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自分の命は自分で守れ!~震災から4年、小・中学校で「ジュニア防災検定」広がる~ 

投稿日 : 2015年02月25日

 

【防災教育】 東日本大震災から4年

~小・中学生をターゲットにした「ジュニア防災検定」 日本の学校で広がる~

 

<話題のポイント>

● 日本の小・中学校で、子供が自分の命を自分で守る力を育てる「ジュニア防災検定(JBK)」の導入が広がっている。検定料を予算化する自治体も増えている。

● 広がりの背景には、東日本大震災のときに起きた、ある小学校の「悲劇」と、ある自治体の防災教育が実を結んだ「奇跡」の2つの教訓がある。

● 検定を実施する団体は、「子供の防災意識が変われば、子供の命を守るだけでなく、大人や、地域全体が変わる可能性もある」として、今後も参加学校を増やしたいとしている。

 

<本文>

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日本の学校で、民間団体が小・中学生向けに実施する「ジュニア防災検定(JBK)」の導入が広がっている。東日本大震災で犠牲になった約1万9千人の死者・行方不明者のなかには、学校にいて親と離れていた子供も多く含まれ、震災の教訓として、自分の命を自分で守る力をつける狙いだ。

【写真:港区立赤坂中学校での筆記テストの様子】 

 

 

 

 

???????????????????????????????????????????????????????????????東京都港区立赤坂中学では、2月上旬に1年生約25人がJBKの筆記テストを受検した。テストの目的は、災害の時に自分で判断して行動する力を付けること。地震や津波が起きた時の正しい避難方法、避難所生活で自分が協力できる事などが問われる。検定は、①災害時の家族の集合場所などについてのレポート(事前課題)、②筆記テスト(約70分)、③地域の防災マップやポスター作り(事後課題)-の3ステップ。事前や事後の課題を通じて、家庭や地域の防災についても考えさせる。

【写真:子供たちが、事後課題で作成した地域のハザードマップ】

 

 

JBKバッチ(金銀銅)JBKを実施する民間団体「防災検定協会」の濱口和久事務局長は、「子供たちに、防災を『難しい』と感じさせないための工夫をしている」と話す。協会が課題やテストを採点・評価し、合計70点以上で合格するとピカピカのバッジがもらえる。 

【写真:合格者がもらえるバッジ。検定のレベルは、学年によって初級・中級・上級の3段階に分かれる。】

 

 

 

JBKは、東日本大震災後の2013年12月にスタート。個人で受検する一般受検と、学校や自治体ごとの団体受検がある。2013年度は全国で2千人、2014年度は4千人が受検。2015年度は約1万人の受験を見込む。検定料(2~3千円)を予算化し、希望校やモデル校の受検を支援する自治体も2年間で約3倍に増えた。開始2年目の検定としては異例という文部科学省の後援も受け、教育現場でのニーズが確実に広がっている。

 

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【写真:事後課題では、壁新聞やポスターなど、工夫をこらした作品が提出される】

 

 

~「悲劇」と「奇跡」から学べ~

 

なぜニーズが広がっているのか。背景に、東日本大震災で明暗を分けた2つのストーリーがある。宮城県石巻市立大川小学校の「悲劇」と、岩手県釜石市の「奇跡」だ。大川小学校では、逃げ遅れた子供たちが津波にのまれ、全校児童の約7割にあたる74名が死亡・行方不明となった。一方、釜石市内の小・中学校では、日ごろから津波のメカニズムなどを学ぶ防災教育に取り組んでおり、子供たち自身がいち早く高台へ逃げる判断をした結果、ほぼ全員の小・中学生が助かった。

 

日本の学校では昔から防災訓練が行われている。しかし、校庭に出て集合するなど画一的な訓練になりがちで、東日本大震災に必ずしも子供の命を守ることにつながらなかった。また、日本では1995年に6000人以上が亡くなる阪神淡路大震災が発生したが、登校時間前であり、学校での悲劇や奇跡はおきなかった。濱口氏は、「東日本大震災の後、学校は何か新しい防災教育をしなくてはと危機感を持っている。しかし、防災の専門家は学校にはおらず、授業時間も限られている」と現場の苦悩を語る。JBKは、民間ならではの専門性と、教員の負担を最小限にできる点が支持を広げているといえる。赤坂中学の村石智恵子副校長は、「子供たちに考えさせる内容で、家庭を巻き込めるのもよい。教員も学ぶことができる」と評価する。

 

試験を終えた男子生徒に、災害が起きたらどう行動したいかを尋ねた。すると、「自分の命は自分で守る。それが基本なので。家族とも地震がおきたらどうするかという話はしています」と、当然のように答えた。また、濱口氏によると、別の学校でJBKを受検した小学生が転校し、転校先の自治体の防災意識が低いと行政に指摘した例もあるという。濱口氏は、「子供の防災意識が変われば、子供の命を守るだけでなく、大人や、地域全体が変わる可能性もある」と期待を寄せる。震災から間もなく4年となる日本では、教訓を次の災害に生かすための努力がおこなわれている。

 

(Copyright 2014 Foreign Press Center/Japan)

※  本原稿に関する取材を希望の海外メディアはFPCJにご連絡ください

 

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※釜石市の防災教育については、群馬大学広域首都圏防災センターのホームページで詳細をご覧いただけます。

http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02.html (日本語のみ)

 

※  こんな話題もあります!「防災教育」に関連するその他の注目トピックス

-    東日本大震災で188人が死亡した宮城県多賀城市にある県立多賀城高校で、災害科学科の設置準備が進んでいる。防災について学ぶことに重点を置く高校の学科は、阪神・淡路大震災の後に兵庫県立舞子高校に設置された環境防災科に続き、全国で2例目。2016年4月の開設を目指している。

 

-    東北大学では、「グローバル安全学トップリーダ育成プログラム」の学生らが、『減災アクションカードゲーム』の作成を進めている。災害時の行動について楽しみながら考える内容。今年3月の国連防災世界会議までに完成する予定で、学生らは『世界に通用するゲームにしたい』としている。

 

 

 

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