プレスツアー(案内)

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実施日 : 2012年10月16日 - 17日

案内:和歌山プレスツアー「世界遺産の霊場、熊野三山にみる自然と生きる覚悟」(2012年10月16-17日)

投稿日 : 2013年08月23日

自然信仰の聖地・霊場として1000年以上人々を迎え続けてきている世界遺産の熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)。本州有数の多雨地帯において形作られた山、森、岩、川、滝など自然そのものを信仰の原点とした熊野では、熊野三山の神社を巡拝する「熊野詣」が社会風習となっていった。一般庶民から高貴な身分を有する者まで、困難が多いほど熊野の神の救いも大きいと、険しい山道や川を歩き、日本各地から熊野をめざしたといわれている。このような山地の自然と信仰が強く結びついている点が評価され2004年には、熊野三山を含む3つの霊場(高野山、吉野・大峰、熊野三山)とそれぞれを結ぶ参詣道が「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録された。現在、信仰の道として登録されているものは、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路とあわせ、世界に2例しかない。

 

熊野川流域の年平均降水量は、約2,800mmで、日本全体の年平均降水量の1,700mmの約1.6倍に相当する。水はこの地に、豊かな自然をはぐくむ反面、災害も繰り返し引き起こしている。昨年の9月、和歌山県に死者・行方不明者60名を超える甚大な被害をもたらした台風12号の豪雨で熊野川が氾濫したため、浸水や土砂崩れなどの被害が熊野三山にも及んだ。今回の水害では、2011年8月30日から9月4日の僅か5日間で降水量約2,000mmと記録的な豪雨となった。災害から1年が経過し、もとの美しい姿を取り戻しつつある熊野三山は、以前と変わらず参拝者や観光客を迎えている。そんな中、熊野速玉大社は10月16日に御船祭を例年通りに実施し、全国に熊野の元気な姿を発信する。

 

今回のツアーでは、10月16日に開催される熊野速玉大社の例祭「御船祭」にあわせて熊野三山を訪問し、水害と隣り合わせの環境で暮らし、自然と共生している人々の営みを取材する。特に被害が甚大であった那智勝浦町では、寺本眞一町長より復旧に向けた取り組みについて伺う。また、広川町では、安政南海地震(1854年)の際の津波被害や防災意識を現在に伝える稲村の火の館も訪ねる。ツアーの最後には、災害に強い「安全」和歌山の実現を目指す仁坂和歌山県知事より、防災・減災について話を伺う。

 

1.熊野三山
~日本人の精神文化の源流~

 熊野三山のうち、熊野本宮大社は、1889年の大水害でほとんどの社殿が流出したが、流出を免れた主要社殿を高台にある現在の社地に移築・再建して今年で120年目を迎える。120年前に本殿があった熊野川の中州は、大斎原(おおゆのはら)と呼ばれ、今回の水害でも冠水し、数十センチの泥が堆積した。熊野川の河口付近にある熊野速玉大社では、古代から祈りが捧げられてきた御船島が濁流に飲まれた。また、日本一の落差133mを誇る那智の滝を御神体とする熊野那智大社の境内にも土砂が流入した。熊野に生きる人たちは、熊野の自然の厳しさを改めて目の当たりにする中でも、自然を崇め、自然とともに折り合いながら生きている。

熊野本宮大社からほど近い川湯温泉の旅館「川湯みどりや」の名渕敬支配人によると、「熊野川流域では、3年から5年に一度の頻度で水害はあるものの昨年の台風12号のような規模での災害は、はじめてで、人間の力は自然にかなわないと改めて実感した」とのこと。船頭の一人を失いながらも川の参詣道をたどる川下りを今年の4月には再開させた熊野川川船センターは、それが「熊野にいきる」ということだと、災害があってもなお、熊野の自然と共に生きる道を歩んでいる。
 ツアー当日の10月16日は、熊野川を舞台に1800年以上続いている熊野速玉大社の例大祭「御船祭」が開催される。ツアーでは、辻林世界遺産センター長より熊野三山の概要説明を受けた後、熊野の自然と生きる人々の営みを取材するため、語り部の案内で熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社を訪れる。また、。水害の被害が甚大であった那智勝浦町では、寺本眞一町長より被災当時の様子や復旧の状況について伺う。

 

 

 

○熊野三山
和歌山県の東南部にあり、相互に20~40㎞の距離を隔てて位置する「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」の3つの神社。ツアー1日目に熊野本宮大社、熊野速玉大社を、二日目には、熊野那智大社を訪れる。

 

・熊野本宮大社(田辺市本宮町)
熊野詣で、熊野古道中辺路を歩いた巡礼者が、一番初めに参拝するのが熊野本宮大社。家都御子大神(けつみこのおおかみ)を主祭神とする。同社では、九鬼宮司へのインタビューを行う他、120年前まで社殿があった旧社地・大斎原を訪ねる。
・熊野速玉大社(新宮市)
熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)を主神に熊野川の河口に鎮座している。ツアーでは、川の参詣道「熊野川」を川舟で下りながら語り部より御船祭についての解説を受ける。また、御船島付近にて舟の上から御船祭を観覧する。
・熊野那智大社(那智勝浦町)
熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)を主祭神として那智山中腹に鎮座する。落差日本一の那智の滝を信仰する自然崇拝が起源とされる。ツアーでは、語り部の案内により拝殿や那智の滝を巡る。

