実施日 : 2023年04月25日 - 26日
G7サミット直前・広島プレスツアー
投稿日 : 2023年04月04日
テーマ:広島で受け継がれる平和への想い、復興から未来へ
岸田総理は2022年5月23日、日米首脳会談後の記者会見で、日本が議長国となる2023年のG7サミット(主要国首脳会議)を広島で開催すると表明し、「広島ほど平和へのコミットメントを示すのに、ふさわしい場所はない」、「核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないという誓いを世界に示す」と決意を述べた。
G7サミットは、2023年5月19日から21日まで広島で開催される。開催まで一カ月をきった今、広島を訪問するプレスツアーを実施する。主催は、G7サミットの開催に向けて、地元からその開催を支援するべく立ち上げられた「広島サミット県民会議」、共催は外務省。「広島サミット県民会議」は、広島県、広島市や経済・交通・医療など様々な分野の関係団体で構成する官民一体の組織であり、5つの柱である「開催支援」「おもてなし」「平和の発信」「広島の魅力発信」「ポストサミットを見据えた若者の参画」に基づき、全県的な取組みを行っている。
本ツアーではG7サミット直前の広島を訪れ、開催を控える地元の声を聞くとともに、被爆の実相や被爆者の平和への想い、企業による復興の軌跡と現在、想いを継承する若者たちの取組みを取材する。
【取材内容】
1.企業と復興の軌跡
(1)広島電鉄株式会社
~今も走り続ける時代の生き証人、被爆電車~
1945年8月6日、原子爆弾により広島の街は焼け野原となり、現在、広島の街を象徴する風景の一つでもある路面電車も壊滅的な被害を受け、全線不通となった。しかし、原爆投下からわずか3日後、人々の不屈の努力によって運転を再開し、その後、被爆した電車の多くは修理され、市民の足として復帰を果たした。瓦礫の山となった街を力強く走るその姿に、当時多くの市民が励まされ、勇気づけられたという。
この電車は、いつしか「被爆電車」と呼ばれるようになり、復興へと歩み出した広島の街を支えてきた。そして、今でも3両の被爆電車が、この街で人々の暮らしを支え続けている。
本ツアーでは、市民の足となって広島の街を走る被爆電車の様子を撮影した後、広島電鉄の歩みと復興について話を聞く。その後、千田車庫に停車する被爆電車や県内の高校生がデザインしたG7ラッピング電車を取材する。
【画像提供:広島電鉄株式会社】
(2)株式会社マルニ木工
~100年経っても「世界の定番」として認められる木工家具づくりを~
マルニ木工は、1928年の創業、木製家具の製造・販売で世界から高い評価を得ている木工家具メーカー。適正な価格で、より多くの人に良い商品を届けるため、職人と機械の分業による工業生産「工芸の工業化」をモットーに、技術難易度の高い木工加工技術を確立し、暮らしに生きる家具をつくってきた。
戦前・戦時中は軍需工場に指定され、多数の軍需品製造にもあたった同社は、2008年に代表作である「HIROSHIMAアームチェア」を発売。デザインの美しさと機能性を極限まで高めたこの椅子は、現在アップル本社をはじめオーストラリアのホテル「Pier One Sydney Harbour」、コーヒーショップ「Blue Bottle Coffee」など、世界のトップ企業やハイブランドホテルなどで使用されている。平和都市・広島の名を、椅子とともに世界に発信している。
本ツアーでは、広島市郊外の山あいにある本社工場を訪れ、山中武(やまなか・たけし)会長から、戦前戦後のあゆみ、世界を魅了するHIROSHIMAアームチェア、各国の納品事例について話を聞く。その後、HIROSHIMAアームチェアの製造工程を追い、材料、部品加工、組立などの工程を視察する。
【画像提供:株式会社マルニ木工】
(3)おりづるタワー/県内企業
~地元企業、復興と未来への想い~
