実施日 : 2016年03月29日
報告:富山市プレスツアー
投稿日 : 2016年06月01日
今年5月に開催されるG7環境大臣会合を前に、地域資源をエネルギーに変え、農業などに利用している「環境未来都市・富山」の取り組みを取材するため、富山市及び富山テレビ放送主催、FPCJ企画協力によるプレスツアーを実施しました。本プレスツアーには、中国、台湾、ベトナム、ドイツ、米国の5か国/地域から8名の記者が参加しました。
ツアー案内はこちら
ツアー中からお届けした現場の様子のリポートはこちら
1.西番小水力発電所
立山連邦をはじめとする標高の高い山々に囲まれ、豊かな水資源に恵まれている富山市では、その特徴を活かした小水力発電の普及が進んでいます。記者一行は、農業用水路の段差を活かして発電を行っている西番小水力発電所を取材しました。発電所を建設・管理している常西用水土地改良区の田中博明・維持管理課長から、水量によって水車の高さや水位ゲートを自動調節することにより安定した発電を行う仕組みや、北陸電力に売電した収益を農業施設の維持管理費に充てることで農家の負担を減らすという発電所の目的について説明を受けました。記者は、小水力発電所の仕組みや水位の自動調節などについて、市や常西用水土地改良区の担当者に詳しい説明を求めていました。
2.牛岳温泉植物工場
水資源だけではなく地熱資源にも恵まれる富山県。牛岳温泉植物工場では、温泉の熱を利用し、健康食品として注目を集めているエゴマを栽培しています。就農人口が10年前の3分の1にまで減り、高齢化が進む山間部の山田地域にエゴマの植物工場を作ることで高齢者の雇用を生み出すとともに、エゴマの特産品化を進めることで地域活性化を目指しています。「他の植物ではなくエゴマを特産品に選んだ理由は」、「稲作からエゴマ栽培に切り替えるメリットとは」、「従業員の平均年齢は」、「商品は海外輸出するか」など記者から多くの質問が出ました。その後、記者はエゴマの植物工場で栽培の様子と実から油を搾る作業を撮影しました。
3.株式会社 富山環境整備
廃棄物を処理する過程で出る廃熱で自社発電し、トマトや花き栽培の冷暖房として活用している富山環境整備を取材しました。はじめに、磯野剛常務からトマトや花き栽培といったアグリ事業に参入した経緯や廃熱の利用方法、糖度の高いトマトの生産方法などについて説明を受けました。その後、国内初の高度な選別機能をもつプラスチック処理工場や最終処分場などを視察しました。トマトを栽培しているビニールハウスでは、「廃棄物処理場で作られているトマトを買うことに消費者は抵抗を感じないか」と問う記者に対し、「トマトが土に直接触れない特別な方法を採用しており、水にもこだわっている」と同社担当者は答えました。他にも、トマトや花きの販売先や売り上げ、ビニールハウスの冷暖房に使用する「ヒートコンテナ」の仕組みなど、多くの質問が挙がり、関心の高さが伺えました。
4.富山市ガラス美術館
新国立競技場のデザイン案を手掛けた隈研吾氏が設計したTOYAMAキラリを訪れ、同施設内にある「富山市ガラス美術館」を取材しました。館内には、現代ガラスアートの第一人者であるデイル・チフーリ氏の迫力ある色鮮やかな作品が展示されており、記者は熱心にカメラを向けていました。
5.富山市長へのインタビュー
ツアーの最後に、森雅志市長から「環境未来都市・富山」の取り組みについて説明を受けました。公共交通機関を整備し、歩いて暮らせるまちづくりなどを実現した結果、転出や転入による人口変動に着目すれば8年連続増加傾向にあると説明を受けました。「G7環境大臣会合があるが、富山市は世界に向けて何をアピールしたいか」という記者の質問に対し森市長は、「車社会から公共交通機関を中心としたライフスタイルにシフトしている取り組みと、自然エネルギーの活用をアピールしたい」と答えました。その後、富山市の関係者と記者は夕食交流会で、富山市の魅力などについて懇談しました。