プレスツアー(案内)

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実施日 : 2024年02月27日 - 28日

福島プレスツアー

投稿日 : 2024年02月01日

福島プレスツアー

地域のなりわい再生への挑戦、その最前線に迫る

<実施日: 2024年2月27日(火)~28日(水)/ 主催: 環境省>

本プレスツアーは、参加申し込みを締め切らせて頂きました。

【テーマ】

① 避難指示が解除された地域における雇用創出や伝統産業復活への取り組み

② 移住者の起業が地域に生み出す新たな産業


 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から、もうすぐ13年を迎える。2024年は、震災や原発事故により最大16万4千人が避難を余儀なくされた福島県で、同原発半径20㎞圏内の地域として初めて、2014年に田村市都路(みやこじ)地区の避難指示が解除されてから10年の節目でもある。

 

 2020年3月までに「帰還困難区域」を除くすべての地域で避難指示が解除された。また、帰還困難区域のうち、生活や経済の拠点となる「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」に指定された6つの町村で除染やインフラ整備が行われ、2023年11月までに順次避難指示が解除された。県内の避難指示区域の面積は約12%から約2.2%まで縮小し、2024年度以降は復興拠点外の地域に新たに設定された「特定帰還居住区域」において、住民の帰還に向けた除染が本格化する。

 

 本ツアーでは、避難指示の解除によって再出発を切った地域を訪れ、雇用創出に取り組む企業や、存続の危機にあった地元の伝統産業を守るために奮闘する住民を取材する。また、県外から移住した2人の起業家のもとを訪ね、コミュニティづくりや地域産業の活性化に取り組む様子を取材する。

     

     

    【取材概要】

    テーマ① 避難指示が解除された地域における雇用創出や伝統産業復活への取り組み


    1.中間貯蔵施設

    ~福島の除染の現状とこれから~


     画像提供:環境省


     環境省によれば、「除染で取り除いた土壌や、放射性物質に汚染された廃棄物を最終処分するまでの間、安全に管理・保管するために整備された「中間貯蔵施設」は、東京電力福島第一原子力発電所を取り囲む場所において整備されており、大熊町・双葉町には大変重いご決断の下で受入を容認いただきました」とのこと。広さ約16平方キロメートルに及ぶ施設には、2015年から土や廃棄物が運び込まれ、その総量は2023年12月末時点で約1,375万立方メートル(帰還困難区域からの搬入分を含む) に達する。2024年からは、帰還困難区域のうち復興拠点外に整備される「特定帰還居住区域」での除染に伴う除去土壌等の受け入れが本格化する見通しだ。

     

     除去土壌等は中間貯蔵施設で一時保管した後、搬入開始30年後(2045年3月)までに福島県外で最終処分することが法律で定められている。

     

      ◆ツアーでは、「土壌貯蔵施設」などを視察するとともに、担当者から説明を受ける。

     

     

    2.浅野撚糸株式会社 「フタバスーパーゼロミル」(双葉町)

    巨大な撚糸工場が、11年半ぶりに住民が戻った双葉町に雇用と交流を生み出す~


    画像提供(左):浅野撚糸


     原発事故後に町の全域に避難指示が出され、全町民約7千人が避難を余儀なくされた双葉町では、2022年8月に一部の地域で避難指示が解除され、約11年半ぶりに居住が認められる町となった。町の再出発を支えるのが、2023年4月に開所した「フタバスーパーゼロミル」だ。岐阜県に本社を置く撚糸製造会社、浅野撚糸株式会社が運営するこの施設には、撚糸工場のほかにイベントスペースやタオル販売店、カフェなどが併設され、被災地における雇用創出だけでなく、住民同士の交流を生み出す場や観光拠点としても地域の活性化を後押ししている。

     

    画像提供(左):浅野撚糸

     

     浅野撚糸がフタバスーパーゼロミルで生産するのは、水に溶ける糸を使った世界初の特殊な工法を用いた撚糸「SUPER ZERO」だ。軽さと柔らかな風合いが特徴で吸水性と速乾性に優れたSUPER ZEROは、タオルメーカーをはじめとする国内の大手メーカーに納入されているほか、浅野撚糸がこの糸を使って製造する自社ブランドのタオル「エアーかおる」は2007年の発売以来、累計販売枚数が1,500万枚を超えるヒット商品となっている。

     

    画像提供:浅野撚糸


     2024年春に20台の撚糸機がフル稼働すると、フタバスーパーゼロミルで生産されるSUPER ZEROは年間500トンとなり、浅野撚糸は糸の海外輸出にも本格的に乗り出す計画だ。すでに中国の大手タオルメーカーへの納入が決まっているほか、欧州の有名ブランドとも商談が進んでおり、輸出の拡大とともに双葉の名が世界へと広まることが期待される。



