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木質バイオマス発電:被災地のがれきを減らし電力不足も解消(2011年9月1日)

投稿日 : 2011年09月01日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.4/FPCJ】

2011年9月1日

 

 

木質バイオマス発電:被災地のがれきを減らし電力不足も解消

 

東日本大震災以降、日本では被災地のがれき処理と電力不足への対応が課題となっています。そのような中、「木質バイオマス発電」が脚光を浴びています。

 

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「木質バイオマス発電」とは、木くずや建築廃材などをリサイクルした木材チップを利用した発電方式。日本では環境意識の高まりと共に広まり、現在全国には木質バイオマス発電所が約50か所あります。しかしこれまで、本格的な普及には木質バイオマスの安定供給が課題とされてきました。

 

政府の試算では、今回の震災により被災地全体では約2500万トンものがれきが発生し、その多くは木質廃棄物と見られています。一方、福島第一原発事故の影響により、東京電力や東北電力の管内では電力の確保に向けた努力が続いており、がれきを燃やすことで発電できる木質バイオマス発電は、「一石二鳥」の切り札と言えます。

 

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ここでご紹介するのは、茨城県でがれきの処理とそれを利用した発電に取り組んでいる、勝田環境グループ(ひたちなか市)です。

 

グループの中心は廃棄物処理を専門とする勝田環境(株)で、同じ敷地内にはグループ会社(株)バイオパワー勝田の木質バイオマス発電所が立地しています。従来は、勝田環境が周辺地域から収集した建築廃材や剪定枝葉などを発電燃料用木材チップにリサイクルし、バイオパワー勝田に供給。同社がこれを利用して発電、大手商社に売電していました。

 

しかし、東日本大震災は茨城県にも大きな被害を与え、沿岸部を中心に大量のがれきが発生しました。勝田環境は、近隣の被災自治体の要請により、家屋廃材、木製家具などの木質がれきを受け入れることを決断。ひたちなか市や近隣市町村を皮切りに県内の被災地からがれきを受け入れ、破砕処理を実施。日量150トンのチップを燃料としてバイオパワー勝田に供給しています。

 

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バイオパワー勝田の発電電力量は、日量150トンのチップを使用し、4,900KW/h。このうち、自己消費電力を除いた4,100KW/hが販売されています。これは、一般家庭約1万世帯分の使用量に相当する電力量で、商社を経由して関東エリアの電力不足の解消に役立っています。

 

勝田環境の担当者は、「現在のところ県内のがれきの処理だけで手一杯の状況。がれきに含まれる塩分が発電所のボイラーに与える影響など課題も多い」としながらも、「今後、東北各県のがれきを受け入れて行くことについても検討している」と話しています。

 

写真提供:勝田環境株式会社

 

(Copyright 2011 Foreign Press Center/Japan)

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