株式会社広島マツダは1933年に現在の原爆ドームの近くで創業、1945年に原爆により全社員が犠牲になった。車の販売を主業とする同社が取組むおりづるタワーは、2016 年にオープン。平和への想いが積み重なる「おりづるの壁」、原爆ドームや市街を一望できる屋上展望台「ひろしまの丘」など多様な施設が入った複合スペースである。展望台は窓がなくふき抜けになっており、広島の空気や風などをそのまま感じることができる。復興した広島を見てほしいという想いからつくられたおりづるタワーでは、国内だけではなく世界各国から訪れてほしいと願い、17 カ国語のパンフレットを用意している。
本ツアーでは、おりづるタワーの視察に加え、株式会社広島マツダ おりづるタワー事務局から、建設の背景や想いについて話を聞く。そして、G7サミットに合わせて広島を地元とする企業26社が戦後復興の軌跡や輝く今の姿を紹介する展示会(「Pride of Hiroshima(プライド・オブ・広島)展」)が広島市内で5月18日から6月4日まで開催されるが、展示会に参画するマツダ株式会社などから、戦後復興の取組みについて話を聞く。
【画像提供:おりづるタワー】
(4)元祖へんくつや総本店
~戦後の広島を支えたお好み焼きの味~
原爆が投下され焼け野原となった広島では、戦後の食糧難のなか、市中心部などで即席の屋台において、配給物資のメリケン粉(小麦粉)を使った生地に野菜をのせ、半分に折ったお好み焼きが作られるようになった。人々の生計を支え、おなかを満たしたお好み焼きは「復興のシンボル」とされ、今も広島のソウルフードとして愛されている。元祖へんくつやは、戦後、お好み焼き等の屋台が集まっていた新天地広場で1947年に開業し、今なお、広場の隣に位置する、老舗お好み焼き店である。
本ツアーでは、歴史あるお好み焼きを昼食として味わうとともに、三代目店長の沖中幸夫(おきなか・さちお)氏から、義祖母から伝え聞いた元祖へんくつやの歩みについて話を聞く。
2. 想いを継承する若者たち
(1) 崇徳高等学校 新聞部
~独自の視点と若い熱意でヒロシマを発信~
原爆投下から4年後の1949年に創部した崇徳高校・新聞部は、部員数150人を超える全国有数の新聞部。平和や社会、スポーツなど幅広い分野を主体的に取材し、2年連続で全国高等学校総合文化祭の新聞部門で最優秀賞を受賞するなど、多くのメディアにも取り上げられる注目の存在である。
毎年8月6日へ向けての特集号で平和を訴える紙面を作り続けている新聞部は、今年「G7広島サミット取材特別編成班」を結成し、県内メディアとともにG7広島サミット取材を行うことを目標に、日々様々な活動を重ねている。
本ツアーでは、顧問の花岡健吾(はなおか・けんご)先生から新聞部について説明を受けた後、新聞部で「平和問題担当班」や「G7広島サミット取材特別編成班」に所属する生徒の皆さんから現在の取組みについて紹介いただく。どのような視点で平和や G7 サミットを取材し、発信しているかについて話を聞き、交流する。
【画像提供:崇徳高等学校 新聞部】
~被爆の実相を後世に伝える原爆の絵~
広島平和記念資料館の「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトは、原爆被害の実相と被爆体験を後世に継承していくため、2004年度から取り組まれている。基町高校の生徒たちは毎年、自らの被爆体験を語る広島平和記念資料館の「被爆体験証言者」と何度も一対一での対話を行いながら、約1年かけて、証言者の記憶に残る被爆時の光景を描きあげるとともに、その悲惨な体験を再現する活動を通してその経験を追体験する。
この「原爆の絵」は完成後、広島平和記念資料館に寄贈され、以後証言者が人々に向けて被爆体験を話す際に、当時の状況をより理解してもらうために活用されている。
本ツアーでは、生徒の皆さんから「次世代と描く 原爆の絵」プロジェクトについて説明を受けるとともに、実際の絵を見ながら、2022年の作品及び現在制作中の作品について、それぞれの制作者から話を聞く。
3. 被爆の実相と平和への想い
(1)広島市長インタビュー
被爆地の首長として被爆地から核兵器廃絶を訴えている広島市長は、G7サミットの広島開催について「ウクライナ情勢が緊迫化し、核兵器使用のリスクが懸念され、人類存続の危機に陥りかねない情勢にある中、この広島の地で、核保有国を含む主要国の首脳が集い、対話する意義は極めて大きい」と歓迎する。
