プレスツアー(案内)

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実施日 : 2016年03月29日

案内: 富山市プレスツアー

投稿日 : 2016年03月04日

-地域資源をエネルギーに変える 「環境未来都市・富山」の挑戦-

 

 

DSC02631富山市が進める「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」が国内外で高く評価されている。同市は、路面電車の整備などで公共交通の利用を促進し、市街地に都市機能を集約させることに加え、省エネルギーや再生可能エネルギーの普及に取り組んできた。2011年には、環境や超高齢化社会に対応したまちづくりの優れた成功例として、政府から「環境未来都市」に選定された。また、2014年には、国連SE4All (Sustainable Energy for All、万人のための持続可能なエネルギーの意)の「エネルギー効率改善都市」に日本で唯一選出された。SE4Allは、全世界で持続可能なエネルギーの利用とシェア拡大を促進し、エネルギー効率を高めることを目標に定めた国連事務総長によるイニシアチブだ。

 

今年5月にG7環境大臣会合の開催を迎える富山市。本ツアーでは、地域の資源をエネルギーに変え、農業などに利用している同市の取り組みを取材する。

 

※本プレスツアーは富山市及び富山テレビ放送が主催し、フォーリンプレスセンターが企画協力しています。
※本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
※富山テレビ放送は、本ツアーに参加する海外メディアが富山市をどのように取材するかを市民に伝えるため、本ツアーに基づく番組を制作する予定です。

 

 

 [取材内容]

1. 温泉熱と太陽光で育てるエゴマ栽培工場

牛岳(うしだけ)温泉植物工場 

 

egoma12014年4月、市内南西部の山間部に位置する山田地域に建設された牛岳温泉植物工場で、エゴマの水耕栽培が始まった。エゴマは、シソ科の植物で、葉には抗酸化作用が高い成分が、また、種子には人間の体内で生成できない必須脂肪酸のほか、認知症やがん予防への有効性が指摘されている成分も含まれている。この工場は、その高い健康効果に国内外の注目が集まるエゴマを市の特産物として普及させるための施策の一つとして建設された。また昨年、富山市内の縄文遺跡で発掘された土器内に大量のエゴマの果実の跡が発見され、エゴマと市の関係は、縄文時代まで遡ることも明らかになった。同工場は、栽培面積800平方メートルで、今年度は昨年度の4倍の約40万枚の葉を生産する見込みだ。地域の資源である温泉が活用されており、温泉水から採る熱は冬の暖房に使用、これによって光熱費の約35%削減が期待できる。また、工場の屋根を利用して太陽光発電も行い、年間電気使用量の約6%を賄っている。
fotorcreated_egoma市から委託を受け、工場を運営するのは市内企業4社が出資してできた株式会社健菜堂(けんさいどう)。同社は、同工場で栽培したエゴマの葉を市から買い取り、市内の保育所や小中学校、病院の給食用に販売している。また、同社と地元農家は、地域の畑や市が購入した大規模耕作放棄地でエゴマを露地栽培し、収穫したエゴマの種子からエゴマ油を搾油、市内スーパー等で販売している。今年度は約800リットルのエゴマ油の製造が見込まれる。
市は、6次産業化を更に進めるため、民間企業に対し、エゴマ油を使ったサプリメントの製造・販売も支援しており、同社は今年4月頃を目途に商品化を目指している。また、福島県がかつて国内最大のエゴマの産地であったことから、東日本大震災からの復興に協力するため、福島県に対し、エゴマ栽培の復活を打診している。
国際連携の動きも始まっており、富山大学とイタリア食科学大学は「最も理想的な食用油」として知られるエゴマ油とオリーブ油をブレンドした健康効果のより高いオイルの開発を目指し、共同研究を進めている。

 

市が推進するエゴマ特産品化の計画を聞いた後、牛岳温泉植物工場におけるエゴマの葉の栽培の様子をガラス越しに撮影する。また、搾油の様子も視察する。

 

 

 

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2. 廃棄物焼却でエネルギー100%自給の巨大ハウス栽培

株式会社 富山環境整備 

 

㈱富山環境整備は、廃棄物処理などを行う社員約350名の企業で、年間30万トンの廃棄物を細かく選別・リサイクルし、最終的にリサイクルできないものを埋立している。
DSC026552015年に合計4ヘクタールのハウス28棟が完成し、フルーツトマトとトルコギキョウなどの花きの栽培を開始。ハウスの最大の特徴は、使用するエネルギー年間約988万キロワット時(計画量)の全てを自社で作り出していることだ。廃棄物を焼却する際に発生する廃熱を利用して発電した電気をハウスで使用する全ての電気機器に利用しているほか、発電時の余剰蒸気を熱エネルギーに変換し、ハウス内の冷暖房に使用している。また、ICT(情報通信技術)を活用し、ハウス内の温度や湿度などをデータ化し、最適な生育環境を探るべく、分析を行っている。

