実施日 : 2015年02月12日 - 13日
案内:京都市プレスツアー「千年の都が育てるもの」
投稿日 : 2015年01月23日
-文化財保護の最前線-
-伝統産業の海外市場への挑戦-
-ものづくり精神を受け継ぐ京都発のベンチャー企業-
-文化財保護の最前線-
1000年以上の歴史を持つ京都。市内には208もの国宝があり、市とその周辺地域にある17の寺や神社、城はユネスコの世界文化遺産に指定されている。膨大な数の文化財を有する京都では、現在も、それらを後世に伝えるための人々の努力が絶え間なく続いている。ここには、長年の経験と知恵で、二条城の障壁画に残された400年前の筆運びを再現する絵師もいれば、先端テクノロジーを駆使した特殊スキャナを開発した、文化財をデジタル的に保存する「デジタルアーカイブ」技術の世界的第一人者もいる。文化財保護の最前線である京都には、最高レベルの職人技や最先端のテクノロジーが育まれているのだ。
-伝統産業の海外市場への挑戦-
京都には、着物を始めとする多様な伝統産業が息づいており、職人技が代々受け継がれてきた。しかし近年、日本人の生活様式が欧米化したことで市場が縮小し、担い手も激減している。このような危機的状況を打破しようと、燃えない竹材を開発して海外市場を開拓する竹専門店や、着物の世界を飛び出した型彫り職人がいる。
-ものづくり精神を受け継ぐ京都発のベンチャー企業-
古くから京都に根付くものづくりの精神は現代の製造業にも受け継がれており、世界トップシェアを誇る企業も多い。特に精密機器や電子部品のメーカーが多いことで知られている。これを背景に、日本初の電気自動車(EV)スポーツカーを開発した京都発のベンチャーがある。特徴は京都産の技術や部品が駆使されている点だ。
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本プレスツアーでは、京都市を訪問し、市長にインタビューするほか、
・400年前に描かれた二条城の障壁画の模写に挑む現代の日本画家や、先端テクノロジーを駆使した文化財専用の特殊なスキャナを開発した、「デジタルアーカイブ」技術の世界的専門家を取材する。
・国内需要が縮小するなか、海外市場の開拓に挑戦している伝統産業の職人の事例として、日本初の「燃えにくい竹」を開発し、欧州のインテリア市場に積極的に売り込んでいる竹材専門店の4代目跡継ぎや、着物地の染色用の型紙を彫刻する名手で、その技を活かしてiPadケースなどの新商品を生み出している職人を取材する。
・ものづくり精神を受け継ぐ京都発のベンチャーとして、京都産の様々な部品メーカーの技術を結集し、日本初の電気自動車(EV)スポーツカーを生産している企業を取材する。
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※本プレスツアーは、京都市が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画運営しています。
【取材内容】
~1000年の歴史が育んだ美と知恵~
http://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000032584.html
1000年以上もの歴史を持つ京都。市内には208もの国宝があり、市とその周辺地域にある17もの寺や神社、城はユネスコの世界文化遺産に指定されている。市が管轄する世界遺産(国宝)二条城では、次世代へ保存・継承していくため、現在、1603年に徳川家康が築城して以来最大規模となる修復が進められている。
文化財を始めとする歴史的な魅力を持つ京都は日本を代表する観光地だ。2014年度の観光客数は 5,162万人、外国人宿泊数は113万人、観光消費額は7,002億円に達し、全て過去最高を記録した。また、米国を代表する旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」(月刊100万部)が2014年に実施した読者による人気投票で、京都は世界1位に選ばれている。
京都は、観光産業のみならず、長い歴史が育んだ伝統産業が現在も息づいている。市では海外市場への進出を支援しており、職人の欧州の展示会への出展やパリのデザイナーとのコラボレーションなどを企画している。
◆市長に市の取組みについて幅広く聞く。
――― 文化財保護の最前線 ―――
2.二条城 障壁画 模写現場 日本画家 谷井俊英さん(65歳)
~日本最大級の模写プロジェクト。現代の日本画家たちが蘇らせる400年前の美~
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/syoheki.html
http://www.kawamo-art.com/nijo-castle/
