実施日 : 2010年11月22日
案内:山梨県プレスツアー(2010年11月22日)
投稿日 : 2013年08月22日
~森林と水、豊かな自然が作り出す「やまなしブランド」の挑戦~
山梨県は、県土の約8割を森林が占め、その豊かな森林から生み出される豊富な水は、ブドウや桃といった多くの果実を育て、「フルーツ王国やまなし」と呼ばれる。日照時間が長い上、昼と夜の気温差が大きく土地の水はけが良いなど、果物づくりに適しており、その恵まれた自然を生かしたワインづくりも国内外で注目を集めている。また、ミネラルウォーターの採水地として、全国シェア約40%と日本一の名水地としても有名だ。高品質かつ日本一の生産量を誇る県内の水を求めて、大手食品関係の企業も県内に工場を構える同県は、良質な和紙の生産地や温泉地としても知られる。
本ツアーでは、「水と緑の国・山梨」として最大限の魅力かつ強みである自然資源を利用して、地域経済の活性化につなげようとする県の取り組みと、世界市場に果敢に挑む地元中小企業を取材する。
取材内容
1.中央葡萄酒
2010年、ついに山梨県のブドウ品種「甲州」が葡萄ワイン国際機構(OIV、本部・パリ)に品種登録が認められ、「KOSHU」の名を冠したワインの欧州向け輸出が7月から始まった。日本のワインで、固有品種名を掲げて本場に進出を果たすのは甲州が初めてで、「和食に合う」ワインとして欧州でも評価は高まっている。まず第一弾として海を渡ったのは、勝沼の地場ワイナリーの代表的な存在である「中央葡萄酒」が醸造する2009年産白ワインの「グレイス甲州茅ケ岳」と「グレイス甲州プライベート・リザーブ」計2000本。同県ワイン酒造協同組合では、今年度中に県内5社の計1万本の出荷を目指している。日本を代表するワインとして世界に訴えたい」という中央葡萄酒のワインは、昨年オーストラリアの有力紙が大々的に取り上げたこともあり、既に同国への輸出は始まっている。これまでシンガポール、マレーシア、台湾といったアジア圏やドイツ、フランス、米国等の欧米圏へも販売先を増やしてきたが、今回は念願の本場欧州への本格参入となった。
ツアーでは、同社社長であり山梨県ワイン酒造協同組合の理事長でもある三沢茂計氏より、甲州ワイン輸出への道のりや今後の戦略等話を聞いた後、ワインのテイスティング、工場および圃場の見学を行う。
2.横内正明・山梨県知事との懇談
http://www.pref.yamanashi.jp/chiji/top.html
1942年、山梨県韮崎市生まれ。東京大学法学部卒業後の1964年に建設省(現在の国土交通省)へ入省。1993年から9年間衆議院議員を務め、2001年5月には第1次小泉内閣において法務副大臣として活躍。2007年に山梨県知事に初当選した。
「やまなしブランド」を全国、世界に情報発信すべく、知事自身がトップセールスマンとなって観光客の誘致や県産品の販路拡大を進めることで、産業と経済の活性化に取り組んでいる。今年1月には「世界のワイン情報の7割が発信される」というロンドンを訪問、地元の著名なワインジャーナリストらに「甲州」の魅力を直接訴えた(今年8月末には香港・上海でワイン、果物及び観光に関するプロモーションを行った)。
3.株式会社「大直」
http://www.onao.co.jp/japanease_index.html
南アルプスの気高い峰々と清い水に恵まれ、遠く平安時代から和紙の産地として知られてきた市川大門。現在でも障子紙では全国シェア40%を誇る日本一の産地だ。ここに本社を構える老舗の和紙メーカー「大直(おおなお)」(1974年に法人化)は、伝統の中に新しい技術を盛り込んで、インテリアや雑貨にも利用できる破れにくい紙「ナオロン」を開発。雨にも強く、濡れた状態の方がさらに強度が増す常識を覆す「ナオロン」は、通常の紙同様の軽さにもかかわらず、10kgの耐荷重テストをクリアしている。
同県出身の世界的工業デザイナー深澤直人氏の協力のもと、この新素材を用いた新たな商品を開発、2年前に欧州最大規模のインテリア・生活雑貨の見本市「メゾン・エ・オブジェ」(パリ)に出展したところ大好評を博した。千年の歴史と最新の技術の融合から生まれたブランド「SIWA・和紙」。伝統ばかりを重視して、生活に取り入れられなければ意味がないと、現代の生活にとけ込む和紙製品をつくりたいという思いからこのブランド「SIWA」が生まれた。バッグやブックカバー、iPodケース等さまざまな商品を展開しており、日本のみならずイタリア、フランス、スイス、アメリカといった欧米市場を中心に世界7カ国でも販売を展開している。
