プレスツアー(報告)

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実施日 : 2024年06月26日 - 27日

報告:「2025年大阪・関西万博」事前プレスツアー

投稿日 : 2024年08月15日

 2025年4月13日から10月13日の184日間、「2025年大阪・関西万博」が大阪市の人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催されます。1970年の大阪、2005年の愛知に続く3回目の日本開催となるこの国際博覧会のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。現在も世界各地で頻発する武力衝突や最近まで猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行など、「いのち」の在り方が問われています。万博のテーマには、「一人一人が、自らの望む生き方を考え、それぞれの可能性を最大限に発揮できる社会、こうした生き方を支える持続可能な社会を、世界が一体となって実現していくことを目指す」との意味が込められています。

 参加表明を示している160以上の国・地域、9国際機関が一堂に集い、今回のテーマとして掲げる、「いのち輝く未来社会のデザイン」実現に向けて、各種展示を披露します。開幕まで1年を切り、会場の建設が着々と進められているなか、在日外国メディアを対象にプレスツアーが開催されました。今回のプレスツアーでは、万博会場で建設が進む「大屋根リング」や2つのパビリオンを視察し、2025年日本国際博覧会協会の関係者から準備状況や開催の意義などについて話を聞きました。また、万博に出展される予定の最先端技術をいち早く取材したほか、会場のシンボル「大屋根リング」に採用された日本の伝統的な木造建築技術について理解を深めるため、京都の清水寺を取材しました。


 ツアーには、中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、ドイツ、スペイン、ブラジルのメディア9社から11名の記者が参加しました。

 

 

※本ツアーは公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました

※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 


 

【1日目】


<生きる心臓モデル(iPS心臓) ・ 大阪大学 澤芳樹 名誉教授へのインタビュー>

 記者一行は冒頭、「生きる心臓モデル(iPS心臓)」が展示される予定であるパソナパビリオン「PASONA NATUREVERSE」のコンセプトや主なテーマ、意気込みについて、株式会社パソナグループ 伊藤真人常務執行役員から説明を受けました。その後、「生きる心臓モデル」の開発者で、iPS細胞を用いた再生医療の第一人者である、大阪大学の澤芳樹名誉教授から、「心筋シート」を活用した再生医療の可能性や「生きる心臓モデル」の開発にかける思いについて話を聞きました。本ツアーでは、培養液の中でゆらゆらと動く「心筋シート」や、「生きる心臓モデル」のミニチュアサイズの試作品を視察することができ、記者たちは興味深そうに撮影していました。記者からは、「外国でも同様の研究はされているのか」といった再生医療に関わる質問のほか、「生きる心臓モデルの作成には何日くらいかかるのか」、「心筋シートが動く様子を初めて見た時、どのような気持ちだったか」など、「生きる心臓モデル」や「心筋シート」についての質問も多数あがり、活発な質疑応答が行われました。


 


<甲子化学工業株式会社「HOTAMET」>

 持続可能な社会づくりを目指し、これまで廃棄されていたホタテの貝殻を再利用し、開発されたヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」(英語名:SHELLMET)を取材しました。開発の背景や、その材料である廃プラスチックにホタテの貝殻の粉末を配合した新素材「シェルテック」について、開発責任者の南原徹也氏から説明を受けたほか、大阪・関西万博の会場に防災用ヘルメットとして設置されることになった経緯についても話を聞きました。さらに、工場内でホタテの貝殻のパウダーや新素材である「シェルテック」を手に取り、撮影した後、「HOTAMET」が製造される過程を視察するとともに、出来上がったばかりの「HOTAMET」を試着しました。質疑応答では、「普通のヘルメットと比べて、販売価格は高いのか」、「HOTAMETは、なぜ波型の形状になっているのか」など、「HOTAMET」のユニークな取組や性質に関する質問があがりました。



 

<International Participants Meeting 2024 Summer(国際参加者会議)>

 国際参加者会議の会場に到着後、2025年日本国際博覧会協会の担当者から大阪・関西万博の開催概要や準備状況、運営方針などについて説明を受けました。記者たちは、現在の準備状況や開催中の運営方針について質問しました。その後、記者たちは自治体や関連企業、団体などが出展しているブースを自由に視察。各ブースの担当者と、熱心に話し込む記者たちの姿もありました。取材の最後には、2日間にわたる国際参加者会議の最後に開催された共同記者会見にも出席しました。



 

