プレスツアー(案内)

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実施日 : 2024年09月11日 - 12日

岩手県プレスツアー:伝統産業の次世代への継承

投稿日 : 2024年08月20日

実施日:2024年9月11日(水)~12日(木)

<漆器、鉄器、箪笥:歴史ある職人技が息づく岩手に見る挑戦>

 

・日本最大の漆の産地、岩手。文化財修復に必要な国産漆の約8割を供給
・少子高齢化のなかで職人技を伝承し、若い世代を育成する取り組み
・海外輸出による収益アップや、現代のライフスタイルに合わせた製品開発で、伝統産業を持続可能なビジネスに

 

 

 岩手県は、日本で古代から塗料として使われてきた「漆(うるし)」の日本一の産地だ。漆とは、ウルシの木の幹から採取した樹液を精製した塗料で、腐食や浸水を防ぐことから、素材の耐久性を高める効果を持つ。その上、乾燥して固まるとその表面は光沢を持ち艶やかに仕上がるため、器から武具、仏像、建築物まで幅広く利用されてきた。その美しさは15世紀から17世紀の大航海時代に日本を訪れたヨーロッパ人たちをも魅了し、漆を使った数々の工芸品が欧州に輸出された。かのマリー・アントワネットも、日本の漆工芸品の一大コレクターとして知られている。


 一方、第二次世界大戦後、日本におけるウルシの木の栽培や漆生産は低迷。より安価な中国産漆に押され、漆の自給率は、一時はわずか2%未満にまで減少した。しかし、2015年に、文化庁が「国費の補助を受けて行う国宝・重要文化財(建造物)の保存修理に使用する漆は、原則として国産とすること」との方針を打ち出したことを背景に、国産漆の需要が高まり、岩手県ではその増産が進められてきた。2022年現在、国産漆の約80%を岩手県が供給している。

 


 岩手県には、約1300年前から続く漆器の産地や、18世紀から続く漆を用いた伝統的な箪笥の産地がある。また、良質な鉄が多く産出されたことから古くから鋳物製造が盛んで、「南部鉄器」の産地としても知られている。昨今、日本全国で少子高齢化が進み、岩手県の高齢化率(65歳以上が人口に占める割合)も、2023年には35.2%に達している。そうした状況下で、岩手県の伝統産業の現場では、職人の技を次世代に継承するためのさまざまな取り組みを見ることができる。また、より幅広い層の消費者にアピールするために、伝統的な技術を駆使して現代のライフスタイルに合わせた新たな製品を開発する努力も進められている。さらに、伝統産業をより持続可能なビジネスにしようと積極的に海外市場に売り込み、輸出を大きく伸ばしている事業者もいる。輸出によって収益を高めることが、若者の雇用・参入、ひいては伝統の継承につながるとの考えが背景にある。

 

 ◆本プレスツアーでは、漆にまつわる岩手県の伝統産業の現場を訪れ、長い歴史に裏打ちされた職人技をつぶさに見るとともに、少子高齢化による人口減少が進むなかで、その伝統を未来に継承していくために、後継者育成や、現代のライフスタイルに合わせた製品開発、海外への販路開拓など、創意工夫を重ねながら奮闘する人々を取材する。

 

 

【取材内容】


漆生産の復活と文化財修復



1.株式会社 小西美術工藝社(二戸支社)
~ 政府指針により高まる国産漆の需要を受け、未来の漆生産を担う後継者を育成 ~

https://www.konishi-da.jp/history/

 

 小西美術工藝社は、17世紀から寺社の装飾保存修理を手掛けてきた300年以上もの歴史を持ち、現在も国宝や重要文化財の建造物の保存修理を請け負う業界最大手の企業である。2020年には、岩手県の平泉に所在する国宝・中尊寺金色堂の保存修理工事も担った。

 同社は2016年に、日本最大の漆の生産地である岩手県の二戸地域に支社を設立した。この背景には、2015年 に文化庁が「国庫補助事業として実施する国宝・重要文化財(建造物)の保存修理に使用する漆については、原則として国産漆とすること」という通知を出したことにより、国産漆の需要が急拡大したことがある。同社の主な事業である文化財の装飾保存修理には、国産の漆が欠かせなくなったことから、その供給確保が急務となったのだ。同社は、二戸で2016年から、ウルシを苗木から育て、ウルシ林を造成し、ウルシの木に傷をつけそこから出てくる樹液を採取する「漆掻き」まで、漆の一貫生産を行っている。