 

2.勝浦漁港(オプショナル)
 暖かい黒潮の影響を受け世界最北端のサンゴ群生域として知られる和歌山県の沿岸は、好漁場としても知られる。那智勝浦町の勝浦漁港は、はえ縄漁法による生鮮まぐろ水揚げが日本一で、昨年の水揚げは約1万2千トン、取引総額は約62億円。
 ツアー二日目の早朝、生マグロの競市を漁業協同組合関係者の案内で見学する。(希望者のみ。マグロの水揚げがない場合は中止になります。)

 

3.稲むらの火の館
~過去から学ぶ未来への備え~

 和歌山県の広川町には、「津波防災の日」(11月5日)の所以となる史実が残されている。1854年の安政の大地震の際、ヤマサ醤油7代目の当主・濱口梧陵(はまぐちごりょう)が、刈り取った稲に火をつけることで地元の村人たちに津波を知らせ避難地に誘導したという「稲むらの火」という話。この話は、津波啓発の教材として、小学校の教科書に掲載されている他、アジアの8カ国(バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ネパール、フィリピン、シンガポール、スリランカ)の言語で翻訳版も刊行されている。「稲むらの火」の主人公の濱口梧陵は、津波から村人の命を救っただけでなく、私財を費やし災害からの復興事業として村人を雇用し海岸に堤防を築いた。高さ約5メートル、長さ約600メートルの堤防は、1946年の地震による津波から村を守った。これらの濱口梧陵の偉業を現代に伝える「稲むらの火の館」は、特に昨年の東日本大震災後は防災教育の拠点として注目を集めている。

ツアーでは、津波の一時避難所を兼ねている稲村の火の館(和歌山県広川町)を訪れ、熊野亨館長から濱口梧陵の功績や、津波災害に関する啓蒙活動について話を伺うとともに、濱口梧陵が築いた広村堤防を視察する。

 

4.和歌山県知事会見
~”癒しの地”和歌山と災害への備え~

年間3000万人の観光客が目指す“癒しの地”和歌山県には、世界遺産の他、マグロの水揚げが国内最大級の那智勝浦漁港、パンダの飼育頭数日本一のアドベンチャーワールドなどがある。さらに、味噌、醤油などの日本食にかかせない調味料発祥の地としても知られる。
しかしながら、東日本大震災直後の外国人観光客の減少や、紀伊半島を襲った台風12号の記録的な豪雨による水害の影響により、2011年に和歌山県内を訪れた観光客は8年ぶりに3000万人を下回った。紀伊半島豪雨災害から1年が経過し、被害を受けた道路、鉄道などの応急復旧は完了している。和歌山県は今年度、災害に備えた「安全」の政策を重要な柱の一つとして掲げ、台風12号からの復旧事業費や防災対策などに重点を置き11年ぶりに5700億円をこえる予算措置をとった。そんな中、内閣府が8月末に南海トラフで想定される最大級の地震での被害想定を公表した。和歌山県においては、最大20メートルの津波が発生し、死者は8万人に上るとされている。
ツアーの締めくくりとして、仁坂吉伸和歌山県知事より和歌山県の魅力の他、台風第12号の甚大な災害からの復旧・復興状況や南海トラフ地震など将来の大規模災害発生に備えた取組について話を伺う

 

*本プレスツアーは、フォーリン・プレスセンターと和歌山県の共催で実施するものです。
参加者には経費の一部を負担して頂いていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

<実施要領>

 

日程案:2012年10月16日(火)~17日(水) (一泊二日)
10月16日(火)
07:35  羽田空港発(JAL1381)
08:45  白浜空港着(貸切バスで移動)
09:45-10:30 熊野古道・滝尻王子
11:30-12:30 昼食@川湯温泉の旅館「川湯みどりや」
       (名渕支配人、辻林世界遺産センター長へのインタビュー含む)
12:30-14:00 熊野本宮大社(九鬼宮司へのインタビュー)
15:00-16:00 熊野川(舟下り)
16:00-17:00 御船祭(舟上より取材)
17:15-17:30 熊野速玉大社
18:15-19:00 那智勝浦町長会見
19:15     宿泊先(勝浦温泉)着
(勝浦温泉泊)

 

10月17日(水)
07:00-7:40 勝浦漁港まぐろの競市(希望者のみ)
08:00    宿泊先発
08:30-10:00 熊野那智大社、那智の滝
12:00-12:40 昼食
14:20-15:40 稲むらの火の館(熊野館長ブリーフィング)
17:00-18:00 和歌山県知事会見
19:55    関西空港発(ANA148)
21:15    羽田空港着

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人13,000円(交通費、食事含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。
4.募集人数: 先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5. FPCJ担当: 山口(TEL: 03-3501-5070)
6.備考: 
(1)写真・TV撮影は一部制限があります。担当者の指示に従ってください。
(2)フォーリン・プレスセンター及び和歌山県はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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