【2日目】


<清水寺>

 万博会場のシンボルである「大屋根リング」を設計した藤本壮介氏が、リングについて「京都の清水寺の舞台を彷彿とさせる木造の貫工法で伝統と未来を繋ぐ試み」と述べていたことから、本ツアーでは、その「貫工法」を視察するべく、清水寺を訪れました。記者たちは、ガイドから清水寺の歴史や建物についての説明を聞きながら、寺院内を視察しました。その後、「大屋根リング」にも用いられている貫工法で建設された清水寺の舞台をさまざまな角度から撮影し、その構造や工法についてガイドから詳しく話を聞きました。記者たちからは、「なぜ、貫工法は耐震性に優れているのか」、「舞台にはどのような木材が、どれくらい使われているのか」などの質問があがりました。




<大阪・関西万博会場>

 冒頭、会場全体の構成やパビリオンの配置、「大屋根リング」の構造について、2025年日本国際博覧会協会の担当者から説明を受けました。その後、会場を見渡せる場所から「大屋根リング」を撮影し、建設準備が着々と進む会場に向かいました。会場内では、まず鳥の巣をイメージした外観の大阪ヘルスケアパビリオン「Nest for Reborn」を訪れ、パビリオンのテーマやコンセプト、建物のユニークな構造、展示内容について、公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオンの担当者から説明を受け、外観を撮影しました。その後、完成目前の「大屋根リング」の中を歩き、撮影したほか、「大屋根リング」の上から万博会場全体を見渡し、会場の様子や準備状況を間近で視察しました。記者たちからは「1年前よりも大屋根リングの建設が進んでいて、とても驚いた」、「大屋根リングは1周2kmという話を聞いていたが、想像以上に大きかった」などの声が聞かれました。「大屋根リング」取材後、会場内を徒歩で移動し、アンモナイトをイメージした螺旋の形状が特徴的な、パソナグループのパビリオン「PASONA NATUREVERSE」を取材しました。「PASONA NATUREVERSE」では、パビリオンのコンセプトや主なテーマ、建物のユニークな形状に込められた思い、展示内容について、同社の伊藤真人 常務執行役員から説明を受けました。また、パビリオンの外観に加えて、工事が進むパビリオン内部も取材することができました。

 万博会場の取材は、完成前の「大屋根リング」や2つのパビリオンを間近で取材できる貴重な機会となり、記者たちは非常に満足している様子でした。




2025年日本国際博覧会協会 高科淳 副事務総長へのインタビュー>

 冒頭、高科副事務総長から、大阪・関西万博の最新の準備状況や新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・ガザ情勢によって世界が「分断」の危機にある中、『いのち』をテーマとする大阪・関西万博の持つ価値は、かつてない程高まっており、万博を通じて、「世界の分断から、つながりを取り戻す」重要な役割を担っている点について話を聞きました。また、160を超える国々、その数千万人もの世界中の人々が、184日間、リアルに一堂に集まることで、世界が現状の課題を認識し、地球的規模の課題解決に向けて、アイデアや技術を一か所に持ち寄り課題解決策を話し合う場となることへの期待についても聞きました。その後の質疑応答では、記者たちから「万博を開催することが、日本経済にどのような波及効果があると考えているか」、「パビリオンのタイプAから撤退する国が出ているとする報道があるが、撤退の理由はどのようなものか」、「万博終了後、大屋根リングなどは再利用されるのか」、「チケットの販売数はどれくらいか」などの質問がありました。また、複数のメディアが高科副事務総長への個別インタビューを行いました。

 

 

 



◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)


Vietnam News Agency (ベトナム)

7月1日 「Nhật Bản tung ra mũ bảo hiểm Shellmet làm từ vỏ sò và nhựa tái chế」 (動画: 29:30~31:30)

(日本、貝殻と再生プラスチックで作ったヘルメット「Shellmet」を発売)

7月3日 「Nhật Bản giới thiệu mô hình “trái tim sống” đầu tiên trên thế giới」 (動画: 22:35~24:15)

(日本、世界初の「生きる心臓モデル」を開発)

7月5日 「Grand Ring – Công trình biểu tượng của EXPO 2025」 (動画: 17:30~19:55)

(グランドリング - 2025年万博のシンボル作品)

 

Agencia EFE(スペイン)

(※リンクは、Swiss Infoに転載されたもの)

6月28日 「Un templo milenario japonés inspira el recinto de la Expo Universal 2025

(1,000年の歴史を持つ日本の寺が、万博会場にインスピレーションを与える)

7月2日 「Láminas de células creadas en Japón podrían regenerar corazones con insuficiencia

(日本で生成された細胞シートが機能不全の心臓を再生する可能性)

 

ARD German Radio (ドイツ)

7月6日 「Rückzieher und hohe Kosten_Expo 2025 in Japan」 ※放送済

(撤退と高コスト、2025年大阪・関西万博)

 

Valor Econômico (ブラジル) 

7月19日 「Uma Expo em tempos turbulentos」 ※紙面のみ

(激動の万博)

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