.lg.jp/site/wagamatibohantai/

 

戸田市南原町会防犯パトロール隊は2003年4月に結成。当時の戸田市は、犯罪発生率が県内でも一二を争うほど治安が悪化、同市を管轄している蕨警察の要請により同パトロール隊が結成された。結成当初、パトロール参加者はわずか12名、ノウハウも全くなく、家族にも反対されて止める人もあり参加者集めに苦労もしたが、街の安全を守るということを一心に試行錯誤を繰り返しながら続けてきた。

地道な努力が実を結び、例えば、パトロール隊結成時の2003年に33件あった空き巣被害が2004年には9件に、2005年には0件を達成している。こうした活動実績が認められ、警察庁の「地域安全安心ステーション推進事業」に2005年以降5回にわたり選定され、2009年には安全・安心なまちづくり関係功労者として内閣総理大臣賞を受賞している。

 

結成から9年、現在、同パトロール隊は8グループ58名で構成されており、日曜日を除き毎月22日間パトロールを行っている。夏休みや冬休みには地元の中学校と協力して生徒と合同パトロールを実施している。

 

現在では市内の町会のほとんどが何らかの形でパトロールを開始しており、戸田市では犯罪発生率が県下ワースト1、2位だったのが、2010年にはワースト7位まで(市内年間犯罪発生件数が過去最悪の4,610件(2003年)から、2,330件(2010年))に大きく改善された。市民の防犯意識が格段に上がっており、その変化が犯罪発生率にも現れていると言える。また、こうした自主防犯活動は犯罪の抑止にとどまらず、地元コミュニティーの絆を深め、高齢者の孤立を防ぐ等、地域の活性化にも寄与している。

 

ツアー当日は、パトロール隊結成時より活動を主導してきた隊長の阿部健壽朗氏にパトロール隊の概要につき伺うとともに、実際のパトロールに同行する。

 

*このプレスツアーは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが経費を負担し、埼玉県のご協力を得て実施するものです。参加者には経費の一部を負担して頂いていますが、収益を得る事業ではありません。

 

<実施要領>

 

1. 日程案:
2012年9月11日(火)
10:30        JR南浦和駅西口集合 (貸切バスで移動)
11:00~11:20  埼玉県防犯・交通安全課ブリーフィング
11:30~12:00  上田清司埼玉県知事会見
12:05~12:35  埼玉県警広報課ブリーフィング
12:45~13:15  埼玉県警通信指令室
13:30~14:30  昼食
15:10~16:00  戸田市南原町会防犯パトロール隊
           JR戸田公園駅にて解散

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3. 参加費用: 1人2,000円(交通費、昼食を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については、後日参加者にご連絡します。

 

4. 募集人数: 先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPC担当:  永井、福田 (TEL: 03-3501-3405)

 

6. 備考:
(1) 写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従ってください。
(2) FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

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