実施日 : 2011年05月25日 - 26日
案内:東北プレスツアー(2011年5月25-26日)
投稿日 : 2013年08月22日
~大震災からの復興に向けて 仙台・松島・平泉~
東日本を襲った大震災から2ヵ月余りが経過し、各地で復興に向けた動きが一歩ずつ進んでいる。大きな被害を受けた東北地方の中心都市、仙台市では、震災発生時には都市インフラは壊滅状態となり、ピーク時には市内で約10万人が避難、死者・行方不明者は700人を超えた。その後、電気、水道は3月末までに、また東北への大動脈、東北新幹線や市営地下鉄、都市ガスも4月末には復旧した。また、260余りの島々が津波の被害を和らげた名勝・松島では、観光産業やカキの養殖などで復興に向けた着実な動きが見られる。さらに今月初めには、松島と並んで東北を代表する観光地・平泉が世界遺産に登録される見通しとなった。東北地方に久々に届いた朗報で、復興の励みになると、大きな期待が寄せられている。
今回のツアーでは、東北の復興をけん引する仙台及び松島地域を訪問、復興に向けた着実な取り組みを取材するとともに、東北の復興に向けた新たな希望の光として、世界遺産登録が確実視される岩手県・平泉の文化遺産を訪ねる。
取材内容
1. 仙台市長による会見
「全国、世界の皆さんが来てくれることが最大の支援になる」と、今年8月の仙台七夕まつり、9月のジャズフェスティバルを予定通り開催することを決定した。被災地では最大の都市で交通の結節点でもあることから、「日常の回復を図りながら積極的に交流人口を増やして東北に普及させていきたい」という奥山恵美子市長から、仙台及び東北復興に向けた展望と課題、被災地から世界に向けたメッセージを聞く。
2. 世界ブランド“宮城カキ”養殖再生への取り組み
宮城県産のカキは年間生産量約5000トンで全国2位、種苗の販売量は全国1位と日本のカキ養殖を支えてきた。低水温でも成長が良く環境変化にも強い宮城県産の種ガキは、1970年代後半までアメリカやフランスにも輸出されるなど、海外におけるカキ産業にも大きな影響を与えた。60年代後半にはウィルス性の病気で壊滅状態となったフランスのカキ養殖を救ったのは宮城カキである。今回の津波で壊滅的な被害を受けたカキ養殖業者が、奇跡的に被害を免れた種ガキや地元の水族館から寄付を受けたカキを再生の源に、海の復活に取り組んでいる。東松島市の宮城県漁業協同組合鳴瀬支所では、27人のカキ生産者のうち3人が津波の犠牲となったが、残る24人で4月中旬から種ガキをつるす棚の湾内への設置を開始した。全国のカキ生産地の半数近くが宮城県産の種ガキを使用しているといわれており、全国の養殖業者が復興を待つ。ツアーでは、宮城県漁協鳴瀬支部の渡辺茂カキ生産者部会長から被害状況と復興の現状について説明を受けるとともに、種ガキの棚づくりの様子を取材する。
3. 観光復興の柱 日本三景・松島
日本三景の一つとして知られ、宮城県を代表する観光地・松島。湾内に浮かぶ260余りの島々が防波堤の代わりとなり、他の沿岸地域に比べて津波による被害が比較的小さかったものの、遊覧船が被災したほか、津波による漂流物や湾内に沈んだがれきなどにより安全が確保できず、遊覧船の運航は休止に追い込まれた。しかし、「日本三景・松島のプライドをかけて」を合言葉に復旧作業にあたり、ゴールデンウィークが始まる4月29日から一部航路が再開した。ツアーでは松島島巡り観光船企業組合・伊藤章理事長の案内で、観光遊覧船で湾内を視察、被害の状況や復旧に向けた取り組みについて話を聞く。
4. 東北を代表する酒蔵「佐浦」の再生
松島湾に面し、日本でも有数のマグロ水揚げ量を誇る塩竈に、全国的に知られる名酒「浦霞」の蔵元として知られる株式会社佐浦がある。創業は江戸中期の1724年、伊達藩から塩竈神社に御神酒を献上するよう下命されたことに始まる。今回の震災では、市内にある本社の仕込蔵の壁が崩壊したほか、津波による浸水で機械・器具類が故障、約3万本の商品が破損した。幸運にも全社員と貯酒タンクは無事であったため、現在、今年の秋の仕込みに向けて急ピッチで復旧工事が進められている。これまで米国やアジアへも販売先を増やしてきたが、ヨーロッパへの輸出へ向け力を入れる矢先の震災であった。ツアーでは、13代目である佐浦弘一社長より、被災から復興に向けた取り組みについて説明いただくほか、売り上げの一部を義援金として寄付する活動など地域復興にかける思いを伺う。
(復旧工事のため酒蔵内部の視察はできませんので、ご了承ください)。
5. 東北復興の象徴「平泉」世界遺産へ
今月初旬、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」が、平泉の文化遺産について世界文化遺産への登録を勧告した。6月下旬の世界遺産委員会で正式に登録が決定されれば、東北地方では初の世界文化遺産となる。2008年の世界遺産委員会では「浄土思想と関連の薄いものが含まれている」として登録延期とされた反省から、今回は浄土思想との関わりが明確な資産に絞り込んだことが奏功した。達増拓也岩手県知事は「平泉は戦乱の時代から東北が復興する中心だった。その歴史的経緯からも震災復興の象徴になると思っていた」と、復興のシンボルとしての平泉に期待を寄せる。内陸部にある平泉は、今回の震災では被害は軽微であったが、ゴールデンウィーク期間中の観光客は昨年より85%も激減、“観光風評被害”で大きな打撃を受けた。東北新幹線復旧後も状況は変わらず、危機感を募らせる中での朗報で、「復興の光を平泉から」を合言葉に世界遺産登録の日を待っている。
平泉の代表的な文化遺産である中尊寺や毛越寺では震災直後から、僧侶が被災地に支援物資を運んだり被災地で法要を行うなど、犠牲者の追悼と復興に向けた独自の取り組みも行われている。ツアーでは、岩手県及び平泉町幹部から話を聞くとともに、中尊寺及び毛越寺を取材する。
(中尊寺金色堂の撮影はできませんのでご了承ください。写真データをご提供いただく予定です。)
*本ツアーは、フォーリン・プレスセンターと東北観光推進機構の共催で実施するものです。参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
【実施要領】
1.日程案:2011年5月25日(水)~26日(木)
<第1日目:5月25日(水)>
07:04 東京駅発(Maxやまびこ13)
09:29仙台着
10:00-10:45 奥山仙台市長会見
12:00-12:45 昼食(松島)
13:00‐14:30 カキ養殖再生の取り組み
15:00-16:00 松島遊覧船
16:15‐17:30 株式会社佐浦
(ANAホリデイ・イン仙台 宿泊)
<第2日目:5月26日(木)>
8:30 ホテル発
10:00-10:45 岩手県幹部記者会見(調整中)
11:00-12:00 平泉町によるブリーフィング
12:15-13:00 昼食
13:15-15:00 中尊寺
15:15-16:15 毛越寺
17:08 一関発(はやて210号)
19:56 東京着
(注)被災地へのツアーのため、天候や関係者の都合等により、日程が変更となる可能性がありますので、ご了承ください。
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費:1人13,000円(全行程交通費、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、直接参加者にご連絡します。
4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります
5. FPC担当者:山口、矢野(TEL: 03-3501-3405, 5251)
6.備考:
1) 写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従ってください。
2) FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。