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韓国新大統領誕生―各紙、日米韓連携と慰安婦合意の履行を求める | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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韓国新大統領誕生―各紙、日米韓連携と慰安婦合意の履行を求める

投稿日 : 2017年05月15日

日本の主要な全国紙5紙(朝日、産経、日経、毎日、読売)から、同じテーマについて論じた社説を選び、その論調を分かりやすく比較しながら紹介します。

 

朝日新聞:融和図り国政の再建を

産経新聞:まず日米と「対北」連携を

日本経済新聞(日経):親北路線で韓国は乗り切れるのか 

毎日新聞:地域安定へ日韓で協力を

読売新聞:文氏は「親北・反日」を貫くのか                               (50音順)

 

Photo: ロイター/アフロ

 

韓国大統領選が5月9日に実施され、革新系の最大野党「共に民主」の文在寅前代表が当選し、韓国は9年ぶりに保守から左派政権に交代した。文新大統領は選挙期間中に、北朝鮮との対話など融和政策を主張し、2015年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意についても再交渉を主張してきた。全国紙5紙は同10日付の社説(毎日、日経は拡大版)で、韓国新政権に対し、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対する安全保障面での「日米韓三国連携」の重要性を改めて強調するとともに、慰安婦日韓合意では全紙が着実な履行を強く求めた。

 

■ 対北朝鮮での日米韓連携強化

 

読売は、文新大統領が掲げる北朝鮮への融和政策について「関係改善を急ぐあまり、国際社会の対北朝鮮包囲網に穴を開けてはなるまい」として、日米韓による抑止力維持の必要性を強調した。また、2016年11月に締結した日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)についても、文大統領がこれまで批判してきた経緯を踏まえ、「冷静な判断を求めたい」と注文を付けた。

 

朝日は、新大統領の“親北的な姿勢”について「朝鮮半島の当事者である南北が本格的な対話を進めることは望ましい」としながらも、「対話を急ぐあまり、日米との歩調に変調をもたらすような性急な行動は慎むべきだ」と指摘した。特に、中国が反発する在韓米軍への新型迎撃ミサイルシステム(THAAD)の配備について、文氏が曖昧な発言をしてきたことを取りあげ、「就任後は優柔不断な姿勢は許されない」とクギを刺した。

 

毎日も、「対北朝鮮政策では日米韓の連携が基本である」として、新政権が性急な対北朝鮮融和政策を探ろうとすることは、「日米韓の連携を乱し、北朝鮮に付け入るすきを与えかねない」と懸念を示した。また、朴前政権が中断した南北共同事業の開城工業団地について、文大統領が「再開」の意向を示してきたことについて「北朝鮮に圧迫を加えようという国際的な動きに逆行している」とけん制した。

 

日経は、親北政策について、トランプ米大統領が米朝首脳会談の可能性に言及したことを挙げながらも、「北朝鮮に核開発を放棄させる道筋が全くみえないのに、韓国がむやみに融和政策に傾斜すれば、国際的な結束を大きく乱しかねない」と懸念を表明した。特に同紙は、文大統領の米軍THAAD配備問題に対する慎重姿勢、開城工業団地の再開問題や南北首脳会談への前向きな姿勢を挙げながら、「国際社会が結束して強力な包囲網を築こうとしているなか、文氏の唱える親北路線は明らかに逆行する」と強調した。

 

産経も文大統領の政治・外交姿勢について「文氏の融和政策は、日米韓連携に亀裂を生じさせかねさせない」と批判した。さらに、開城工業団地の再開は「(制裁をしている)各国の努力を無にするものだ」とするとともに、THAAD配備の見直しを示唆していることについても「看過できない」と指摘した。

 

■ 慰安婦合意の履行を要求

 

慰安婦問題に関する日韓合意については、全紙が文大統領の“再交渉”姿勢に疑念を呈し、日韓合意の着実な履行を強く求めた。

 

朝日は、文大統領が主張してきた再交渉について「日韓がともに外交の知恵を生かし、譲歩し合って築いた合意」を「認め、尊重することなしに話は始まらない」と明言した。全般的な日韓関係に関しても、文大統領に対して「大局観に基づく理性的な判断が求められる」と強調した。

 

読売も、文大統領の再交渉要求に対して日本側の不満が根強いのは「歴史問題での合意を反故にしようとするからだ」と断じ、“最終的かつ不可逆的な解決”である日韓合意の再交渉はあり得ないことを「文氏はどこまで理解しているのだろうか」と強い疑念を投げかけた。

 

毎日は、「国家間の合意を一方的に覆すようなことは許されない」と批判した。文氏が「(合意に)元慰安婦の考えが反映されていない」と主張していることに対しても、「元慰安婦の7割以上が合意に盛り込まれた事業を受け入れている」と反論した。その上で、日韓両国の政治指導者に対し、「いたずらに相手を追い込んで互いに強く出ざるを得ないというような悪循環を避ける責任がある」と主張した。

 

産経は、文大統領が不可逆的な合意を反故にするのなら「世界に対して『約束を守れない国』であることを宣言するに等しい」と断じた。また、文氏が昨年7月に竹島に上陸したことや今年1月に釜山の慰安婦像を訪れたことを挙げ、「もはや露骨な反日パフォーマンスは厳に慎むべきである」とも批判した。

 

日経は、日韓合意の再交渉は「仮にほごにするようなら日韓の信頼関係は損なわれ、国際的な信用も失墜する」と指摘し、ソウルの日本大使館や釜山の日本総領事館前の少女像撤去に努力するよう求めた。さらに、文大統領が歴史問題で「強硬な態度をとれば、日韓の関係修復はますます遠のく」とした上で、日本政府は文大統領の早期訪日実現に努力し、「未来に向けた関係づくりの大切さを粘り強く説いていくべきだ」と強調した。

 

 

※このページは、公益財団法人フォーリン・プレスセンターが独自に作成しており、政府やその他の団体の見解を示すものではありません。

 

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