3.11 東日本大震災関連情報

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実施日 : 2011年11月30日 - 12月01日

報告:食の復興プレスツアー(2011年11月30日-12月1日)

投稿日 : 2013年08月24日

 東日本大震災の発生した3月11日(0311)を逆転させた11月30日(1130)に、東北地方の食産業の復興や成長に向けた改革などを議論する「食の産業サミット2011」が仙台市で開かれました。同会議に参加するとともに、農業関係者や漁業関係者らへの取材を通して食の復興の可能性を探るプレスツアーには、アメリカ、イギリス、カナダ、スペイン、台湾、中国、ドイツ、フランス、ロシアの9ヵ国・地域から12社13名の記者が参加しました。

 

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1日目 「食の産業サミット2011」では、「食の安全・安心」をテーマとし、簡易放射能検査や、土壌汚染対策などに関して専門家が発表を行った午前の部に参加しました。 会議冒頭では、枝野幸男経済産業大臣がビデオレターを寄せ、「政府として、第一に消費者の信頼回復に全力に取組み、特に風評被害を抑えるため、検査体制の強化、国内外への情報提供に努める」とのメッセージを発信しました。今回の会議を主催した、東の食の会の高島宏平代表理事は、今後も、安全・安心の確保、販路拡大、6次産業化の支援、成功事例の共有などに努めていくと話しました。ツアーでは会議が閉幕したあとのレセプションにも参加し、東の豊かな食材を使った料理を通じ、東の食の再生の動きを取材しました。

 

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  続いて記者一行は、東松島市に移動し、津波浸水被害を受けた土地での「仙台白菜」栽培を行う農家を取材しました。海岸から数百メートルの場所で専業農家を営む菅原満雄・友子夫妻は、塩をかぶってしまった農地での作付けは、今年はできないと思っていたとのこと。 しかし、JA全農みやぎの勧めで植えた「仙台白菜」がうまく育ち、また、ボランティアの方たちと瓦礫を片づけたビニールハウス内でもミニトマトが生り、「ようやく、何とかなるのじゃないかと思えるようになってきた」と話しました。 記者達は、菅原夫妻の用意した仙台白菜入り豚汁をごちそうになりながら震災当時の状況を詳しく伺いました。

 

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 また、記者達は、同じく津波浸水被害を受けた水田地帯に建設中のトマトの水耕栽培施設も取材しました。日本全国に900店舗を数えるイタリアンレストランチェーンのサイゼリヤは、農業復興支援として、被災した農業関係者10名を雇用しこの地域が同社のトマトの基幹農場になることを目指しています。ビニールハウス作りから、トマトの水耕栽培までを主導する関連会社の白河高原農場の矢作光浩取締役は、この地域で一番重要なのは、冬の暖房コストであると述べ、現在の日本のエネルギー事情を踏まえ、四棟あるビニールハウスすべてに異なる暖房方式を導入し、東北の地でどういう方式で暖房しながら野菜を作っていけばよいのか、調査していきたいと話しました。クリスマスの時期にトマトを定植し、3月末には収穫できる見込みとのことで、参加した台湾の記者は、プロジェクトの進行に合わせて再度取材したいと話していました。

 

2日目

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 株式会社舞台ファームは、伊達藩と同時代に始まった15代続く農家で、現在は、米・野菜の生産から加工・販売まで手掛ける農業生産法人で約130名の従業員を抱えています。
舞台ファームの針生信夫社長によると、3月11日を起点に、消費者が知りたがる情報が農薬・化学肥料のトレーサビリティから放射能に汚染されているかどうかに変わったとのこと。参加記者からの質問も現在の放射能検査体制に関わるものに集中しました。針生社長は、食品に関する放射能の安全基準は、消費者だけでなく生産者にとっても非常にわかりづらく、情報もあいまいなことが不信感を招いていると述べました。 同社では11月には、東の食の会による自主的放射能検査の手順を取り入れ、公的機関によるサンプリング検査に加えて、自主的な検査により放射能検査の対象をできる限り拡大しています。 針生社長から説明の後、記者は、同社の野菜加工工場を視察し、搬入されてきたホウレンソウの簡易検査を行う様子を取材しました。

 

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 その後、記者一行は、仙台から車で約2時間かけて石巻市雄勝町へ移動しました。震災前には4300人いた雄勝町の住民は、現在1000人にも満たないとのこと。しかし、合同会社OHガッツの伊藤浩光代表は、震災による津波で、全てを海にもっていかれたものの、その代りにいろいろな人をこの土地に連れてきていると語りました。OHガッツ発起人の一人、立花貴氏の案内で、雄勝町の中心地であった場所や、OHガッツの作業小屋などを視察しながら話を伺いました。合同会社OHガッツでは、消費者が海産物を購入するだけでなく、直接、漁業に参加できる「そだての住人」という支援制度を設けています。これにより、毎週50人程度の「そだての住人」が雄勝町に足を運んでいるとのこと。立花氏は、既存の流通経路は複雑で、今まで消費者の顔が見えなかったものの、現在は食べる人たち(育ての住人)が関わってくるので漁師の気持ちも変わってきていると述べました。参加記者達は、震災時の様子、雄勝町復興の道筋や、より厳しい状況のなかで、どう後継者を育成するのかについて質問しました。ツアーの最後に、雄勝湾が美しい夕日に染まるなか、湾内の養殖施設を視察し取材を終えました。

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