 2015年の通知以降、古くから漆の産地であった岩手県の二戸地域全体で、漆の増産が進められている。2022年の国産漆の生産量は対2015年比で1.5倍に伸びた。自給率はまだわずか7%程度だが、その約8割がこの岩手県で生産されている。

 また、漆掻き職人の高齢化と後継者不足が深刻だったが、2015年の文化庁の通知を受け、拡大する漆の需要に対応するため、生産者団体や地元行政が後継者の育成に乗り出している。小西美術工藝社も、業界最大手として漆掻き職人の雇用と育成に努めており、現在、二戸支社には移住者を含む20~30代を中心とする男女5名の漆掻き職人が正社員として雇用されている。安定した雇用により、国産漆の生産の未来を担う若い職人が技術を高めながら育つ環境となっている。

 

◆本ツアーでは、小西美術工藝社の二戸支社を訪れ、同社の取締役副社長および漆生産部門総責任者である福田達胤(ふくだ・たつたね)氏から、国産漆の生産を取り巻く現状、同社の正社員雇用の体制、漆掻き職人育成等について話を聞いた後、ウルシ林を訪れ、若手の漆掻き職人による漆掻きの実演の視察・撮影を行う。


(大雨が降った場合は、ウルシの樹液が流れてしまい漆掻きができなくなるため、ウルシ林での実演が中止になる可能性があります。)


 

 

【画像提供(左上、右上):株式会社 小西美術工藝社(二戸支社)】

 

 


2. 中尊寺 金色堂国宝世界遺産

~ 900年の時を経た国宝の修復に、地元産の漆が使われた ~

https://www.chusonji.or.jp/know/konjikido.html

 

 2011年に世界文化遺産に登録された「平泉」の構成資産である中尊寺は、11世紀~12世紀に同地を治めた奥州藤原氏の初代当主である藤原清衡によって1126年に平泉に建立された。清衡は、戦乱によって家族を失った経験から、その犠牲者らを敵味方関係なく弔い、現世に戦乱のない平和な理想郷を築くために中尊寺を建立した。その後平泉は約100年間、4代にわたり奥州藤原氏の拠点として栄えた。

 

 中尊寺の境内にある国宝・金色堂は1124年に建立された仏堂で、極楽浄土を体現するために様々な意匠が凝らされ、内外は金箔や螺鈿細工を使用した豪華絢爛な装飾が施されている。内部には棺に納められた奥州藤原氏4代の亡骸が今も安置されている。今年2024年は、建立から900年の記念の年だ。

 

 この金色堂には、中世から現在に至るまで定期的に修復作業が行われてきた。1968年に全解体を伴う大規模修理が行われたが、それから50年が経過する間にも度重なる地震や木材の収縮により、御堂の漆や金箔の剥離・亀裂などが目立つようになっていた。

 

 そこで、調査を経て、2020年に亀裂部分を埋める修理が行われた。この国宝という代えがたい遺産の修理作業は小西美術工藝社が手掛け、岩手産の漆が使われた。

 

<注意事項>

金色堂および讃衡蔵は、撮影できません。参加者には後日、報道用の画像を提供いたします。

 

◆ツアーでは中尊寺を訪れ、執事長の菅原光聴(すがわら・こうちょう)氏の案内で、漆を用いた仏像などが収蔵されている讃衡蔵と、金色堂を視察するとともに、2020年の金色堂の修復作業や、その修復に国産漆が使用されたことへの思いについて同氏に話を聞く。 


     

【画像提供:中尊寺】


 

 

漆工

新製品の開発/官民連携の後継者育成システム



3.有限会社 丸三漆器 

~ 華麗な職人技の継承と、現代のライフスタイルに合わせた新たな製品開発 ~

https://hidehiranuri.jp/ 

 

 岩手では1300年前(8世紀初め)から漆器がつくられてきたが、12世紀には、奥州藤原氏3代目の藤原秀衡が、京都から招いた職人に地元産の漆と金をふんだんに使った器を造らせた。これを起源とする「秀衡塗(ひでひらぬり)」は、雲の文様の上に、菱形の金箔を貼り付け、草花などの漆絵が描く華麗なデザインが特徴だ。

