森友学園・籠池理事長の証人喚問
投稿日 : 2017年03月31日
朝日:昭恵氏の招致が必要だ
産経:国有地売却の疑問とけぬ
日経:真相解明にはさらなる国会招致がいる
毎日:関係者の説明が必要だ
読売:信憑性を慎重に見極めたい (50音順)
写真:ロイター/アフロ
学校法人森友学園への国有地売却問題をめぐり、同法人の理事長である籠池泰典氏が3月23日に衆参両院で証人喚問された。全国紙5紙は同24日付の社説で取り上げ、籠池氏の証言の真偽について論じた。
■ 証言は慎重に見極め必要
読売は、籠池証言について「証言は真実なのか。慎重に見極める必要がある」との立場を示し、「真相を解明するのは簡単ではないが、首相側と籠池氏側の双方がさらに誠実に説明を尽くすしかあるまい」と述べた。一方で、森友学園側が首相本人の許可を得ずに「安倍晋三記念小学校」として寄付を募ったことについて、公明党の竹谷とし子参院議員が「詐欺ではないか」と追及したことを取りあげ、籠池氏が「詐欺ではない」と証言したことについて「そのこと自体が一連の発言の信憑性にも関わろう」として、籠池証言の危うさを指摘した。
今回の問題の焦点は国有地払い下げが大幅に値引きされたことであり、「政府は国有地に埋設された廃棄物の撤去費用の算定根拠などをより詳細に説明する必要がある」と政府に注文を付けた。
■ 国会への招致要求
朝日は、籠池氏の証人喚問は「安倍首相の妻の昭恵氏が、国有地払い下げに関与したことを疑わせる重大な証言だ」との認識を示すとともに、「関与を全否定してきた首相の説明とも食い違う」と厳しく指摘した。特に、昭恵氏による100万円の寄付の信憑性については、寄付していないとする首相側と籠池氏の言い分が真っ向から食い違っているとして、「昭恵氏本人の公の場での証言が不可欠だ」と主張した。政府側が昭恵夫人は「私人」で土地取引などには無関係だと強調していることに対しても、「首相夫人が公的存在であることは明らかで、説明責任は免れない」と論じた。
毎日も、籠池喚問だけでは真相解明はできないとして、「他の関係者の反論や説明が不可欠」とするとともに、「籠池氏の証言が事実かどうか、昭恵氏本人の口から説明が聞きたい。記者会見などをしないのなら国会への招致が必要になる」と強調した。さらに、安倍首相が国会で「私や妻が認可や払い下げに関わっていたのなら首相も国会議員もやめる」と答弁したことに触れ、100万円寄付や講演料の授受の真偽を明確にすることは「首相の信用問題に関わる問題だ」とした。
日経はこの証人喚問により「疑惑が深まった」との認識のもとに、「国会は関係者をさらに招致して真相を解明していく必要がある」と論じた。その上で、昭恵夫人の国会招致について、「様々な疑惑解明に後ろ向きだと思われれば、政治不信を増大させる結果につながることをよく自覚すべきだ」として、政府・与党の消極的な対応を批判した。
■ 司直による疑惑解明も
産経は、100万円寄付について双方の主張が真っ向から対立していることに、「予算委員会として夫人に直接、事実関係を確認する作業も必要になろう」と主張した。同時に、国有地払い下げに関して、近畿財務局が売却額を非公表にし、財務省が交渉記録は残っていないと説明したことについて「不透明さを増している」と批判した。
その一方で、学園側が国土交通省や大阪府に契約額の異なる工事請負契約書を提出していた問題で、籠池氏が回答を忌避したことについて「大阪府では刑事告発も検討している」として籠池氏を批判した。その上で、「違法性が問われる問題であれば、本人の証言を待たず、司直の手で疑惑を徹底的に解明すべきである」と強調した。
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