実施日 : 2014年02月13日 - 14日
案内:プレスツアー「高齢化社会に挑む!地方都市・富山の取組み」
投稿日 : 2014年01月24日
2025年、日本は世界に先駆けて超高齢化社会に突入する。戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」が大挙して75歳を迎え、日本の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は30%に達し、高齢者の単身世帯は700万を超える見通しだ。これにともなって医療や介護需要が急増し、都市部は深刻な介護施設不足に直面するとの懸念もある。
来るべき超高齢化社会を見据え、全国に先駆けて「高齢者に優しい街づくり」に取り組んできたのが富山市だ。「高齢化時代の街づくりのカギ」とされ、政府も全国で推進していくことを決めた「コンパクトシティ」の整備を約10年前から進めてきた。また、「高齢者の『健康寿命』を延ばすことが、彼らを支える若い世代の負担を抑えることにつながる」との考えの下、介護予防にも力を入れている。
急速に進む高齢化にどう対処すべきか―。本ツアーでは、日本をはじめ多くの先進国が直面するこの課題に早くから挑んできた富山市を訪れ、産官学の様々な取り組みを取材する。同市は、OECDの「高齢化社会における持続可能な都市政策プロジェクト」の事例研究対象都市に選ばれている。
※本プレスツアーは、富山市及び富山テレビ放送が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。
※富山テレビ放送では、富山が海外メディアにどのように取材、報道されるのか市民の皆様に知って頂くため、本プレスツアーに基づき15分のミニ番組を制作し、3月に放送する予定です。記者の皆様の取材の妨げにならぬよう十分に配慮しながら、プレスツアーでの取材の様子を撮影させていただきますことをご了承下さい。
※本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
*************************************************************************************************
<取材内容>
1.高齢者に優しいまちづくり
1)「コンパクトシティ」創出の旗振り役―森雅志 富山市長
日本の地方都市の中でも突出した「クルマ社会」である富山市。車での移動を前提としたライフスタイルが定着する中で、郊外に居を構える人が増えて中心市街地の空洞化が進み、公共交通は衰退、車が自由に使えない高齢者には生活しづらい街となっていた。そのような中、2002年に初当選した森雅志市長は、人口減少と超高齢化社会に対応した「コンパクトなまちづくり」を提唱。市街地の公共交通を再生させ、車がなくても日常生活が不便なく送れるまちづくりを推し進めてきた。さらに、富山市では、祖父母が孫と市の指定施設を利用すると入園料・観覧料が無料になる「孫とおでかけ支援事業」や、65歳以上の市民が中心市街地への移動に公共交通機関を使うと運賃が100円になる「おでかけ定期券」など、高齢者の外出を応援する様々な取り組みを行っている。
◎ツアーでは、森市長より、「高齢者に優しいまちづくり」に向けた富山市の取り組みにつきブリーフィングを受ける。また、富山市政策参与を務める米国人のジョセフ・ランゾウ稲田氏より、外国人から見た富山の魅力につき話を聞く。
2)次世代型路面電車(LRT)―富山ライトレールとセントラム―
~「コンパクトなまちづくり」の基盤となる公共交通~
「コンパクトシティ」を創出する上で市が重点的に取り組んだのが、中心市街地の公共交通の再生だ。全国に先駆けて2種類のLRT(次世代型路面電車)の導入を進め、2006年には市の第三セクターが運行する富山ライトレール(愛称・ポートラム)が、2009年には、富山地方鉄道が運行する環状線(愛称・セントラム)が開業した。車両は高齢者も乗り降りがしやすいよう低床になっており、新しい「市民の足」として定着している。2015年春に予定されている北陸新幹線の開業で、新幹線の駅(富山駅)と市内各地を結ぶ二次交通としての役割も果たす。