 

 その秀衡塗を手掛ける丸三漆器は、1904年の創業当初から木地作りから絵付けまでの全工程を一貫して手掛ける工房だ。同社は伝統的な漆器に留まらず、新たな商品の開発に積極的に挑戦している。2002年には、4代目の青柳一郎氏が、特殊な技法でガラス食器の絵柄としてガラス面に漆の絵付をする技術を確立し、グラス等の形で商品化。昨今増えてきた訪日外国人客にも人気を博しているという。

 

 同じく、同社が立ち上げた新ブランド「FUDAN」は、木地の表面に薄く漆を塗る技法を使い木目が見える形で仕上げているのが特徴。塗り重ねるタイプと比べて剥離が起こりづらいため扱いやすいく、シンプルで飽きが来ないデザインであることから、若い世代にも客層を広げている。「FUDAN」はその名の通り、普段使いしやすい漆器を作りたい、という想いから5代目の青柳真氏の弟の匠郎(たくお)氏が開発した。

 

 丸三漆器では、伝統的な作風を守ると同時に、その技を次世代に継承するために、現代の生活空間に溶け込みやすく、使い勝手の良い製品の開発にも取り組んでいる。

 

◆ツアーでは丸三漆器を訪れ、5代目で代表取締役社長の青柳真(あおやぎ・まこと)氏から同社の概要や現代のライフスタイルに合わせた商品開発についての説明を受ける。その後、工房で職人たちによる秀衡塗の製作風景を視察・撮影し、真氏の弟で塗師の匠郎氏にも話を聞く。


 

 

【画像提供(右上、右下):有限会社丸三漆器】


 

 

4.安代漆工技術研究センター/安比塗漆器工房

1300年の歴史を誇る漆器産地による、官民連携の後継者育成システム ~

https://www.appiurushistudio.com/convey/ 

 

 岩手県の安比川周辺には古代からウルシの木が多く自生し、日本有数の漆の産地として、約1300年前から漆器が作られてきた。しかし、第二次世界大戦後にはプラスチック製容器の普及によって漆器産業は衰退し、職人も減少した。この危機に、漆器生産の伝統を次世代に残そうと、1983年に地元の八幡平市によって「安代漆工技術研究センター」が設立された。

 

 同センターでは、設立以来40年に渡り、漆を塗る職人を育成してきた。かつての古典的な職人修行の「見て覚える」方式ではなく、確かな技術力を有する指導員が丁寧に「教える」方式で、2年という短期間で技能を習得させるのが特徴だ。同センターは累計80名の卒業生を輩出しており、彼らは全国で漆塗り職人として活躍している。同センターは八幡平市が運営しており、研修生たちは無料で漆塗りの技術を学ぶことができる。地元自治体が主体となって、長期間に渡って地域の伝統産業の継承に取り組んでいる好事例であり、センター創設時から研修生を指導してきた冨士原文隆氏は、同センターの日本の漆工芸産業全体への貢献を自負している。

 

 1999年には同センターの卒業生の雇用の受け皿として安比塗(あっぴぬり)漆器工房が開設された。工房では同センターを卒業した4名の女性職人たちが現代のライフスタイルに合わせたシンプルなデザインの漆器を製作している。同工房は安代町(現:八幡平市)が設立し、第3セクターによる運営を経て、現在では、「安比塗企業組合」が運営を引き継いでいる。センターと工房の運営は、行政と民間が連携した、息の長い、持続的な取り組みといえる。

 

◆ツアーでは、まず安比塗漆器工房を訪れ、代表理事の工藤理沙(くどう・りさ)氏から安比塗と同施設の概要について伺い、工房で漆塗り職人の作業風景を視察する。その後、安代漆工技術研究センターにて、研修生による研修中の風景を視察・撮影するとともに、施設創設当初から指導を行っている冨士原文隆(ふじわら・ふみたか)氏から、安比塗の伝統の後世への継承に向けた担い手の育成にかける思いについて話を聞く。

 

 












 

【画像提供(右上、左下):安比塗漆器工房】




南部鉄器

海外輸出/後継者育成のための作業工程の変革


 

