プレスツアー(案内)

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実施日 : 2019年09月27日

案内:東京の中小企業プレスツアー(2019年9月27日)

投稿日 : 2019年09月10日

「勇気ある経営で100年に挑む-これからの東京の中小企業」

 

<テーマ>

・困難な現状を打破する、常識にとらわれない発想とイノベーション

・苦境だからこそ社員を守り、人を育て、新たな企画開発を生む経営

・結集した人財と高い技術力で確立したブランドを持続し、(超)100年企業を目指す戦略

 

 

東京都にひしめく中小企業数は約45万社で、企業数全体の約99%を占める。彼らは、時代やニーズの変化にもまれつつも巧みに対応しながら発展し、日本の経済成長を下支えしてきた。さらに未来を見据えてイノベーションを続け、常に優れた製品を生み世界に送り出している。

 

しかし、バブル崩壊やリーマン・ショック、製造業の生産拠点のアジア諸国への移行などによる業績悪化、また経営者の高齢化や少子化が進み、黒字経営でも後継者がおらず廃業や売却等を余儀なくされる企業も多く、事業継承という大きな問題を抱えている。これまで培ってきた技術やノウハウが途絶えてしまわないよう、年齢や性別、国籍に関係なく次世代に継承できる経営体制への再編が急務だ。

 

このような状況の下、様々な困難を打ち破ろうと、高い技術力を生かして立ち上がり、苦境にあっても社員を解雇せず一丸となって乗り切った経営者たちも数多くいる。創業以来続いている中小企業は、経営者の確たる信念や志を軸に、職人の優れた技術を結集して、新たな価値の創造に果敢に挑む。

 

本ツアーでは、東京商工会議所主催「勇気ある経営大賞」の各賞を受賞した都内の中小企業を訪問し、創業100年を目指して挑み続ける経営やイノベーションの努力、グローバル化・デジタル化時代を生き抜く戦略、また長期にわたる事業継続の秘訣や強靭性(レジリエンス)を取材する。

 

 

 

<取材内容>

1.東京商工会議所 

~中小企業の経営強化、成長・発展を全力で支援~

 

 

東京商工会議所は、活動の基本理念として、3つのミッション「会員企業の繁栄」「首都・東京の発展」「わが国経済社会の発展」を掲げ、挑戦を続けている。その一環で、2003年から毎年「勇気ある経営大賞」を実施し、過去に拘泥することなく、常識の打破に挑戦し、高い障壁に挑み、高い理想の追求を行うなど、“勇気ある挑戦”をしている中小企業またはグループを顕彰している。「民間の力が強くなければ、日本の繁栄はない」との渋沢栄一初代会頭の基本精神を色濃く受け継ぐ事業でもある。また、東京2020オリンピック・パラリンピックにむけて策定した「アクションプログラム」においても「中小企業の底力を世界に発信する」ことを一つの柱のとして、大会成功に向けた機運醸成に取り組む。

 

本ツアーの主催者である東京商工会議所の担当者より、東京の中小企業の存在意義や果たしている役割、直面する構造変化、さらに長寿企業が多い要因などについて説明を受けるほか、ビル1階オリンピック・パラリンピック展示ブース「TOKYO 2020 PRステーション」を視察する。

 

 

 

2.有限会社原田左官工業所(文京区) 

~伝統産業の未来-左官の技術+αの発想で若者や女性の職人が活躍する~

 

 

壁塗り職人「左官」は1975年頃の最盛期には全国で約30万人いたが、現在では7万人程度にまで減少、しかもその6割は60歳以上の高齢者だ。高温多湿の日本の気候には漆喰が最適といわれてきたが、戦後、ビニール製の壁紙や外壁材などに取って代わられ、「左官」は今や消えつつあるのか。

 

原田左官工業所は1949年創業。38歳で父の跡を継いだ3代目の原田宗亮社長は「夢とロマン」という経営理念で左官業の未来を創る。左官の仕事の幅を広げ、若者や女性の職人を増やし、彼らにやりがいと安定した生活を持ってもらい、将来長く続く企業になることを目指す。その一歩として、本社1階をショールームにし、塗り壁材料の見本や紙カタログを揃え、左官業界では珍しい提案型の営業を確立。大手企業等の顧客も増え、商業施設の内装や外壁などに「コテ」による左官の独特な仕上げが取り入れられるようになった。さらに、白い漆喰にコーヒー豆の粉を仕込んだり口紅を混ぜたりして独特な色合いをだすなどのユニークな塗り壁材料も次々に開発している。