    画像提供:浅野撚糸

     

     

     岐阜県に本社を置く浅野撚糸が30億円をかけて双葉町に拠点を建設した理由について、浅野雅巳(あさの・まさみ)社長は、困難な状況でも未来志向で復興に取り組む双葉の人々の姿を見て「こんな人たちから学びたい。こんな人たちと一緒に仕事をしたい」と思ったからだと話す。福島県は自身が大学時代を過ごした場所でもあるという。地域の再生のため、浅野撚糸はフタバスーパーゼロミルに国内外から観光客を呼び込み、年間300万人の交流人口を創出することを目指している。





    画像提供:浅野撚糸

     


     フタバスーパーゼロミルで働く浅野撚糸の従業員20名のうち、9名は岐阜県の本社からの転勤者で、残り11名はいわき市や南相馬市など福島県内で採用された。2023年に福島県内の高校を卒業した鈴木志歩(すずき・しほ)さんは、浅野社長の復興への熱意に胸を打たれたことや、双葉町の現状をみて「この町をどうにかしたい」と思ったことから浅野撚糸に入社を決意。現在、生まれ育ったいわき市を離れ、双葉町で一人暮らしをしながらフタバスーパーゼロミルのカフェで働いている。

     

     

     

     

    ◆ツアーではフタバスーパーゼロミルを訪れ、撚糸工場を見学するとともに、浅野社長から事業概要や双葉町の復興への思いを聞く。また、鈴木志歩さんを含む福島県出身の社員2名へのインタビュー取材を行う。

     

     

    3.大堀相馬焼の窯元 「陶吉郎窯」(浪江町)

    避難指示の解除から1年。300年続く地元の伝統産業を守るため、発祥の地で工房を再建した陶芸家~

     

     長く続く避難指示によってコミュニティが瓦解した地域では、地元の伝統や文化をどう守り、継承するかが課題となっている。浪江町大堀(おおぼり)地区で300年以上の歴史を持つ焼き物「大堀相馬焼(おおぼり・そうまやき)」も、存続の危機に直面する伝統工芸品のひとつだ。


     

     江戸時代(1603年~1868年)の初期にあたる1690年頃に浪江町の大堀地区で制作が始まった大堀相馬焼。その特徴は、器全体に広がる青いひび割れ、熟練の筆技で手描きされた馬の絵、そして二重の構造にある。江戸末期には100以上の窯元が活動し、大堀は東北地方随一の焼き物の産地として大きく栄えたと言われている。第二次世界大戦後の1950年代には海外輸出もされ、二重構造の湯飲みはアメリカを中心に「アイデアカップ」や「ダブルカップ」の名称で親しまれた。

     

     1978年には国の伝統的工芸品に指定され、浪江町の特産品として多くの人に愛されてきた大堀相馬焼だが、原発事故後、大堀地区が帰還困難区域に指定されたことで当時20軒以上あった窯元は全て町外への避難を余儀なくされた。廃業を決めた窯元もおり、現在、町の外で制作活動を続ける窯元は14軒となっている。


     

     こうしたなか、大堀地区の避難指示が2023年3月に解除されたことを受けて、伝統発祥の地に戻り、焼き物作りを再開しようとする窯元がいる。江戸時代から続く「陶吉郎窯(とうきちろうがま)」だ。原発事故後、いわき市で制作活動を行ってきたが、大堀に工房と店舗を再建し、2024年春から13年ぶりに制作活動を再開する予定だ。

     

    画像提供(右):陶吉郎窯

     

     陶吉郎窯の近藤学(こんどう・まなぶ)さんは、大堀で活動する理由について、「発祥の地で制作してこそ伝統といえる」と話す。浪江町で姿を消しかけていた伝統を復活させるとともに次の世代へと引き継ぐため、近藤さんは、職人の育成にも力を入れる考えだ。

     

    ◆ツアーでは、大堀地区に再建された陶吉郎窯の工房を訪れ、近藤さんから伝統継承への思いを聞いたあと、ろくろを使った制作の様子を見学する。

     

     

    テーマ② 移住者の起業が地域に生み出す新たな産業


     福島県は、原発事故に伴う避難指示等の対象となった12市町村の復興・再生を加速させるため、県外からの移住を促進している。12市町村に移住する人には最大で200万円の移住支援金を交付するなど、ほかの地域に比べて手厚い支援を行い、2022年度は前年度を40%近く上回る603人が対象地域に移住した。また、県外からの移住者が12市町村で起業する場合、起業に必要な経費を最大400万円まで補助する制度もあり、起業を通じて被災地の課題解決に取り組む人も増えている。

