実施日 : 2011年05月17日
報告(プレス・ブリーフィング):日本の水産業復興への道筋(2011年5月17日)
投稿日 : 2013年08月22日
被災地岩手県陸前高田市のご出身で、水産行政に携わった経験を活かし日本の水産業の課題解決に取り組んで来られた小松正之・政策研究大学院大学教授をお招きし、水産業の復興への道筋についてお話しいただきました。参加者は、外国プレス9名を含む計27名でした。
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小松教授は冒頭、東北地方の主要漁港である宮城県石巻市、気仙沼市、先生の故郷でもある陸前高田市等の写真を紹介しながら、今回の震災が東北各地の水産インフラに与えた被害の大きさを紹介しました。
その上で、「漁船29000隻の約6割が全壊または一部破損するなど、東北地方の漁業は壊滅的な被害を受けた」、「東北地方は日本の漁業生産量の約15%を占める主要生産地だが、生産量は地震・津波の発生以前から最盛期の5分の1の60万トンに減少しており、漁業就業者数も年々減少、高齢化が進み、後継者がいる割合も全体の4分の1に過ぎなかった。単に元に戻すだけの復旧では、東北の漁業はこの震災を契機に更に衰退が促進されよう。震災と津波を契機に抜本的な対策を取ることが必要だ」、「中長期的には、地域の拠点となる水産都市を指定し、それらに近隣市町村をリンクさせ一体として復興整備することを検討すべきだ。最盛期の半分以下になっている現在の漁獲量を念頭に、各漁港・港湾、産地市場等の適正規模化を図る必要がある。加工団地についても、適正な規模の、質の高い工場を作るべきだ」、「現在の漁業法は『漁業権』を漁協組合員に優先的に与えることを定めており、外部の労働力や企業の漁業への新規参入を阻んでいる。今回の震災と津波では、小規模な漁村も壊滅的な被害を受けた。これを契機に、漁業者以外の加工業者などの地域住民や全国の企業等が水産業に参入できるようにし、民間からの投資も誘発していくことが必要だ」などの主旨を述べました。