◎ツアーでは、富山ライトレール株式会社の社長で、かつては富山市の都市整備部長を務めた粟島康夫氏より、富山市の交通施策につき「高齢者の利便性の向上」という観点から話を聞く。また、セントラムに乗ってホテルまで移動する。
2.元気な高齢者を増やす!介護予防先進都市・富山
1) 歩行圏コミュニティづくり・プロジェクト
~「歩行補助車」の開発で、高齢者のおでかけを応援!~
「富山大学歩行圏コミュニティ研究会」は、家の中にこもりがちな高齢者の外出を促すため、四輪の歩行補助車を開発した。積極的に街に出て歩いてもらうことで高齢者の体力・身体機能の低下を予防し、同時に街を活性化させることを目指している。同補助車には、手荷物を入れられるかご、坂道対策のブレーキ、休憩用の椅子など、高齢者の買い物・散歩を助ける工夫が満載だ。自転車屋で手に入る部品などを使って自由にカスタマイズを楽しむこともできる。開発当初は進んで使ってくれる高齢者がおらず、モニターを探しても見つからない状態が続いたが、地道な働きかけやPR活動を積み重ねた結果、次第に認知度が高まり、自ら「使いたい」という人も現れるようになったという。現在は40人の高齢者に貸し出し、愛用してもらっている。
◎ツアーでは、歩行補助車の開発担当者である富山大学の中林美奈子准教授より、プロジェクト概要、歩行補助車の特徴、商品化の展望などにつき話を聞く。その後、歩行補助車を使用する高齢者やプロジェクトに参加する学生とともに、「街歩きミニツアー」に出かける。
2)富山市角川介護予防センター
~温泉水を活用して高齢者を元気に!日本初の介護予防の専門施設~
2011年にオープンした介護予防の専門施設。高齢者の健康寿命を延ばし、要介護者の増加を抑制することを目的として設立された。元気な高齢者が増えれば、国や自治体が負担する介護保険費用の削減にもつながる。センターには医師が常駐しており、温泉水を使った水中運動療法や温熱療法など多様なプログラムが用意され、高齢者が楽しく無理なく運動できる環境が整う。また、利用者の運動能力を継続して記録し、介護予防効果を科学的に追跡している。
◎ツアーでは、一島志伸館長の案内で館内を視察し、これまで得られた介護予防効果などにつき話をきく。
3.健康食の普及で「健康寿命」をのばす!―薬都・富山の取り組み
1)池田屋安兵衛商店(薬膳料理)
300年余りの歴史と伝統を誇る「薬業」で有名な富山。「薬都」とも呼ばれる富山市では、「富山のくすり」の伝統を活かし、富山産の食材や健康に良いとされる食材を使った料理を「富山やくぜん」として認定し、その普及を図っている。認定店の1つで、「医は食から」を提唱し健康を考えた食空間を提供しているのが池田屋安兵衛商店だ。江戸時代の薬種商の店構えの雰囲気を残し、漢方生薬を主体とした伝統薬の販売を行っている。また、店舗2階のレストランでは、古代米や高麗人参など薬草を取り入れた薬膳料理を賞味できる。
◎ツアーでは、同店にて薬膳料理の昼食をとる。
2)温泉熱を利用した農業の6次産業化プロジェクト
~植物工場で「エゴマ」を生産しながら、高齢者の雇用を創出~
健康食品として注目されつつあるシソ科の植物・エゴマ。葉には抗酸化作用が高いとされるクロロフィルなどの有用な成分が含まれるほか、種子には必須脂肪酸であるα-リノレン酸が非常に多く含まれており、種子から搾られる油は「最も理想的な食用油」として知られている。富山市では、このエゴマを市の特産物として普及させようと過疎化や高齢化が進む山田地域に温泉熱等を活用した植物栽培工場を整備し、エゴマの生産、加工、流通・販売までを一体的に行うなど、農業の6次産業化を進める計画だ。エゴマは女性や高齢者でも比較的簡単に栽培・収穫できるため、工場では地元の高齢者を雇用し、生きがいを創出するねらいもある。工場は3月に完成予定。
(※上記写真は工場完成後のイメージです)。
◎ツアーでは、プロジェクト概要につき市担当者から話を聞くとともに、完成間近の工場を視察する。また、エゴマを使った料理を昼食に頂く。
4.高齢化社会を支える富山のものづくり
1)立山科学グループ「みまもリンク」
~ひとり暮らしのお年寄りを守る!高齢者みまもりサービス~
http://www.tateyama.jp/mimamolink/index.html