     

    4.株式会社haccoba(浪江町 / 南相馬市)

    ~東京からの移住者が福島で起業。「クラフトサケ」の醸造を通じて被災地域のコミュニティ形成を支援~


    画像提供:haccoba

     

     埼玉県出身の佐藤太亮(さとう・たいすけ)さんは、東京の大手IT企業などでの勤務を経て2020年に南相馬市へ移住、酒造りを手がける株式会社haccobaを設立した。以前から酒造りに興味があったことに加え、酒蔵を地域住民が集う場所にすることで、被災地のコミュニティづくりに貢献できると考えたことが南相馬で起業した理由だ。

     

    画像提供:haccoba

     

     haccobaが造るのは、伝統的な日本酒の原料(米と米麹)にホップやスパイス、ラズベリーなどの副原料加えた「クラフトサケ」で、酒税法上は日本酒ではなく「その他の醸造酒」に分類される。米や米麹のほか、一部の副原料は福島県で生産されたものを使用しており、地元の農家とともに型にはまらない自由な酒造りに取り組んでいる。

     

    画像提供(左):haccoba

     

     酒蔵を起点としたコミュニティづくりを目指すhaccobaは、醸造所の増設にも意欲的だ。南相馬市の醸造所に続き、2023年7月には仮設住宅で使用されていたログ材を再利用した醸造所を浪江町に新設した。さらに2024年2月には、JR小高駅(南相馬市)の駅舎を利用した醸造所兼店舗が完成する予定だ。醸造所が併設された駅は全国的にも珍しく、佐藤さんは「街の入り口である駅をシンボリックな場所にするとともに、地元の特産品などをそろえたセレクトショップを併設することで、地域の情報発信拠点としての役割を担いたい」と話す。


    ◆ツアーでは、浪江町の醸造所を訪れ、佐藤さんへのインタビューや酒造りの様子を見学する。その後、JR小高駅へ移動し、完成したばかりの醸造所兼店舗を見学するほか、希望する記者はクラフトサケの試飲を行う。



    5.株式会社smile farm(川俣町)

    原発事故後、川俣町の新しい特産品となったアンスリウム。土の代わりにポリエステルを使用したユニークな栽培に取り組む、県外から移住した新規就農者~



     2017年3月までに全ての地域で避難指示が解除された川俣町は、町を活気づける新たな産業としてアンスリウムの生産に力を入れている。

     

     アンスリウムは熱帯アメリカを原産とする観葉植物で、エナメルのようにつややかな質感のハート型の葉が特徴だ。川俣町では、土の代わりに古着をリサイクルした「ポリエステル媒地」を用いたアンスリウム栽培が行われている。土を使用しないことによって連作障害のリスクが減るほか、原発事故の土壌汚染対策や風評被害の払拭にもつながるためだ。

     

     近畿大学の支援のもと、2015年から試験栽培をはじめ、2018年に11の農家による本格栽培がスタート。2022年には年間の生産量が30万本を突破し、川俣町は現在、全国シェア約40%を占める日本最大のアンスリウム産地となっている。


     

     川俣町でアンスリウムを栽培する農家のなかには、県外から移住して就農した人もいる。埼玉県出身の谷口豪樹(たにぐち・ごうき)さんも、そのひとりだ。ゴルフ用品販売会社の社員だった谷口さんは、2013年に転勤で福島市に引っ越して来た。数年後に別の県への転勤を命じられたが、川俣町出身の妻と福島で暮らすため退職を決意。2018年に川俣町山木屋地区に移り住み、アンスリウムの栽培を開始した。

     

     山木屋地区は冬場の最低気温がマイナス10度前後まで下がることもあり、農業用ハウスを温めるための燃料費が1棟あたり年間150万円ほどかかるが、谷口さんはハウス内の温度管理や水の散布などを自動で行うスマート農業を取り入れることで作業の効率化や低コスト化を実現している。

     

     

     年間約5万本のアンスリウムを生産する傍ら、谷口さんは2021年にアンスリウムを使ったフラワーアレンジメントやイチゴ狩り体験を楽しめる観光農園「smile farm」を設立した。「2024年は年間1万人の観光客を呼び込み、川俣町のアンスリウムをより多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。

     

    ◆ツアーではsmile farmを訪れ、谷口さんからアンスリウムの生産事業に関する説明を受けたあと、アンスリウム農園の見学を行う。





    【実施要領】

    1.日程

    2024年2月27日(火)~28日(水)

     

    2.スケジュール

    【2月27日(火)】

    07:40-08:56  東京駅-郡山駅(やまびこ125号)

