プレスツアー(案内)

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実施日 : 2012年11月12日

案内:「植物工場」最前線(千葉県)プレスツアー(2012年11月12日)

投稿日 : 2013年08月22日

~新たな技術が切り開く農業のフロンティア~

 

急激な農家人口の減少と高齢化が進む日本の農業に構造的な変革をもたらすと期待される植物工場。温度、光、水、養分、二酸化炭素などをコンピュータで管理し野菜などを栽培する。気象や病虫害等の被害リスクを最小にし、植物の生育環境を最適に維持できることで、青果物の質的・量的な安定供給が可能だ。さらに農作業を行う人にとって快適な職場環境も実現できる。特に昨年の原発事故以降は、安全・安心な食品を求める消費者の声が強まっているほか、津波による農地の塩害や放射能汚染の問題を抱える被災地の復興にも役立つと期待が膨らんでいる。また、気候変動などの影響で食糧問題が深刻化する中、海外からの注目度も増している。

 

そうした中、千葉県柏市で植物工場分野の世界的開発拠点を目指した取り組みがスタートした。環境・エネルギー問題や少子高齢化など世界の共通課題の解決モデルを目指して開発が進む未来型都市「柏の葉スマートシティ」の一角に昨年4月、千葉大学拠点植物工場が稼働を始めた。7つのコンソーシアムが独自の手法で植物工場を設置、最少の資源とエネルギーで最大の収量を得る、人や環境に優しい植物工場の最先端の研究が進められている。今月からは、高齢者の就農を想定した作業補助ロボットの導入実験も始まるほか、柏の葉スマートシティに暮らす住民を対象に、家庭菜園のような感覚で楽しめる家庭用植物工場の実証実験も始まっている。

 

ツアーでは、柏の葉スマートシティで進む植物工場研究の最前線を取材する。

 

※本プレスツアーは千葉県が主催、フォーリン・プレスセンターが企画運営協力しています。参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

<取材内容>

 

1.「柏の葉スマートシティ」ブリーフィング
~世界の課題解決モデルに向けたまちづくり~

http://www.mitsuifudosan.co.jp/kashiwanoha/future/index.html

 

東京都心から25キロ、つくばエクスプレスで約30分。千葉県柏市北部のゴルフ場跡地を中心に行われるゼロからのまちづくりとして、10年ほど前から開発が始まったのが、柏の葉キャンパス地域だ。周囲には東京大学、千葉大学がキャンパスを構え、273haの広大なエリアには既に大規模な集合住宅群と商業施設が備わり、最終的には26,000人が居住する国際キャンパスタウンができる計画。公・民・学が連携して「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」といった世界の課題を解決するモデル都市、そして安心・安全でサスティナブルな「スマートシティ」を目指している。例えば、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を搭載した住宅では、既に400世帯が生活しており、単一地域でのHEMS導入例としては国内最大規模だ。また、昨年6月からは、電気自動車や電動バイク、自転車を市民が共同利用する「マルチ交通シェアリング」サービスも始まっている。

 

都市の中で農業と触れ合う新しいライフスタイルを提案する「農あるスマートシティ」の取り組みも注目されている。柏の葉キャンパス駅前には市民が気軽に農業体験ができる1万㎡の貸農園が広がり、収穫した野菜をその場で味わうバーベキューのほか農園ウェディングといったサービスも提供されている。

 

ツアーでは、街づくりの拠点施設である「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」の三牧浩也副センタ―長から、「世界の未来像」をつくる柏の葉キャンパス地域の取り組みについて説明を受ける。

 

2.千葉大学拠点植物工場
~植物工場の世界的開発拠点を目指して~

http://www.fc.chiba-u.jp/plant-factory/project.html

 

農林水産省の補助事業として昨年6月に開所式が行われた国内最大規模の植物工場研究施設。民間企業・団体、教育・研究機関からなる7つのコンソーシアムが、太陽光利用型植物工場5棟(トマト)と完全人工光型植物工場2棟(レタス)を設置、それぞれが独自の方法で生産性の増大とコストの縮減を競っている。植物工場でのトマトの収量はアジア最高水準に達しており、レタスについても通常の畑に比べて水が100分の1、肥料が4分の1という省資源で環境にも優しい栽培ができるほか、収穫量も50倍と高い生産性が証明されている。

ここで完全人工光型植物工場を設置している植物工場ベンチャーの株式会社みらいの技術は東日本大震災の被災地でも注目されている。津波などで被害を受けた農地でも安全・安心な野菜を生産できるほか、新産業の育成や雇用創出が復興につながるとして、宮城県多賀城市で同社の技術を活用した植物工場の設置が決まり、来年度から生産を開始する見込みだ。また、福島県川内村でも今年度中に別の企業が完全人工光型の植物工場を建設する予定で、こうした植物工場の栽培担当者の研修も千葉大学で行う。

 

食糧問題は今や世界的なテーマだが、気候や天候に左右されず少ない資源で安定的に生産できる植物工場は、国内のみならず海外からも熱い視線を集めている。開設から1年余りで来訪者は7,000人を超え、うち数百人はアジアを中心とした海外からの視察者だという。

 

また今月からはトマトの植物工場で、収穫作業支援ロボットの実証実験も始まった。コンテナを搭載したロボットが収穫作業を行う人の動きに合わせて移動し、収穫したトマトを集荷場まで運んで戻ってくるシンプルな仕組みだが、高齢化する農業従事者の作業負担の軽減と農作業の一層の効率化につなげたい意向だ。

 

ツアーでは、千葉大学拠点植物工場を訪問し、プロジェクトを主導する同大学大学院園芸学研究科の丸尾達准教授から植物工場の可能性について説明を受けるとともに、作業支援ロボットの実証実験が行われている植物工場など研究施設を取材する。

 

3.家庭用植物工場
~“世界初”家庭用植物工場が育む地域コミュニティ~

http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2012/0528/index.html

 

植物工場分野の先端的な取り組みの一環として今年9月から、柏の葉キャンパス地域に暮らす住民をモニターに、小型の家庭用植物工場の実証実験がスタートした。「間接照明と観葉植物を合わせたような外観デザインがオシャレ」と好評な家庭用植物工場は、千葉大学、三井不動産、パナソニック、みらいの4者が組織する「街中植物工場コンソーシアム」プロジェクトの一環だ。モニター住民は、小型の冷蔵庫程度の大きさの家庭用植物工場を自宅に設置し野菜の栽培を行う。各家庭の温度や湿度による生育状況への影響を検証するほか、モニター住民は専用のウェブサイトを通じて専門家から助言を得たり、住民どうしも栽培状況などについて情報交換できるシステムを構築している。また、将来は収穫した野菜の物々交換などで交流が深まることによる地域の新たなコミュニティの醸成も視野に入れている。
ツアーでは、モニター住民のご家庭を訪問し、野菜の栽培の様子やモニター住民どうしの交流などについて話を聞く。

 

<実施要領>

 

1.日程案: 2012年11月12日(月)
10:45 つくばエクスプレス 柏の葉キャンパス駅 集合(以降徒歩で移動)
11:00-12:00 柏の葉スマートシティ ブリーフィング
12:00-13:00 体験農園施設(オークビレッジ柏の葉)視察及び昼食
13:20-15:20 千葉大学拠点植物工場 取材
15:40-16:30 家庭用植物工場導入住民 取材
16:45 柏の葉キャンパス駅 解散

 

2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用: 1人1,000円(昼食費含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当: 福田(TEL: 03-3501-3405)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)千葉県及びFPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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