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【外国記者の素顔に迫る】「The Foreign Press」Vol. 3 ヒシャム・ロジバニさん(カタール「アル・アラビ」東京特派員)

投稿日 : 2024年10月18日


フォーリン・プレスセンター(FPCJ)の「The Foreign Press」の第3号をお届けします。現在日本では、世界約30の国・地域、140の報道機関に所属する記者約430人が、日本各地を取材し世界に伝えています(FPCJ調べ)。こうした「記者」には、記事を書く記者/テレビ・ラジオのレポーターのほかカメラなどの技術スタッフ、さらに取材先のリサーチから取材調整、取材当日の現場対応を行うコーティネーター兼通訳など様々な役割の人々が含まれます。また、外国記者といっても、日本で採用された日本人スタッフも多く、その割合は全体のおおよそ3人に1人となっています。この企画では、このように多様性あふれる記者をご紹介します。皆さまにおかれましては、今後機会がございましたら、可能な限り彼らの取材にご協力いただきますよう、お願い申し上げます。





 

The Foreign Press Vol.3 2024年10月18日


ヒシャム・ロジバニ アル・アラビ(カタール)東京特派員
Mr. Hisham Rojbani, Tokyo Correspondent, Al Araby(Qatar)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中東のテレビ局からインタビューのお願いでお電話しております」。当センターの職員がこう伝えると、電話の向こうの声は「あー、アル・ジャジーラね」。いえいえ違います。今回ご紹介するのは、中東カタールのもう一つのテレビ局「アル・アラビ」のヒシャム・ロジバニ特派員です。アル・ジャジーラは設立から四半世紀超、アラビア語と英語の24時間ニュースチャンネルで、国際的にもよく知られています。一方、開局から9年の民間放送局アル・アラビは、ニュースだけでなく、文化や教育などにも力を入れているアラビア語チャンネル。今後の成長が期待されています。

 

アル・アラビは、昨年7月に世界で12番目の支局を日本に開設し、NHK国際放送での仕事や訪日する海外メディアのコーディネートなどの経験があったロジバニさんに特派員の仕事を託しました。ロジバニさんは、地中海に面する北アフリカのリビアの首都トリポリで生まれ育ち、2006年に来日、その後日本国籍も取得していました。ロジバニさんによると、「支局といってもオフィスを新設したわけではなく、自宅に支局の機能を備えただけ」だと控えめに語りますが、カタールの二つのテレビ局が東京に支局を置き、中東に日本の情報を発信するチャンネルが増強されたことは、たいへん意義深いと思われます。

 

それでは彼らは日本のどんなことに注目しているのでしょうか。「一言でいえば全てです。今後数年の日本の政策を占うという意味で、先月の自民党総裁選と今月の総選挙はしっかりフォローしています」。ところがこうした取材をニュースにまとめて本社に送っても、ガザ情勢が動くと日本のニュースは押し出されてしまうとロジバニさんは嘆きます。

 

日本からの期待が大きいのが中東からの富裕層観光客の動向です。ロジバニさんは、中東の人々にとって、日本は既に魅力的な観光地として知られていると指摘します。どんなところが魅力と感じているかを問うと、ホスピタリティと安全性に加えて、「人々が正直なところ」との答えが返ってきました。「例えば日本の旅行会社から1000ドルのパッケージツアーを買うと、それで本当にほぼ全額ですが、他の国では終わってみるとそれ以外に何百ドルも払っていたということもあります」。

 

日本での取材で困ったことはと聞くと、一番困るのは、「取材を依頼しても、検討中といわれ数カ月待たされた挙句に却下されました。これは誰にも説明できません」。最後にロジバニさんの「推し」は何か。なんと日本の伝統文化だそうで、「知人に旅行を勧めるなら京都・奈良、夢は合気道で黒帯を取ること」とのことです。

 

ロジバニさんの業務が軌道に乗り、日本から中東に向けた情報が質量ともに充実することを期待しています。
(J.Y.)

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