実施日 : 2013年10月17日 - 18日
報告:北九州プレスツアー 「アジア初のグリーン成長モデル都市」
投稿日 : 2013年10月31日
北九州市、OECD東京センター、フォーリン・プレスセンターの共催で、北九州市へのプレスツアーを実施しました。本プレスツアーには、米、中国、ドイツ、イタリア、スイス、アラブの7か国/地域から10名の記者が参加しました。(ツアー案内はこちら)
(1) ホンダ燃料電池車クラリティ
ツアーの初めに、記者団はホンダの燃料電池車クラリティを取材。燃料自動車の基本的な仕組みの説明の後、CO2排出ゼロカーとしての環境への貢献はもちろん、電気自動車などと比べエネルギーロスの少ない燃料電池車の優位性についてお話を聞きました。またトランクに積んだインバータに繋がれたマシンで入れたコーヒーが記者に振る舞われ、車で貯めた電気を外部電力源として活用するデモンストレーションが行われました。記者からは一般の市場に参入する具体的な時期や価格、燃料電池車を被災地への非常用電源としての利用する可能性について質問が挙がりました。
(2)東田地区スマートコミュニティ
続いて記者団は、様々なエネルギー実証実験が行われている東田地区を訪問。水素ステーションや、クラリティで貯めた電気を住宅に給電できるエコハウスの視察を行いました。「車一台に満タンの水素を貯めれば、一般家庭のおよそ6日分の使用電力を供給できる」という説明に、どの記者も驚きを隠せない様子でメモを取っていました。また電気を作る側と使う側が情報をシェアし節電に取り組むダイナミックプライシングや、製鉄所で発生する水素を地域の施設に提供する世界初の取り組みを取材。北九州市環境ミュージアムでガイドを務める向井候太氏は、「この水素プログラムは、製鉄所が多くインフラも整った北九州市だからこそ効率良く運用できる。他の場所では、きっとそれぞれ地域の特徴に適した環境対策の方法があるはず」と、地域の環境対策における多様性の大切さを指摘しました。
(3)次世代エネルギーパーク
プレスツアー2日目、記者団は多様なエネルギー関連施設が集まるエ次世代エネルギーパークを訪問。冒頭、北九州市エネルギー戦略担当課長の平石順一氏より、東日本震災後の市のエネルギー事情や今後のビジョンについて説明があり、その後洋上風力発電所やメガソーラーなどを視察しました。記者からは、「工業都市としての発展と環境モデル都市への取り組みをどう両立するのか」「安い電力供給とグリーンエネルギーの推進では矛盾が生じるのでは」など、北九州市が抱える課題について質問が集中しました。また風力発電を目の前にした記者たちは、巨大な風車をどうにかフレームに収めようと工夫を凝らして撮影に臨みました。
(4)TOTO株式会社
続いて最新の節水技術を提供続けるトイレメーカーTOTOを訪問。普段なかなか目にすることのないトイレの製造現場に、どのメディアも興奮気味に撮影にあたりました。赤坂雅永広報部長より「地産地消」の考えに根ざした経営方法や、まだ市場が確立していない新興国への積極的なビジネス展開についてお話を聞き、欧州の参加記者からは、「ヨーロッパにも日本の清潔なトイレを広めてほしい」という声が上がりました。
(5)OECDグリーンシティ・プログラム北九州レポート記念会議
ツアーの最後に、記者団はOECDグリーンシティ・プログラム北九州レポート発表記念会議に出席。また北橋健治北九州市長及びOECD行政管理・地域開発局長ロルフ・アルター氏による記者会見に参加しました。北九州市をグリーン成長モデル都市に選んだ理由について、アルタ―局長は「北九州市の持つ公害問題の歴史は、今まさに産業を発展させているアジア地域に共通する点が多い。また同じ工業都市でありながらグリーンプロジェクトを進める市の取り組みは、これらの新興国にとって実現可能なモデルになり得る」と述べ、官民が協力して低炭素社会を目指す取り組みを高く評価しました。また中国記者からの「グリーン都市の市長として、中国政府に対して何かアドバイスは」という問いに対し、北橋市長は市が大連市と共同で行った環境改善事業を紹介し、「北九州市の歴史を見れば、環境と経済が両立できるという事実が見えてくる」と述べ、これからも中国と協力して環境対策を行っていきたいとの抱負を述べました。