「みまもリンク」は、一人暮らしの高齢者の安否確認システム。病院のナースコールのように、利用者自らがボタンを押してコールセンターに異常を知らせることができるほか、「人感センサー」が24時間高齢者の動きを検知し、異常が認められた場合には、コールセンターから本人に状況確認を行い、必要に応じて家族、指定協力員、消防署などへ訪問や出動を要請する。利用者がボタンを押せない状況にあっても自動で緊急通報を行う「優れモノ」である。このシステムによって命を救われた高齢者も少なくなく、同社には利用者から多くの感謝のメッセージが届いている。
◎ツアーでは、みまもりサービスの概要につき話を聞いた後、人感センサーのデモ、コールセンターの見学を行う。
2)タケオカ自動車工芸
http://www.takeoka-m.co.jp/index.html
富山を代表する老舗町工場。高齢者や障害者も扱いやすい一人乗りの電気自動車やスクーターを開発・販売している。電力会社と共同で開発した「フレンドリー・エコ」は、車いすに座ったまま一人で運転できる「日本初の実用的な福祉型小型電気自動車」だ。会社全体としての受注量は多くはないが、車の運転に不安がある高齢者等の日常の移動手段として注文は全国から舞い込む。「経営は厳しくても社会に必要とされる車をつくっていく」という経営者の思いは熱い。社長の武岡栄一氏は90歳近い高齢でありながら、設計図を書く作業もこなす現役のエンジニアとして今も活躍している。
◎ツアーでは、タケオカ自動車工芸を訪れ、高齢者に優しいミニカー、スクーターを取材する。
5.世界に発信する「ガラスの街 とやま」
1)富山ガラス工房
http://www.toyama-garasukobo.jp/
富山市はガラス芸術の振興に力を入れており、日本で初めての公立のガラス造形教育機関「富山造形研究所」を1991年に開校。卒業生が生み出す作品はガラスアートの世界で高い評価を得ている。隣接する「富山ガラス工房」は、ガラス造形作家の活動拠点となっており、現在、建設中の北陸新幹線・富山駅の高架下の床と壁は、ここで手掛けるアートガラスで彩られる予定だ。
◎本ツアーでは、「富山のガラス工芸」について話をきいた後、ツアー最後のレクリエーションとして、ガラス工芸品の制作体験を行う。
<実施要領>
1.日程案: 2014年2月13日(木)~14日(金)
<1日目>
9:00 羽田空港集合
9:45-10:45 羽田→富山(ANA883)
11:00 富山空港発(借り上げバス)
11:20-12:30 歩行圏コミュニティづくり・プロジェクト(歩行補助車)
12:45-14:00 昼食(薬膳料理@池田屋安兵衛商店)
14:20-15:50 角川介護予防センター
16:00-16:30 富山ライトレール社長インタビュー
16:45-17:00 セントラム乗車
17:00 ANAクラウンプラザホテル着
17:30-18:30 市長ブリーフィング
18:30-19:30 レセプション・夕食
<2日目>
8:30 ホテル発
9:00-10:30 立山科学グループ
10:45-11:45 タケオカ自動車工芸
11:45-14:00 温泉熱を利用した農業の6次産業化プロジェクト
11:45-12:45 移動(車中、ブリーフィング)
12:45-13:00 工場視察
13:00-14:00 昼食(エゴマ料理)
14:40-16:00 ガラス工房
16:30 富山空港着
17:15 富山空港発
18:20 羽田空港着(ANA890)
(※上記は仮日程です。若干の変更が生じる可能性があります。)
2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人15,000円(全行程交通費、食事を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。
4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5. FPCJ担当:石川(TEL: 03-3501-3405)
6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)FPCJ、富山市、富山テレビはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。