東京オリンピック・パラリンピックに向けた4者協議
投稿日 : 2016年12月02日
注目すべき海外メディアの日本報道
(11月29日~30日)
2016年12月2日
東京オリンピック・パラリンピックに向けた4者協議
2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催費用や競技会場を議論する、IOC(国際オリンピック委員会)、東京都、大会組織委員会、日本政府の4者によるトップ級協議が29日、都内で開催された。IOCのコーツ副委員長、小池百合子都知事、森喜朗大会組織委員会会長、丸川珠代五輪相らが参加した。東京オリンピック・パラリンピックの開催コストは、当初の計画の約4倍となる約3兆円(約27億ドル)に膨らむ可能性があるとしてIOCが懸念を示し、小池百合子都知事が計画の見直しによる経費削減を目指している。協議では、見直しが検討されてきた水泳、バレーボール、ボート・カヌー(スプリント)の会場について議論され、バレーボール以外の会場が決まった。
欧米の大手通信社などが協議の結果を報じた。ロイター通信(米国)は、エレイン・ライズ記者の「IOC、コストを20億ドル以下に抑えるよう東京都に要求」を、29日付、東京発で掲載。「開催費用は20億ドルを上限とする」との大会組織員会の表明に対して、コーツ副会長が「経費についてIOCは同意していない」とコメントしたと伝え、「組織委員会は20億ドル以下に費用を抑えると誓ったが、IOCはそれでさえも高すぎると感じたようだ」と報じた。また、AP通信(米国)は、30日付けで、ジム・アームストロング記者の「大会組織委員会、2020年東京オリンピック・パラリンピックのコスト削減を約束」を掲載。「東京は、コンパクトな大会を掲げて招致レースに勝ったが、IOCの投票でイスタンブルとマドリードを破った後、バスケットボールやサイクリングなどの競技会場を近隣の県に移した」などと伝えた。
ボート・カヌー競技は、都が提案した既存の長沼ボート場(宮城県)ではなく、当初案の「海の森水上競技場」(東京臨海部)を、予算を削減して新設。水泳は、新設する「五輪水泳センター」の座席を5000席減らすことで費用を圧縮することに決まった。一方、バレーボールは、新設する「有明アリーナ」(江東区)にするか、既存の「横浜アリーナ」(横浜市)にするかの決定が先送りとなった。AFP通信(フランス)は、29日付けで、「オリンピック:小池都知事、カヌー会場は東京に残すと発表」を東京発で掲載。長沼を会場とする小池都知事の案は、「会場変更は非現実的であり、最終的により多額の費用がかかるかもしれないとする組織員会の抵抗にあった」と伝えた。ガーディアン紙電子版(英国)も、29日付けで、ジャスティン・マッカリー東京特派員の「東京都、2020年大会のカヌー競技を首都で開催と公約」を掲載。ボート・カヌー競技の会場決定の経緯について紹介したうえで、元ボート選手のコーツ副会長が、競技団体がアスリートにとって一番良いと主張してきた東京湾での開催が決まりほっとしたと述べたなどと伝えた。
写真:Natsuki Sakai/アフロ
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