GDP 2期連続のマイナス成長
投稿日 : 2015年11月30日
注目すべき海外メディアの日本報道
(11月16日~17日)
2015年11月27日
GDP 2期連続のマイナス成長(速報値)
内閣府は11月16日、7~9月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。年率に換算すると実質マイナス0.8%減で、4~6月期に続いて2期連続のマイナス成長。日本経済の足踏みが長引いていることを示す結果となった。政府は、前期の落ち込み(マイナス0.7%)は一時的で、景気はゆるやかに回復するとの見方を示していたが、中国経済の減速などを背景に輸出が伸び悩み、企業の設備投資が落ち込んだことなどがマイナス成長の要因となった。安倍首相は、今後5年程度でGDP 600兆円の目標に掲げているが、その達成には継続的なプラス成長が不可欠であり、先行きに不透明感が見られる。
各国メディアが、安倍政権の経済政策の行き詰まりとして報じた。大手通信社では、ロイター通信電子版(米国)が、16日付けで、木原麗花記者、梶本哲史記者の「日本、7-9月期で再び景気後退、“アベノミクス”に打撃」を東京発で掲載。安倍首相が、日本の慢性的な不景気を終わらせるのに苦労しているなどと報じた。AFP通信電子版(フランス)は、同日付けで、檜山浩記者の「日本、“アベノミクス”につまづきで不景気に陥る」を東京発で掲載。GDP発表後、甘利明経済再生担当相大臣が、賃上げの流れを明るい材料としてあげ、「(景気が)緩やかな回復に向かうことが期待される」などと楽観的な見方を示したことなどを伝えた。ブルームバーグ電子版(米国)も、同日付けで、「日本経済は2期連続マイナス成長、7-9月が年率0.8%減」を載せ、マイナス成長の主な要因は「在庫減」と「輸入増」であり、個人消費や輸出は増加に転じていることから、「特に悲観する必要はない」との民間エコノミストのコメントを紹介した。
また米国では、ニューヨーク・タイムズ紙電子版が、16日付けで、ジョナサン・ソブル記者の「日本、中国の減速で痛手」を東京発で掲載。中国の景気停滞にともなって日本産の建設機材が売れなくなり、下請けの中小企業が売上不振に苦しんでいる実態を紹介し、「少子高齢化が進む日本は、他の先進国より一層、経済を成長させるあらゆる手立てを必要としている」と伝えた。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版は、同日付けで「アベノミクス、日本で動きを止める」を載せ、安倍首相の経済政策は「再考すべき頃合いである」などと伝えた。英国では、フィナンシャル・タイムズ紙が、ロビン・ハーディング支局長の「日本が再度景気後退に陥り、安倍氏は逆風に苦しむ」を東京発(17日付)で掲載したほか、ガーディアン紙電子版が、フィリップ・インマン経済特派員の「日本再び不景気に アベノミクスが行き詰まり」を掲載。このほか、フランスではル・フィガロ紙電子版が、「日本 安倍首相の積極さにもかかわらず不景気に逆戻り」と伝えた。
アジアでは、中央日報日本語電子版(韓国)が、韓国経済新聞(17日付)の「日本成長また後退…疑問広がるアベノミクス」を載せ、「『金融緩和』だけに依存するアベノミクスに対する疑問が広がっている」との見方を伝えた。
写真:AP/アフロ
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