5.株式会社 及富(おいとみ)

~ オンライン販売の3分の1が海外輸出。海外市場の成長を活かして、伝統産業を若い世代が参入しやすいビジネスに ~

https://oitomi.jp/

 

 岩手県の奥州市と盛岡市では、古くから良質な鉄や川砂などの原料が多く産出したことから、鋳物製造が盛んで、この2つ産地で作られた製品が「南部鉄器」として知られている。その鉄器の表面には、錆び防止のために漆が塗られてきた。また、南部鉄器の鉄瓶で沸かしたお湯には、鉄分が多く含まれることが立証されており、その鉄分補給効果も注目を集めている。

 

 奥州市の南部鉄器は、12世紀後半に藤原清衡が京都などから鉄器職人を招き、仏具などを作らせたのが起源といわれる。1848年に奥州市で創業した株式会社及富は、伊達藩の保護の下で茶の湯釜の製作をして以来、170年以上の歴史を誇る。その5代目の当主は、1950年代に業界で初めて米国に向けて南部鉄器の輸出を始めた、パイオニア的存在でもある。1980年代からはドイツの国際展示会にも出展し、フランス等の欧州でも好評を得た。また、2010年頃からは、茶の文化が根付いている中国等でも人気を博している。

 

 しかしその人気の陰では、海外で模倣品が作られるようになり、同社は海外に向けた正確な情報発信の必要性を認識。2022年には、国際発送可能な、海外市場対象の直営オンラインショップでの商品販売を開始した。同社の売上全体の半分以上をオンラインショップによる売上が占めているが、そのうち海外向けが3分の1に上り、輸出が同社のビジネスの大きな柱となっている。円安の影響で輸出は増加傾向にある。海外市場においては米国からの注文が最も多く、その他ドイツ、フランス、ポーランド等の欧州、またアジアでも売り上げを伸ばしている。

 

 また、柔らかな形状と青い塗料で仕上げられた同社の鉄瓶「みやび」(※下の画像参照)は、奥州市出身でメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースで活躍中の大谷翔平選手のInstagramアカウントで紹介されたことにより一躍脚光を浴びた。それ以降3,000件もの注文が殺到し、1年待ちの人気ぶりとなっている。

 

 伝統工芸が生き残る手段を模索してきた同社の9代目、菊地海人氏は、海外に販路を開拓して商圏を広げる重要性を強調する。後継者となる若い世代が伝統産業の世界で職を得、参入できるようにするには、収益を確保できるようビジネスモデルを変える必要があるとの考えだ。

 

◆ツアーでは、及富を訪れ、同社9代目の菊地海人(きくち・かいと)氏から製品の概要や越境ECサイトを活用した海外輸出についての説明を受けた後、職人たちによる鉄瓶製作の様子を視察・撮影する。


【画像提供:株式会社及富】

 


 

6.タヤマスタジオ 株式会社

~ 若い世代が技術を習得しやすいよう、作業工程そのものを変革。後継者育成の新たな姿 ~

https://www.tayamastudio1.com/ 

 

 

 盛岡の鉄器は17世紀初頭、茶の湯が大流行していた時代に、南部藩主が京都から釜師を招いて茶の湯釜を作らせたのが起源とされる。その後、藩の主要な産業の一つとして奨励され、日用品も作られるようになり、全国に流通していった。

 

 タヤマスタジオ株式会社は、南部鉄器の伝統工芸士で「現代の名工」として厚生労働大臣表彰を受けた田山和康氏を父に持つ田山貴紘氏が2013年に立ち上げた。貴紘氏は、かつては県外企業で営業職として勤務していたが、東日本大震災をきっかけに地元盛岡にUターン。父に弟子入りし鉄瓶製作の技術を学んだ。同社は、現代のライフスタイルに寄り添った商品開発など多角的に事業を行っている。その同社が特に力を入れているのが若い職人の育成だ。

 

