緊急事態宣言再発令で、東京オリパラ開催も再び不透明に
投稿日 : 2021年01月19日
注目すべき海外メディアの日本報道
(1月7日~15日)
緊急事態宣言再発令で、東京オリパラ開催も再び不透明に
新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、国際オリンピック委員会(IOC)最古参のディック・パウンド委員が6か月後に控えた東京オリンピック・パラリンピックの開催について「開催できるか不透明」と発言したことを捉え、英米主要メディアが今後の見通しを報じた。
【英国】
BBC(電子版)は、7日付「東京2020、開催の保証はない IOCパウンド委員が言及」を掲載。IOCのディック・パウンド委員は「ウイルスの急増は誰も語りたがらないが認識しており、確定はできない」と述べ、選手に対し日本入国前のワクチン接種を条件とすることを提案したと報じた。
BBCの報道を受けて、The Guardian紙は、8日付「IOC委員、東京五輪開催に確信が持てない」(Justin McCurry東京特派員)で、パウンド委員の同様の発言と、「ロールモデルである選手らのワクチン接種は、個人の健康のみならず、団結や、各地域社会の人々が健康幸福でいることへの配慮という強いメッセージを発信できる」とのコメントを併せて報じた。
The Times紙も同日付「東京五輪開催の先行きは不透明、IOC委員が発言」(Richard Lloyd Parry東京支局長)で、パウンド委員は大会の開催は不透明との見方を示し、選手の優先的なワクチン接種について「大会開催にあたって最も現実的な方法だと考える」と述べたと伝えた。
【米国】
他方で、Washington Post紙は、パウンド委員に独自の電話インタビューを行い、9日付で「新型コロナウイルス感染急増の最中、五輪開催についてパニックになるには早過ぎるとIOC委員が言及」を掲載。同氏は「重要なのは大会を開催して人類はこの困難に打ち勝つことが出来るというメッセージを世界に発信すること」だと述べ、今後数週間で状況は変わるため、パニックになるにはまだ早く、大会開催の確率を3対1と予測したと伝えた。苦悩の18か月の先に人々は明るいニュースを必要としており、五輪の成功はまさに人々を勇気づけ、非常に厳しい状況からの回復を証明する、とする同氏の見解を大々的に取り上げた。
The New York Times紙は15日付「東京夏季五輪開催の望み、暗くなる」で、先のパウンド委員の発言に続き、河野太郎行政改革担当相も大会開催について「どちらに転ぶかは分からない」と発言(ロイター報道を引用)し、これまでの政府の公式見解を崩したと報じ、IOCは戦後初めて五輪開催中止を余儀なくされるかもしれず、組織委員会と日本にとっての経済的打撃は膨大であろうとの論調を示した。加えて、橋本聖子五輪相は12日の会見で「ワクチン接種を前提とせずとも必要な検査や行動管理で安全に大会を開催できるよう対策を検討している」と述べたと伝えた。