緊急事態宣言を全国に拡大
投稿日 : 2020年04月21日
- 注目すべき海外メディアの日本報道
(4月15~20日)
緊急事態宣言を全国に拡大
緊急事態宣言の日本全国への拡大、新型コロナ対応策の強化や各方面での取組みや現状について、米国と英国の主要メディアが報じた。
■The Wall Street Journal(米国)
16日付で「安倍首相、全国に緊急事態宣言」(Peter Landers東京支局長)を掲載。批判を受けての同宣言により、通常の社会活動を維持するこれまでの努力が結局は日本を感染者急増の可能性にさらすことになり、日本経済への影響はさらに深刻化する見込みだと報じている。
また、同日付の「日本と中国が効果未確認の新型コロナウイルス治療薬の世界的供給元を競う」(Peter Landers東京支局長、Miho Inada記者)では、ファビピラビル(日本企業は「アビガン」の名で開発)とよばれる薬を巡って日本と中国の間で外交的綱引きが始まっており、両国は新型コロナウイルスの世界的感染拡大と闘う姿勢として同薬を他国に提供しようとしているが、両国とも同薬のウイルス感染者への有効性についての明確な証明が欠けていると報じている。
■CNN(米国)
18日付電子版で「日本の医療従事者は新型コロナウイルス感染者急増で最悪の事態を恐れている」(Emiko Jozuka記者)を掲載。安倍首相は非常事態宣言の対象地域を7都府県から全国へと拡大すると共に、医療物資不足に苦しむ病院にマスクやフェースシールド等を迅速に提供すると約束した一方で、政府の専門家チームは、人との接触を減らす措置がとられなかった場合、40万人以上が死亡することもありえると警告していると伝えつつ、低検査率やテレワーク普及不足とあいまった医療物資不足が感染者の爆発的増加を引き起こす可能性への脅威となっていると報じた。
■The New York Times(米国)
19日付で「緊急事態宣言発令後の東京、飲み屋は未だ客足絶えず」(Motoko Rich東京支局長)は、日本人はルールを守り、平時から予防習慣を実践しているが、緊急事態宣言発令後も、一部の人々が行動を制限しない様子を伝え、対策の効果に疑問を投げかけていると報じた。
■Financial Times (英国)
17日付で「日本は 全国民一人10万円の一時金給付へ」(Robin Harding 東京支局長)を掲載。安倍首相は、全国にむけて緊急事態を宣言し、新型コロナウイルス感染拡大を受けての強化策において、国民一人当たり10万円の一時金を給付すると約束したが、これには、大きな損失を被った世帯に30万円を支給する案は複雑で不公平であるとの与野党からの圧力があり、方針転換を余儀なくされたと報じた。
20 日付で「三井物産社長、新型コロナウイルスは長期にわたって世界のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼすと警告」(Kana Inagaki記者、Leo Lewis東京特派員)と題し、三井物産・安永竜夫代表取締役社長へのインタビュー記事を掲載。同社長は、新型コロナウイルスはサプライチェーンを再編、長年のグローバリゼーションを解体し、国内経済を一層内向きにさせると警告、「突然需要が消えたことによる世界的な不況を覚悟し、時間のかかる景気回復に備える必要がある」が「この予測不可能で前例のない状況が新たな投資の機会をもたらす可能性がある」と述べたと報じている。
15日付で「新型コロナウイルスで浮彫りになった盲点、日本のローテック」(Leo Lewis記者)を掲載。自粛によるゆるやかな制限生活にはいった日本では、古典小説「ペスト」日本語版とアニメゲームの分厚い攻略本(書籍)がオンライン書店の首位を争っており、さらにファクスや印鑑、ホワイトボードを使ったTV解説など、ハイテクで名高いが実はローテクを好むという逆説が浮彫りになったとし、コロナ危機により技術や法律を根本的に変えることを強いられており、これは逆境下での希望の光のひとつとなると報じている。