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日本の皇室の行方 | 公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)

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日本の皇室の行方

投稿日 : 2017年07月13日

日本の皇室の行方

 

 

■御厨 貴  天皇退位に関する有識者会議前座長代理、

       東京大学名誉教授


 「『天皇退位』有識者会議の内実」 文藝春秋7月号

 「『皇室』対『官邸』という不毛な対立構図を撃つ」

                                                    中央公論7月号

 

 

天皇退位に関する有識者会議前座長代理の御厨貴・東京大学名誉教授は、「文藝春秋」で、6月9日に国会で成立した天皇陛下の退位を実現する皇室典範の特例法について、「天皇のお言葉を聞いて、それに賛成する9割の国民の気持ちに寄り添うことによって誕生したという建付けになっています」と述べ、日本の国民世論に支持された特例法であると強調した。

 

御厨氏はまた、天皇陛下の「定年制」問題が同会議で議論されたが、皇室の不安定化につながりかねないとの理由で採用されなかったと説明。一代限りの特例法は‟邪道だとの外部からの批判についても「一度、法律となれば、先例として踏襲され、さらに積み重ねることで慣習法のような形になる。一代限りの特例法と制度化は対立するものではない」と論じた。

 

御厨氏は差し迫った問題である「皇族減少」問題について、安倍政権に対し「皇室典範の改正をぜひ進めて欲しい」と速やかな対応を要望するとともに、「おそらく皇室の問題は、リベラルな政治家より保守的な政治家の方が改革はやりやすいでしょう」と付言した。

 

一方、御厨氏は「中央公論」の論文で、秋篠宮家の長女眞子様の婚約が突然メディアに報じられたこと等について、「皇室、宮内庁、官邸に一定程度の安定的な信頼関係があれば、ことは円満に調整され、官邸から発表があってしかるべき事柄も少なくなかった」としつつも、「皇族とは思えない極めて現代的な結婚」とし、「現皇后陛下ご成婚から60年弱を経て皇室からすべての垣根が取り払われ、民主主義下の新しい皇室のあり方が定着した」と、驚きと喜びを表した。

 

また皇族減少問題について御厨氏は、「憲法がありながら、天皇陛下が不在になるという異常事態がそろそろ現実シナリオとしてあり得ることを考えた方がいい」と懸念を表明しながらも、「保守本流を自認する安倍首相だからこそ、(女性宮家創設の賛否をめぐる)左右の議論を調整し、結節点を見つけられる可能性も高い。今こそ改革のチャンス」と示唆した。

 

 

■【鼎談】

ノンフィクション作家 保阪正康氏 x 所功 京都産業大名誉教授 x ジャーナリスト 岩井克己氏

 

「眞子さま降嫁で皇族が消える日」文藝春秋7月号

 


ノンフィクション作家の保阪正康氏は、「文藝春秋」における所功・京都産業大名誉教授とジャーナリストの岩井克己氏との鼎談で、天皇陛下の退位のご意向は、「国民の大多数が了解している象徴天皇の枠組みの中で、これからどのような制度をつくり得るのだろうか」という問い掛けをされたものだとの認識を示した。その上で保阪氏は皇室のあり方について、「その時代の国民なり政権担当者が、天皇に対してどういう答案を書くかによって変わってくる。皇族数減少も含め、いま私たちがその答案を書く気構えがあるか試されている」と述べた。

 

所氏は、天皇陛下の皇位継承と皇族減少問題は「きちんと分けて考える」ことが筋論だとする。しかし、皇族減少問題は「先延ばしすれば手遅れになりかねない」として、政府や与野党は皇族女性が一般男性と結婚しても「皇族身分にとどまれる」ようにするための対策を、早急に検討するよう求めた。                               

 

 

●関連記事(日本の主要全国紙5紙『朝日、産経、日経、毎日、読売』の社説論調):

      「天皇陛下の退位を実現する皇室典範の特例法」成立について


 

写真:代表撮影/AP/アフロ


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