 南部鉄器の製作には作業工程が50~60もあり、100の工程を経る工房すらある。従来の職人修行では、一つの工程を習得しないと次の工程を学べないのが通例で、一人の職人が全工程に携われるまでに数十年を要することもあった。しかし、働き方をめぐる考え方が変化した現代では、古い修行のあり方が若い世代に受け入れられなくなりつつある。そこで同社では、2019年に、若手の職人であっても製作の全工程に携わることができるよう、加飾面での作業工程をあえて減らした鉄瓶「あかいりんご」を開発。田山氏は、「一人の職人が全工程を自分の手で行うことで、全体の流れを把握できる。各工程の意味を理解しながら作業し、技術を身に着けていくというスタイルは、今の若い世代の感覚に合っているのではないか」と言う。

 

 あかいりんごは、現代の生活空間にもなじむシンプルでモダンなデザインで人気を博しており、入手できるまで数か月待ちのヒット商品となっている。

 

◆ツアーでは、タヤマスタジオ株式会社の工房兼店舗を訪れ、代表取締役の田山貴紘(たやま・たかひろ)氏から、「あかいりんご」の開発経緯や、担い手育成について話を聞き、工房で若手職人たちが南部鉄器を製作している様子を視察する。


  

  

【画像提供(左下、右下):タヤマスタジオ株式会社】


 

 

岩谷堂箪笥

伝統的な作品づくりと新たなニーズの掘り起こし



7.有限会社 岩谷堂家具センター/彫金工芸菊広

200年以上の歴史を誇る、漆と彫金が彩る箪笥。正統派の作品づくりと現代のライフスタイルに合わせた新ブランドの両輪で歩む ~

https://iwayado-kagu.com/

https://www.chokinkogeikikuhiro.com/  

 

 「岩谷堂箪笥(いわやどうたんす)」は18世紀末に、岩谷堂地域を治めた領主が、米の生産だけに頼る経済からの脱却を目指し、家臣に木工家具の開発を指示したことが起源とされる。欅や桐を原材料とし、重厚な漆塗りと、華麗な彫金を施した金具が特徴だ。 漆と金具の光沢は、年月が経つにつれてより深い輝きを放つと言われている。

 

【画像提供:有限会社岩谷堂家具センター】

 岩谷堂家具センターでは、国の「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて認定された3名の伝統工芸士を含む職人たちが、箪笥などの製品を顧客の要望に合わせてオーダーメイドで一つ一つ手作りしている。

 

 生活空間の西洋化により、古典的なデザインの岩谷堂箪笥の需要は減少傾向にあったが、消費者のニーズの変化に合わせて、色鮮やかでよりデザイン性が高い商品も生み出している。また、岩谷堂家具センターも加盟する岩谷堂箪笥生産協同組合では「和モダン」をテーマにした「岩谷堂くらしな」シリーズを開発。職人たちが岩谷堂箪笥と同じ素材、技術を活かしてペン立てや壁掛け時計、収納小物類を製作しており、好評を得ている。同シリーズは、奥州市のふるさと納税返礼品にも採用されている。岩谷堂箪笥生産協同組合は、この「岩谷堂くらしな」シリーズをきっかけに幅広い消費者に岩谷堂箪笥の魅力を伝え、伝統的な箪笥の購買に繋げていきたいとしている。

 

 

  













【画像提供(左下):岩谷堂箪笥生産協同組合



 岩谷堂箪笥のデザインを象徴する、装飾性の高い錠前金具などの金具を製作しているのは、彫金工芸菊広だ。岩谷堂箪笥には、一竿に60~100個程の金具が取り付けられる。南部鉄器製と鉄板や銅板を加工するものがあるが、彫金工芸菊広では、及川洋氏が伝統工芸士としての彫金の技術を駆使して、何十種類もの道具を使い分けながら、全て手作業で金属板に立体的な模様を彫り上げる。明治時代に描かれた伝統的な下絵を代々受け継いだ、古典的なデザインの彫金のほか、最近ではその技を活かし、ペットの写真を元にした精巧なオリジナルの金具や店舗の看板など、箪笥の金具に留まらない作品を手掛けている。

 

    

【画像提供(右上、左下、右下):彫金工芸菊広】

 

◆ツアーでは岩谷堂家具センターを訪れ、伝統工芸士による岩谷堂箪笥の製作中の様子を視察し、代表取締役の八重樫新也(やえがし・しんや)氏に「岩谷堂くらしな」シリーズの開発などについて話を聞く。その後、彫金工芸菊広の工房を訪れ、及川洋(おいかわ・よう)氏から話を聞くとともに、彫金の実演を視察・撮影する。