 

        


また、左官の仕事は「見て覚える」の伝統が幅をきかせる業界にあって、「モデリング訓練」という、見本動画で熟練工の壁塗り技を見習い工が学ぶ人材育成方法を導入。これにより若手を短期間で現場に送り出し、同じように技術をレベルアップできるようになった。一方、女性職員は先代社長(実父)時代に育成を始め、今では現社員49名のうち10名を占め、中には30年以上のキャリアをもつ者もおり、異業種からの転職も多い。平成時代には、企画から営業・施工までをチームで請け負う「ハラダサカンレディース」が結成されたり、安倍総理と面会しコテの使い方を教えた女性職人もいる。


                

【画像提供:原田左官工業所】

 

原田社長より、伝統的な左官業を若者と女性が活躍する場へと変えてきた革新的な取り組みについて聞き、ショールームおよびトレーニングスペースなど、様々な創意工夫で職人を育成する現場を取材する。

 

 


3.株式会社アイオイ・システム(大田区) 

~世界の物流から紙をなくす-50カ国以上で展開する最先端システムを開発~

 

同社はコンピューターのハードウェアおよびソフトウェアの制作・開発を目的として1984年に設立された、電子機器関連の設計・開発・製造・販売業を手掛けるファブレスメーカー(工場をもたない製造業企業)。通信技術をもとに、物流・生産の現場をデジタル化し、効率化する同社の主力製品「デジタルピッキングシステム」(以下、DPS)は、現在世界50カ国以上で採用、国内・アジア・中南米・欧州圏の物流センター・倉庫・工場など5,000以上の現場で400万台導入され、世界シェア7割を占める。DPSは、商品や物品の棚の表示機のランプが光り、そこに表示された種類や数量を作業者に知らせるシステム。経験の浅い者でも正確にピッキングできることで紙の伝票やリストをもとに行っていた作業時間が短縮、出荷ミスも減少した。

              

【ショールーム(写真右)画像提供:アイオイ・システム】

 

創業者の多田潔代表取締役は、「物流マーケットは人口比。すでに2030年前に、今後日本の人口が減少に転じることを見通しており、海外マーケットにうってでた」と話す。国内拠点を広げる一方で、米・サンノゼ市に米国子会社(1997年)、欧州および南米の販売拠点としてスペインに合弁会社(2002年)、中国における販売・製造拠点として上海市に中国子会社(2004年)を設立した。最近ではインドやインドネシア、タイでの事業展開を見据えシンガポールに拠点を設置した。

 

リーマン・ショック後に2年連続大幅赤字となったが、多田社長は「せっかく育成した社員を手放すことはできない。仕事がないならその時間で何か開発すればいい」と、助成金などを活用してわずか半年で物流のペーパレス化に貢献する世界初の見えるRFID「スマートタグ」を開発、その後2年間で累計19万枚の販売実績を上げた。最近では、プロジェクションマッピングの技術を応用し、より作業効率や精度を上げる「プロジェクションピッキングシステム®」を市場に送り出し、調剤薬局の薬を保管する現場などに導入されている。

            

 【多田社長および「スマートタグ」画像提供:アイオイ・システム】

 

スマートカードによるペーパレスの受付システムを体験し、多田正子専務から物流業界の時代の流れに沿った同社の歩みについて説明を受けた後、ショールームにて「デジタルピッキングシステム」「プロジェクションピッキングシステム®」のデモを取材する。また、多田潔社長より、社員を守り開発に専念することを貫いた思いや、人口減少を見据えて早くから着手した海外事業のマネジメントについて聞く。

 

 

 

4.株式会社西尾硝子鏡工業所(大田区)

~鏡で太陽熱発電に挑戦-技術に裏打ちされたブランドを継承し、100年企業へ~

 


同社は、西尾智之現社長の祖父が東京・浅草のガラス屋から独立し、鏡の製造販売業として1932年に創業。現在は「デジタルとアナログの融合」による寸法精度を武器に、フレームがないガラス同士を接着する高度な技術によりショーケースを製作。中でも、ガラスの小口(ガラスを切断した際の端面)を45度に傾斜して気泡を入れずに接着する技術は「接着の西尾」というブランドを生み、ショーケースは海外の有名ブランドや宝飾品の店舗でも採用されている。

