注目の日本報道

一覧に戻る

新型コロナウイルス「第3波」による感染再拡大

投稿日 : 2020年12月28日

注目すべき海外メディアの日本報道

(12月5日~12日)




新型コロナウイルス「第3波」による感染再拡大





本格的な冬を迎えると同時に、新型コロナウイルス感染拡大「第3波」が到来し、世界各国で感染者が急増している。これまで、感染抑制の成功例として注目を集めてきた日本、韓国などの東アジア諸国でも、行動制限の緩和措置などが進むにつれ感染が再拡大し、対応に追われている。米英主要紙は、感染者が急増する日本と韓国の状況について報じつつ、新型コロナウイルス感染抑制のカギとなる要因の解明に向けて進む研究についても触れている。

 

 

 

【米国】

The Wallstreet Journal紙は、5日付で「以前のウイルスへの曝露が新型コロナと闘うアジアの助けとなったのか、科学的調査が進む」Peter Landers東京支局長、 Miho Inada東京特派員)を掲載。東アジア諸国の感染者数と死亡者数が欧米よりはるかに少ないのはなぜか、一部の医療関係者は、SARS(SARS-CoV-2)ウイルスに類似した旧型のコロナウイルスに曝露していたことが新型コロナ感染や重症化を防いでいるという理論を詳しく調べ始めており、「この説は有力だ」とする日本の専門家のコメントを引用すると共に、新型コロナウイルスに対する免疫についての地域的な違いを把握することが次のパンデミックへの備えとなろうとの海外の識者の見方も伝えている。

 

また同紙9日付「新型コロナの大波がウイルス封じ込めた韓国と日本を襲う」(Miho Inada 記者他)では、感染抑制に成功していたアジア諸国だが、冬の到来と共に感染が再拡大しており、日本では重症患者数が急増、韓国も感染経路の確認が限界に達するなど医療崩壊が懸念されているとしつつ、ウイルスを封じ込めても、行動制限の緩和が新たな感染拡大を引き起こすというサイクルは不可避であり、ワクチンが普及するまでの持続的な対応がいかに難しいかを示している、と報じている。

 

 

【英国】

The Times紙は、10日付「冬のコロナ波が日本と韓国に押し寄せる」(Richard Lloyd Parry東京支局長)を掲載。これまで感染抑止に成功してきた日本と韓国だが、冬の到来と共に各地で小規模クラスターが多発し、東京やソウルなどの大都市圏で医療機関がひっ迫、経済活動を支援する政府の姿勢に批判が集まっていると報じた。大量検査や感染経路の追求で感染者を抑えてきた韓国も、今期の新たな形での感染拡大に従来の対策が効果を発揮せず、過去最多の感染者数を記録。他の先進国に比べ優れた対応をしてきた日本も、東京の他、大阪や北海道で感染が拡大。Go Toキャンペーンなど政府の経済再生策を巡って菅政権の支持率は低下し、来年に控える東京五輪についても、政府が日本の安全性のアピールを望む一方で、世論調査では1/3が大会の延期、39%が中止を望んでいると報じた。

 

The Economist紙は、西村経済再生担当大臣へのインタビューを基に、12日付「日本の当局者らは新型コロナウイルスについて誰よりも理解していた」を掲載。新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号への対応から日本は「3密回避」と「徹底したクラスター追跡」などの教訓を得て、都市封鎖や大規模検査をすることなく死亡率抑制に成功した。スーパーコンピューター富岳による飛沫感染リスク調査を基に映画館等各所で対策を講じており、加えて、法的拘束力のない要請に従う国民性や衛生意識の高さ、多くの健康な高齢者、低い成人肥満率などが日本の優位な点であるが、これらにも限界はあり、観光促進策の実施と冬の到来で感染再拡大しているものの、極めて低い数字からの増加なのである、と報じている。

 

 

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信