江戸時代に築城され、ユネスコの世界文化遺産に登録されている二条城。城内の「二の丸御殿」には、1626年に狩野探幽一門が手掛けた障壁画が1000面以上残され、これらは国の重要文化財の指定も受けている。しかし、400年もの歳月により損傷が進んでおり、早急な保存が必要とされている。そこで京都市では、1972年から模写画の制作を進めてきた。模写が完成した襖からオリジナルとはめ替えて展示し、オリジナルは湿度・温度が管理された収蔵庫内で保管している。模写にあたっているのは現代の日本画家たちだ。オリジナルを丹念に観察・分析しながら400年前の技法を忠実に手で再現している。約47年に渡って模写に携わっている谷井俊英さん(65歳)は、「当時の絵師のすごさを模写で伝えるのに苦労するが、いい加減なものは残せない。当時の人の想いを引き継いで、後世に残す役割を果たしたい」と語る。
◆二条城・二の丸御殿を訪れ、模写とオリジナルの両方の障壁画を視察する。その後、障壁画の模写現場を取材し、作業にあたっている日本画家たちに話を聞く。
◎注意:二の丸御殿内部は撮影できませんのでご注意下さい。ただし、模写室には原画と模写画の両方があり、こちらでは撮影可能です。
3.京都大学 工学研究科 先端イメージング工学 教授 井手 亜里さん(61歳)
~先端テクノロジーで文化財をデジタル保存。京都を世界の拠点に~
http://research.kyoto-u.ac.jp/documentary/ide/01/
1972年にイランから来日し、京都大学で学んだ井手教授。そもそもは脳細胞の元素などをデジタル的に捉える機械とそれを分析するソフトの開発をしてきた。ところが、ある依頼を引き受けたのがきっかけで、文化財をデジタル化して保存する「デジタルアーカイブ」技術に惹かれ、その道でも第一人者に。メーカーと共同で、文化財専用の「超高解像度大型平面入力スキャナ」の開発に成功した。文化財を高精細かつ高精彩な画像として取り込めるため、半永久的な記録が保存できるほか、材質・表面形状・色情報などの分析や、顔料・絵画技法の推定にも役立つ。井手教授は、「文化財には3つの敵がいる。戦争、貧困、そして無知だ。現在のシリアを見てもその状況は深刻だ。さらに、東日本大震災で1000点以上の文化財が失われたことを考えると、災害も大きな敵だ」と語る。現在では、中国、香港、韓国、スペイン(プラド美術館)、エジプトなど、海外のプロジェクトにも参加しているほか、世界各国の文化財保護の担い手の育成にも意欲的だ(中国、香港、韓国、オーストラリア、英国、イタリア、米国などに海外拠点を設置)。「日本のデジタルアーカイブ技術は世界でトップ。なかでも多くの文化財がある京都は、世界的な拠点になり得る」と力を込める。これまで、仁和寺の観音堂、二条城障壁画などのデジタルアーカイブ化も手掛けた。最近では、この技術は、8Kのディスプレイに対応する高精細のコンテンツの作成を可能にするものとして改めて注目を集めている。
◆井手教授に話を聞き、スキャナのデモンストレーションなどを視察する。
――― 伝統産業の海外市場への挑戦 ―――
4.有限会社 横山竹材店 4代目 (専務取締役)横山 裕樹さん(35歳)
~竹材を欧州のインテリア市場に売り込む。世界初、燃えない竹材も開発~
http://www.yokotake.co.jp/index.htm
1919年創業の横山竹材店は、京都迎賓館や茶道・裏千家の竹垣、歌舞伎座内の店舗(設計:隈研吾氏)内装用の竹などを手掛ける老舗だ。竹の加工技術の高さで名を馳せてきた京都には竹材を扱う専門店や職人が多い。しかし、近年日本の生活様式が欧米化したことで、国内の竹の需要が低下し、廃業する会社が続出。業界自体が縮小している。「このままでは業界が先細りし、若い人材が入って来られない」と、現状に危機感を覚えた4代目跡継ぎの横山裕樹さん(35歳)は、新たな需要を開拓しようと、欧州のインテリア市場への売り込みを進めている。2012年にロンドンの代理店と契約を結んで輸出を始めたほか、今年はフランスの展示会にも出展した。徐々に海外ビジネスに手応えを感じているという横山さん。「海外市場での売上を伸ばして若い人にとって魅力的な産業にしたい」と語る。同社では次世代を育てなければものづくりの技術がすたれてしまうとの考えから積極的に若い社員を雇用。従業員12名のうち半数が20代~30代だ。
さらに、横山さんは、世界初となる燃えにくい竹材の開発に成功。現在の日本の法律では、消防法による制限で、旅館や飲食店などの商業施設の建築には竹材(木材)は一部でしか使用できない。この規制により、竹材を使いたくても使えないといったケースや、本物の竹ではなく竹の模様が印刷された壁紙を使用している施設も多い。そこで、横山さんは、5年の歳月をかけて、特殊な薬剤を染み込ませつつも竹本来の自然な風合いを保った新たな竹材を開発。2014年1月に消防庁の認可を受けて実用化にこぎつけたのだ。本物の竹の需要拡大につながると大きな注目を集めている。
◆横山さんに海外市場に目を向けた経緯や今後の展望について聞くと共に、竹材加工の職人技を視察する。
5.西村友禅彫刻店 西村 武志さん(61歳)
~後継者に道を開きたい。着物の世界から飛び出して新商品を開発~
http://www.nishimura-yuzen-chokoku.com/