 

【実施要領】

 

1日程

2024年9月11日(水)~12日(木)

 

2.スケジュール

【9月11日(水)】

07:32-10:12  東京駅→二戸駅(はやぶさ5号)

10:45-12:30  株式会社小西美術工藝社 二戸支社

12:45-1330  昼食(日本料理 柏)

14:15-1545  安代漆工技術研究センター、安比塗漆器工房

17:00-1830  タヤマスタジオ株式会社

18:40                 宿舎着(盛岡市内泊)

 

【9月12日(木)】

07:50                 宿舎発

09:15-10:30      株式会社及富

10:45-12:15      有限会社岩谷堂家具センター、彫金工芸菊広

13:00-13:45      昼食(蔵元レストランせきのいち)

14:00-1530   中尊寺

16:15-17:15      有限会社丸三漆器

18:38-2112   一ノ関駅→東京駅 (やまびこ64号)

 

3.参加資格

原則として、外務省発行外国記者登録証保持者

 

4.参加費用

11,000円

(全行程交通費、宿泊費(1泊朝食)、昼食(1、2日目)を含む)

※お支払い方法、キャンセル料等については、参加者にご連絡します。
※集合場所までの交通費、解散後の交通費は自己負担となります。

 

5.募集人数

7名(各社ペン又はカメラ1名、TVは1社2名まで)

※定員を超えた場合は主催者側で調整することがあります。

 

6.以下を必ずご確認・ご了承されたうえで、お申し込みください

6-1.基本事項

(1)本ツアーは岩手県が主催し、フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が運営を担当しています。

(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

(3)参加者には経費の一部を負担いただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

(4)本ツアー中に発生した事故や怪我・病気、トラブル等について、岩手県(主催者)及びFPCJ(運営者)は一切の責任を負いかねます。

(5)写真・TV撮影を含めて、各取材地では担当者の指示に従ってください。

(6)本ツアーは、報道を目的とした取材機会の提供を目的としているため、参加者には、本国での報道後、FPCJを通じ岩手県に、記事、映像、音声(ラジオの場合)のコピーの提出をお願いしています。また、報道が英語・日本語以外の場合は、内容を把握するため英語または日本語の概要の提出も併せてお願いしています。参加申込者は、これらに同意いただいたものとみなします。

 

6-2.個人情報の取り扱いについて

以下について予めご了承ください。

※プレスツアーの主催者および運営者は、個人情報の取り扱いに関し、「個人情報保護に関する法律」をはじめとする個人情報保護に関する法令、ガイドラインを遵守し、個人情報を適正に取り扱います。

(1)運営者は、申し込み時に送信された個人情報(所属機関名・氏名等)を、各プレスツアーにおいて必要があると認められる場合に、以下の目的でそれぞれの関係先に提供します。

・旅行会社を通じた旅行手配・保険加入(提供先:旅行会社、宿泊先、交通機関、保険会社)

・取材の円滑な運営(提供先:通訳者、取材先)

(2)運営者は、円滑な事業運営を目的に、主催者に申し込み者の所属機関名・氏名を共有します。

 

6-3.プレスツアー中の主催者・運営者による記録用の撮影

以下について予めご了承ください。

(1)記録用に、運営者がツアー中の様子を撮影します。その写真・動画の著作権は主催者に帰属します。

(2)ツアーの様子を記録した写真、記事、動画を、主催者および運営者のホームページやSNS等に掲載することがあります。

(3)前各項の写真・動画に、参加者の肖像・声が映り込むことがありますが、主催者・運営者がそれらを利用することに同意していただきます。

 

7FPCJ担当

取材協力課 渡邉、吉田

(Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)

 

 

*************

 

◆以下の点を必ずご了承いただいたうえで、お申し込みください◆

・プレスツアーは複数のメディアが参加する共同取材であり、インタビューや撮影は合同で行うのが前提です。したがって、必ずしも全ての取材先で個別の撮影・インタビューができるとは限りません。

・プレスツアーの進行、取材時間、撮影制限に関しては、主催者及び運営者の指示に必ず従ってください。指示に従っていただけない場合、その時点から、プレスツアーへの参加をご遠慮いただく場合もあります。

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