    11:00-12:30  陶吉郎窯(浪江町)

    13:00-13:40  昼食(道の駅なみえ)

    14:00-15:45  中間貯蔵施設

    16:15-17:25  haccoba 浪江醸造所(浪江町)

    17:50-18:30  haccoba JR小高駅の醸造所兼店舗(南相馬市)

    19:00                  宿舎着(浪江町内泊)

     

    【2月28日(水)】

    09:30-10:30  環境省ブリーフィング(ホテル会議室)

    10:45                  宿舎発

    11:00-13:00  浅野撚糸 フタバスーパーゼロミル(双葉町)

    13:10-13:50  昼食(レストランエフ)

    15:00-16:30  smile farm(川俣町)

    18:16-19:48  福島駅-東京駅(やまびこ154号)

     

    3.参加資格

    原則として、外務省発行外国記者登録証保持者

     

    4.参加費用

    13,000円

    (全行程交通費、宿泊費(1泊2食)を含む)

    ※お支払い方法、キャンセル料等については、参加者にご連絡します。
    ※集合場所までの交通費、解散後の交通費は自己負担となります。

     

    5.募集人数

    10名(各社ペン1名またはカメラ1名、TVは1社2名まで)

    ※定員を超えた場合は主催者側で調整することがあります。

     

    6.FPCJ担当者

    取材協力課 清水・吉田

    (Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)

     

    7.以下を必ずご確認・ご了承されたうえで、お申し込みください

    7-1.基本事項

    (1)本ツアーは環境省が主催し、フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が運営を担当しています。

    (2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

    (3)参加者には経費の一部を負担いただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

    (4)本ツアー中に発生した事故や怪我・病気、トラブル等について、環境省(主催者)及びFPCJ(運営者)は一切の責任を負いかねます。

    (5)写真・TV撮影を含めて、各取材地では担当者の指示に従ってください。

    (6)本ツアーは、報道を目的とした取材機会の提供を目的としているため、参加者には、本国での報道後、FPCJを通じ環境省に、記事、映像、音声(ラジオの場合)のコピーの提出をお願いしています。また、報道が英語・日本語以外の場合は、内容を把握するため英語または日本語の概要の提出も併せてお願いしています。参加申込者は、これらに同意いただいたものとみなします。

     

    7-2.個人情報の取り扱いについて

    以下について予めご了承ください。

    ※プレスツアーの主催者および運営者は、個人情報の取り扱いに関し、「個人情報保護に関する法律」をはじめとする個人情報保護に関する法令、ガイドラインを遵守し、個人情報を適正に取り扱います。

    (1) 運営者は、申し込み時に送信された個人情報(所属機関名・氏名等)を、各プレスツアーにおいて必要があると認められる場合に、以下の目的でそれぞれの関係先に提供します。
    ・旅行会社を通じた旅行手配・保険加入(提供先:旅行会社、宿泊先、交通機関、保険会社)
    ・取材の円滑な運営(提供先:通訳者、取材先)

    (2) 運営者は、円滑な事業運営を目的に、主催者に申し込み者の所属機関名・氏名を共有します。

     

    7-3.プレスツアー中の主催者・運営者による記録用の撮影

    以下について予めご了承ください。

    ・記録用に、運営者がツアー中の様子を撮影します。その写真・動画の著作権は運営者に帰属します。

    ・ツアーの様子を記録した写真、記事、動画を、主催者および運営者のホームページやSNS等に掲載することがあります。

    ・前各項の写真・動画に、参加者の肖像・声が映り込むことがありますが、主催者・運営者がそれらを利用することに同意していただきます。

     

    7-4.新型コロナウィルスの「5類」に移行に伴い、下記ご注意の上、ご参加をお願いいたします。

    ・集合前に、ご自身での体調管理をお願いします。

    ・マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねます。

    ・バス車内では咳やくしゃみの飛沫防止のため「咳エチケット」などの感染予防にご協力をお願いいたします。

    ・バス乗車前やツアー実施中は、積極的に手洗い、うがいをお願いいたします。

    ・バス車内では指定された座席を利用し、席の移動はやめてください。

     

    **************************

     

    以下の点を必ずご了承いただいたうえで、お申し込みください◆

    ・プレスツアーは複数のメディアが参加する共同取材であり、インタビューや撮影は合同で行うのが前提です。したがって、必ずしも全ての取材先で個別の撮影・インタビューができるとは限りません。

    ・プレスツアーの進行、取材時間、撮影制限に関しては、主催者及び運営者の指示に必ず従ってください。指示に従っていただけない場合、その時点から、プレスツアーへの参加をご遠慮いただく場合もあります。


     

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