本ツアーでは、ウクライナ情勢に対する被爆地広島の受け止めや、5月に広島でG7サミットが開催されることへの期待や準備状況などについて、市長の見解を聞く。
(2)被爆者インタビュー
被爆者の高齢化が進み、被爆者が経験した心身の苦痛や、核の惨禍を二度と繰り返してはならないというメッセージを直接聞くことができる時間は、残り少なくなってきている。被爆者たちは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により被爆証言活動が制約される中でも、自身の被爆体験や平和への想いを伝え続けている。
本ツアーでは、被爆体験証言者の河野キヨ美(こうの・きよみ)氏から、被爆当時の様子や、今、世界や若い世代に伝えたい核兵器廃絶と平和への想いを聞く。
(3)広島平和記念資料館
広島平和記念資料館は、被爆者の遺品や被爆の惨状を示す写真や資料を収集・展示するとともに、広島の被爆前後の歩みや核時代の状況などについて紹介している。本館の展示は「被爆の実相」をテーマに、1945年8月6日、広島で何が起こったのかを紹介し、被爆者や遺族の今日までの苦しみや悲しみなどを伝えている。東館の展示は、被爆前後の広島の市街地映像を立体模型に投影した「ホワイトパノラマ」のほか、核兵器をめぐる国際情勢、広島の戦後復興の解説などからなり、被爆者証言ビデオコーナーも設置している。
本ツアーでは、広島平和記念資料館職員による概要説明の後、自由に館内を視察する。
4. G7サミット会場、グランドプリンスホテル広島
G7サミットの会場となるグランドプリンスホテル広島は瀬戸内海に面し、広島市中心部から7kmと近い、南区の宇品(うじな)島にある。同ホテルは、2016年の伊勢志摩サミットに先立つG7外相会合の舞台にもなった。
本ツアーでは、グランドプリンスホテル広島に宿泊する。
【実施要領】
1.日程
2023年4月25日(火)~26日(水)
2.スケジュール
【4月25日(火)】
8:20-9:50 羽田空港-広島空港(ANA673)
11:10-12:10 おりづるタワー/県内企業
12:30-13:50 元祖へんくつや総本店(昼食含む)
14:10-15:40 被爆者インタビュー
16:10-17:00 広島市長インタビュー
17:10-18:00 広島平和記念資料館
18:30 グランドプリンスホテル広島(宿泊)
【4月26日(水)】
7:55 宿舎発
8:30-10:30 広島電鉄株式会社
11:30-12:20 昼食
12:50-14:30 株式会社マルニ木工
15:30-16:50 崇徳高等学校 新聞部
17:10-18:10 広島市立基町高等学校 創造表現コース
20:25-21:40 広島空港-羽田空港(JAL266)
3.参加資格
原則として、外務省発行外国記者登録証保持者
4.参加費用
18,000円
(全行程交通費、宿泊費(1泊朝食)、昼食(1、2日目)を含む)
5.募集人数
10名(各社ペン又はカメラ1名、TVは1社2名まで)
※定員を超えた場合は主催者側で調整することがあります。
6.FPCJ担当
取材協力課 林、高橋
(Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)
7.備考
(1)本ツアーは広島サミット県民会議が主催し、外務省が共催、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が運営を担当しています。
(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。
(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
(4)本ツアー中に発生した事故や怪我・病気、トラブル等について、広島サミット県民会議、外務省及びFPCJは一切の責任を負いかねます。参加者は個人の判断・責任において、必要に応じ旅行傷害保険等に加入して下さい。
(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。
(6)ツアーの様子を記録した動画・写真・記事を、広島サミット県民会議、外務省やFPCJのホームページやSNS等に掲載することがありますので、予めご了承ください。