1934年に創業した西村友禅彫刻店。京都が生み出した染物、「京友禅」の染色用の型紙を彫る「友禅彫刻」の専門店だ。この型紙によって着物の生地に様々な文様が作り出される。2代目の西村武志さんは40年以上の経験を持つ名手だ。染色の際に用いられる型紙は、1枚の振袖を作るのに400~500種類も必要になるといわれるが、近年は着物の生産量減少に伴い仕事量や職人の数が激減している。
「使えない技術は伝承されない」、「お金になる技術にしないと、若い人がやりたくても続けられない」と危機感を持った西村さんは、従来の型紙のみならず、皮などの新たな素材にその技術を応用した彫刻を施し、iPadケースを始めとする新商品を生み出している。液晶画面の光が彫刻から透けるデザインは評判を呼び、東京のデパートでも扱われるようになった。また、京都市の支援で、海外の展示会に参加しているほか、パリのデザイナーとのコラボ商品も制作中だ。「着物の仕事だけをしている時代は、下請けでお客さんと接することなど全く無かったが、いま自分の技術がお客さんに直接評価される。この仕事をしてきて良かったと感じる。技術を受け継ぐ人が出てきて欲しい」と語る。
◆西村氏に技術や新商品の開発に込める想いについて聞くと共に、製作中の様子や作品を視察する。
――― ものづくりの精神を受け継ぐ京都ベンチャー ―――
6.GLM株式会社 社長 小間 裕康さん(37歳)
~日本初、電気自動車スポーツカーを生産するベンチャー。京都の技術・部品を結集~
GLM株式会社は、日本初の量産電気自動車(EV)スポーツカーを開発・販売している京都発のベンチャー企業だ。京都大学で研究されていた電気自動車を出発点とし、2010年に小間社長が当時32歳で設立した。同社の車の大きな特徴は、京都企業の技術や部品を多く使っている点だ。車載用の充電器、バッテリ、電気制御に関わるパワーリレーなど、京都に拠点を置く様々なメーカーによる部品が使われている。京都は精密機器や電子部品を始めとしたメーカーが多いことで知られており、世界トップシェアを誇る企業も多い。必要な部品のサプライチェーンがあり、京都産のものだけでEVを作れるほどなのだ。これだけの企業が京都に集まっているのは、古くから根付くものづくりの精神が現代に受け継がれているからだとも言われている。
スポーツカーには発進からすぐの加速感が求められるが、これが電気自動車に適している。またベンチャーで大量生産できなくても、スポーツカーであれば希少性が価値につながる。これらの点から小間社長はベンチャーでの電気自動車(EV)スポーツカーの生産に勝算を見出した。
2014年7月、同社の「トミーカイラ ZZ」は、量産型の電気自動車(EV)スポーツカーとして日本で初めて国土交通省の認証を取得。これにより、ナンバーを付けて日本の公道を走ることが可能になった。国内向け販売価格は800万円(税抜き)。99 台の限定生産だが、限定数を超える予約申込があった。既に販売・納車も進んでいる。小間社長は、「環境モデル都市として名高い京都でEVを作ること自体にメッセージがある」との考えだ。
◆小間社長から開発の経緯や、京都のどのような技術が使われているかについて話を聞くと共に、EVスポーツカーのデモンストレーションを視察、試乗も行う。
【実施要領】
1.日程案: 2015年2月12日(木)~13日(金)(1泊2日)
<1日目:2月12日(木)>
8:00 東京駅集合
8:13-10:31 東京~京都(新幹線)
11:00-12:30 二条城
13:00-14:00 昼食
14:30-15:45 横山竹材店 4代目 横山裕樹氏(京都コネクション)
16:15-17:30 西村友禅彫刻店 西村武志氏(京都市×パリ市 ものづくり交流事業/京都コンテンポラリー)
18:30-20:00 夕食
<2日目:2月13日(金)>
8:30- ホテル発
9:15-11:15 京都大学 工学研究科 先端イメージング工学 井手教授
11:15-12:15 移動
12:15-13:00 昼食
13:00-14:45 GLM株式会社
14:45-15:45 移動
16:00-17:00 市長インタビュー
18:29-20:55 京都~東京(新幹線)
2.参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用: 1人10,000円(全行程交通費、宿泊費、食費を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。
4.募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。
5. FPCJ担当:吉田(TEL: 03-3501-3405)
6.備考:
(1) 写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2) FPCJおよび京都市はツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。
(3) 本プレスツアーでは、参加者に経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。