FotorCreatedこの取り組みは、施設の大規模な集約によってコストを削減、地域資源エネルギーとICTを活用して農作物を計画的に生産し、所得向上や雇用創出を目指す事業として、2014年に農林水産省の「次世代施設園芸導入加速化支援事業」に選定された。事業費約27億円のうち国から約17億円の支援を受け、同社は市や県等と連携して事業を運営している。

年間目標収穫量はフルーツトマト500トン、花き140万本。主な出荷先は、全国のスーパーで、フルーツトマトはタイやシンガポールにも輸出している。地域の雇用創出にも貢献しており、85名の従業員のうち、7割を市内在住者が占める。

 

市内西部婦中(ふちゅう)町にある㈱富山環境整備を訪れ、4月から本格稼働予定のプラスチック選別工場の他、フルーツトマトとトルコギキョウのハウスを取材する。

 

 

 

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3. 農業用水路で小水力発電、海外展開も視野に

西番(にしのばん)小水力発電所

 

富山県は、水力発電として利用可能な水力エネルギー量(包蔵(ほうぞう)水力)が全国2位で水資源が豊かな地域だ。富山市は、地域の特徴を活用して小水力発電の普及に力を入れており、標高3,000メートル級の立山連峰から日本海の富山湾へ注ぐ全国有数の急流河川である常願寺(じょうがんじ)川から取水した農業用水路に、4年前に2基の小水力発電所を建設した。
DSC02646土地改良事業を施行することを目的に設立された法人、常西(じょうさい)用水土地改良区が建設したのが、西番小水力発電所だ。農業用水路の3メートル近い段差がある地点に、発電・昇降機能を備えた水車が設置されている。水車は、年間18.6万キロワット時、一般家庭約45世帯が一年間に使う電力を作りだしている。常西用水土地改良区は、増え続ける維持管理費と施設の改修費用を補うため、小水力発電所を建設、発電した電気は全て北陸電力に売電し、年間で650万円の収入がある見込み。
富山市は、JICAの支援を受けた市内の水車開発企業と協力して、小水力発電の海外展開を進めており、昨年から、電力不足に悩むインドネシア農村部での現地調査を進めている。ダムのような大規模開発の必要がなく、環境に優しい小水力発電は東南アジアの農村での活用が期待される。

 

西番小水力発電所にて、市職員より小水力発電所の普及とインドネシアへの展開の展望を聞くとともに、常西用水土地改良区関係者より、同発電所建設の目的や発電のしくみを聞く。

 

 

 

市長写真IMG_0572t

4. 富山市長インタビュー&TOYAMAキラリ

森 雅志 (もり まさし)富山市長 (63)

 

森市長は2002年に旧富山市の市長に初当選。2005年に市町村合併後の現富山市の市長に初当選し、現在3期目。世帯あたりの自動車普及率全国2位で「クルマ社会」の同市に路面電車を整備するなどして公共交通を再生し、車が無くても日常生活に不自由を感じずに暮らせる「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」を進めてきた。これらの政策は、人口減少と超高齢化社会に対応した環境にやさしいまちづくりとして国内外から注目されている。

 

 

 

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昨年完成したTOYAMAキラリ富山市ガラス美術館や市立図書館本館等が入る複合施設。市内中心部に位置し、専用駐車場がなく、市民は路面電車を利用する「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」を象徴する施設だ。

 

①富山市ガラス美術館を渋谷 良治(しぶや りょうじ) 館長の案内で視察する。

 

②TOYAMAキラリの一角で、森市長より「環境未来都市・富山」の現状と今後の展望を聞く。

 

 

 

[実施要領]

 

1. 日程: 2016年3月29(火)

7:20-9:31

北陸新幹線かがやき503号にて東京駅→富山駅

10:25-11:10

西番小水力発電所

12:00-13:10

牛岳温泉植物工場

13:40-15:35

㈱富山環境整備

16:15-17:00

富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ内)

17:00-17:40

市長会見(TOYAMAキラリ内)

17:40-18:55

夕食(TOYAMAキラリ内)

20:06-22:20

北陸新幹線かがやき516にて富山駅→東京駅

※上記は仮日程です。若干の変更が生じる可能性があります。

 

2. 参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

3. 参加費用: 1人5,000円(全行程交通費、食事代を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4. 募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5. FPCJ担当: 横田(TEL: 03-3501-3405)

 

6. 備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)FPCJ、富山テレビ放送、富山市はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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