コウゾやミツマタといった和紙の原料の国内での調達が困難なため、現在ではベトナム、フィリピン、タイといったアジア圏で現地の自然素材を使った紙すきの技術指導を行い、輸入したものを国内で加工している。
ツアーでは、一瀬美教社長から市川大門の和紙の歴史やSIWAの商品開発、今後の販売戦略等の話を聞くとともに製造工場を訪問、手すき生産から機械生産に移行した1960年から動き続ける全国的にも珍しい紙すき機による生産工程等を視察する。
4.山梨大学ワイン科学研究センター
「山梨大学ブランドの商品開発」と「ワイン人材生涯育成拠点」
http://www.wine.yamanashi.ac.jp/
全国のワインメーカー約200社のうち80社が集中する山梨県。山梨大学ワイン科学研究センターは、果実酒を専門に研究する我が国唯一の研究機関として1947年に設置され、国内の大学では唯一、ワイン醸造を手がけている。同センターでは、さまざまな研究成果や技術を利用した「山梨大学ワイン」を次々と開発し、地元ワイナリーで製造・販売されている。なかでも、世界初の海洋酵母で発酵させた「山梨甲州『海洋酵母仕込み』」は、年間1万本を売り上げるヒット商品となった。
同センターでは今年4月、県内北杜市の飲料メーカーとの共同開発で、同大オリジナルのワイン酵母を使った大豆加工飲料「大豆で作った飲むヨーグルト」を発売。地元で生産された大豆と南アルプスの清流を使用、大豆を丸ごと使用しながら、「山梨ワイン酵母」が大豆特有の臭いを抑え、うまみ成分を増加させることに成功した。健康志向が高まるなか、地元のみならず、7月には首都圏でも販売展開を開始。コンビニエンストア「ナチュラルローソン」でも取り上げられるなど注目を集めており、大手スーパーからの引き合いも多いという。今後は、「果樹王国山梨」発の新たな「やまなしブランド」としてブドウや桃を使った商品開発を進める。
また、これまでも全国のワイナリーに多くの技術者を送り込んできた山梨大学だが、「ワイン人材生涯養成拠点」事業が、平成18年度の文部科学省「地域再生人材創出拠点の形成」に採択された。これは、山梨大学、山梨県、地域ワインメーカーが連携してワイン人材を養成し、その生涯にわたる技術・ビジネス支援を行う拠点で、地域ワイン産業の技術力を世界水準へと向上させ、地域ワインブランドの確立とグローバルスタンダード化を実現する人材の養成である。修了生には修了証書(ディプロマ)が与えられ、クオリティの高い人材を輩出していることからも民間企業からの評価が高く、本年度で終了する同事業については継続が検討されている。
ツアーでは、同センターのセンター長であり、「山梨甲州『海洋酵母仕込み』」や「大豆で作った飲むヨーグルト」の研究開発に携わった柳田藤寿教授より話を聞く。また、地下貯蔵室および試験醸造場の視察後、同大学で醸造したワインのテイスティングをする。
*本ツアーは、フォーリン・プレスセンターと山梨県が共催して実施するものです。参加者には経費の一部を負担して頂いていますが、営利を目的とした事業ではありません。
実施要項
1.日程案: 2010年11月22日(月)
07:30 FPC発
09:30-11:00 中央葡萄酒株式会社
11:40-12:35 昼食@サドヤ
12:45-13:30 横内正明・山梨県知事記者会見(サドヤ)
14:30-16:00 株式会社大直
17:15-18:50 山梨大学ワイン科学研究センター
20:30 FPC着
実施要項:
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人3,000円(全行程交通費、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後程参加者にご連絡します。
4.募集人数:先着順10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5.FPC担当:鈴木・矢野(Tel: 03-3501-3401)
6.備考:
(1)写真・TV撮影は担当者の指示に従ってください。
(2)FPCはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。