実施日 : 2009年07月22日
報告(動画):2009年7月22日【栃木県大田原市プレスツアー(持続可能なまちづくり)】
投稿日 : 2013年08月30日
■世界不況に立ち向かう“地方の知恵”~持続可能で安定的な地域づくり~(2009年7月22日)
【大田原市の概要】
大田原市は、栃木県北部にある人口7千8万人の市。
東京から鉄道でわずか約1時間半に位置し、
「ユニークなまちづくり」に取り組んでいる。
【バランスのとれた産業構造を目指した「まちづくり】
千保一夫 大田原市長:
今から20年前に、私が市長になりまして、高速交通網がなかったからこそ、こんな素晴らしいまちづくりができた。不利な条件を逆手にとって、大田原のまちづくりを積極的にすすめていこうと。
【その① あるがままの自然を活かした観光の促進】
千保一夫 市長:
今、日本中が何となく経済が厳しくなる。
大田原市も人口減少傾向でありますので、そうすると地域の活力がだんだん失われていきますが、大田原に訪ねて来てくれる人を増やしていくという意味で、観光で来られる人を大切にしたい。
大田原の自然、川があること、山があること、こういったものが大田原の財産と思っておりまして、全国で一番鮎が獲れる。鮎の漁獲高日本一だという那珂川が大田原にあるわけでして、豊な山と川の恵は、大田原は大変ありがたく大きな恩恵を受けている。
こういったものを、旅行に来る人たちにはぜひ楽しんで頂きたい。
【その② 環境に優しい農業の促進】
(声:千保一夫 市長)
大田原は、非常に食べ物が豊富なんですね。
大田原は、昔から食糧生産地で、今大都会東京に向けて食糧生産基地としての役割を担っているわけですね。
-前田牧場-
前田牧場は、33ヘクタールの敷地に、2,000頭の牛とアスパラガスなどの作物を育て、長年循環型農業を実践してきた。
■循環型農業をはじめたきっかけ
前田昭 社長:
糞尿処理に困って、どうしても大量に飼っていると糞尿が大量に出てきますので、それをどう処理したら一番皆さんに使ってもらえるのか。
堆肥の発酵施設といって、今2か所くらいやらせてもらって、非常に良い発行をさせながら、それをまけば土に優しいし、環境にも良いということで、これを実践してきたら、農作物が良くなったり、牛が良くなったりして。
【その③ 大田原の経済を支える特色ある企業】
(声:千保一夫 市長)
大田原で企業誘致がはじまりまして、大田原のはずれの方に工業団地があるんですよ。
東京株式市場一部に上場されている企業が大田原市には11社くらいあるんですよ。
-JUKI株式会社大田原工場-
JUKI(株)大田原工場は、1971年に創業開始。
工業用ミシンで、世界トップシェアを誇るJUKI(株)グループの中心、マザー工場。
大田原工場は、「職人の技」を11の技能に分け、デジタル化した「デジタル屋台」を導入。
入社1年目の社員でも、ベテラン並みのものづくりを可能にした。
■先端技術と人材育成のコンビネーションが成功の鍵
山岡修二 大田原工場長:
ここで投資するのは、付加価値のある、新しいことをやる、そのための投資。
それと、人の教育に投資をする。
(声:山岡修二 工場長)
当工場の技能集団です。
約64%が国家検定の認定者です。
社内検定をやっております。3カ月に1回やります。
狙いはすべての技能のAランク以上を目指しています。
-株式会社 山形屋-
(株)山形屋は、400年の伝統を持つ金属加工業者。
江戸時代には、地元黒羽藩の殿様のお抱え刀鍛冶だった。
■「焼き入れ・鍛造」技術の継承
加藤利勝 (株)山形屋社長:
現在、83歳の従業員がですね、お仕事しております。16歳から山形屋にきております。
彼のお父さんも、お爺さんも、三代勤めておりますので、200年くらい勤めてくれています。
これが、日本の中小企業の世襲って言いますか、技術をつなぐ仕事のやり方でございます。
■日本のものづくりを支える中小企業のあるべき姿とは
加藤利勝 社長:
世の中の経済または道具が変わると、その経済または世の中の道具に合わせた工場に、または、技術を磨かないとまずい、というのが日本の中小企業、ものづくりの大切さですね。
現在、自社製品として販売するという方向転換をしているところでございます。今までの部品製品の下請けから、新たに会社を変えるということを、現在図っております。
【大田原市が大切にするものは】
千保一夫 市長:
日本では、開発が進むとそれを発展と置き換えているところがあるんですが、大田原市はそういう観点でいくと、発展していないまちでいいんだと。
大田原は、高度経済発展のことに、あまり大きな恩恵を受けなかったかわりに、失ってはならないものが今でもきちんと残っている。
このことを大田原市としては、大切にしていきたいと思っています。