 

33歳で3代目に就任した西尾社長は、バブル崩壊後で取引先が倒産する厳しい経営状況を東京の再開発ラッシュにより何とか切り抜けた。しかしリーマン・ショック後の売り上げは三期連続赤字で廃業も考えたが、全社員一丸となって「あえて他社が難しいと嫌がるような仕事をやろう」と決断。新たな需要開拓として、海外有名ブランド向けショーケースの受注に挑んで会社を立て直し、現在は「ショーケースのガラス加工では業界一」と評される。2008年には自然エネルギーを利用した太陽熱発電プロジェクトに「鏡屋」として挑戦。屋外使用のミラー開発に取り組み、翌年業界初となるアラブ首長国連邦のアブダビの砂漠に1400枚の集光ミラーを納入した。

 

同社は事務所の壁に2001年から2100年までの100年カレンダーを掲げる。13年後の創業100年にむけて西尾社長は「技術とブランドを持続するには継承が必須」と人材育成に力を入れる。一つの技術を3人ができるようにする「1技術3人体制」を構築するためベテラン職人が若手に技術を伝える。

 

           

 

西尾社長より、西尾ブランド確立への道のりや、「鏡屋」として再生可能エネルギー分野への進出にかける思いなどについて聞き、「デジタルとアナログが融合」したガラス加工の作業現場を視察する。

 

 

5.株式会社ちんや(台東区) 

~世界で通じる「Sukiyaki」―世紀を超えて真の味を伝え、過剰な高級肉志向に一石を投じる~

 

国内外の観光客で賑わう台東区浅草、雷門にほど近い庶民的な界隈に店を構える創業139年の老舗料亭「ちんや」では旬の食材を適切に使った本格的なすき焼きが味わえる。もとは諸大名や豪商に犬の狆(ちん)などの愛玩動物を納める店で獣医も兼ねていた。1880年に料理屋に転じた際にそのまま「ちんや」を屋号とし、1903年に現在のすき焼き専門店になった。

 

「文明開化」の味を今に伝える「ちんや」では厳選された牛肉を提供しているが、6代目の住吉史彦現社長は2017年に「適サシ」宣言をした。「サシ」とは赤身の肉に入った網の目状の脂肪のことで、「適サシ肉」は生後30か月以上の和牛の雌で過剰な脂がなく適度に「サシ」が入った肉を指す造語。「適サシ宣言」は「格付や等級ではなくすき焼きに適した肉の提供に向けた挑戦」であり、肉の見た目を追求せずに味で勝負する方向へと転換した。背景には行き過ぎた霜降り肉人気への懸念がある。1990年代の牛肉等の輸入自由化以降、赤身中心の米国産との差別化のため、A5などの上位ランクである霜降り肉への改良が進んだ。「高ランク=おいしい」ということに疑問を呈し、「適サシ」宣言により過剰な霜降り信仰に一石を投じたのだ。

 

次いで20193月、「肉のフォーティエイト」、つまり仕入れる牛一頭の重量(枝肉重量)を480キログラム以内に制限し、大きすぎる牛は仕入れないことを宣言した。牛の味より重量の大きさを追及するような傾向が今後出現しないよう買い手としての姿勢を示した。

             

 

住吉社長から老舗企業としての経営理念、日本の食文化、肉やご飯の「ちょい食べサイズ」メニューの考案など食品ロス削減への取り組み等について聞き、昼食に「適サシ肉」を使ったすき焼きを頂く。

 

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【実施要領】

 

1.スケジュール

※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。

<9月27日(金)>

8:15                 東京商工会議所1階集合

8:20-9:25        東京の中小企業についてのブリーフィング

10:00-11:30     有限会社原田左官工業所

12:00-13:20    株式会社ちんやにて昼食

14:00-15:30     株式会社アイオイ・システム

16:00-17:30     株式会社西尾硝子鏡工業所

17:40              JR大森駅 解散

 

2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:3,000円(都内移動費、昼食費を含む)

*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。

*集合場所・解散場所の往復交通費は参加者の負担となります。

 

4.募集人数:10名(各社ペン1名、カメラ1名、TV12名まで)

※申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当: 山田、小泉

Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)

 

6.備考:

1)本プレスツアーは東京商工会議所が主催し、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が企画・運営を担当しています。

2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

4)主催者とFPCJは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

 

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