実施日 : 2008年07月23日
【プレスツアー】7月23日:「日本原子力研究開発機構(JAEA)」プレスツアー
投稿日 : 2013年08月23日
~世界最先端の大強度陽子加速器施設「J-PARC」 と 国際熱核融合実験炉(ITER)サテライト施設「JT-60」~
原子力発祥の地・東海村(茨城県)で、今年12月、世界最先端の研究施設「J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex)」が動き出す。1億分の1センチメートルという極微の世界を知ることで、ガンやエイズなどの難病治療薬、燃料電池向けの材料開発など、ノーベル賞級の研究成果が期待されている。
また、隣接する那珂市の那珂核融合研究所にある、臨界プラズマ試験装置「JT-60」。国際熱核融合実験炉(ITER)の建設がフランス南部のカダラッシュに決定したのに伴い、2017年頃から稼働する予定のITERのサテライト施設として活用するため、今年9月以降、日・EU共同で7年をかけて超伝導化などの大規模改造工事を行う。
ツアーでは、JAEA東海研究開発センターで、J-PARCの主要施設を取材するとともに、那珂核融合研究所でJT-60の視察を通して、核融合研究の最前線とITER計画における日本の役割について取材する。
******************************************************
日本で初めて原子の火がともって半世紀が経過した。原子力発祥の地・東海村(茨城県)で、今年12月、世界最先端の研究施設「J-PARC (Japan Proton Accelerator Research Complex)」が動き出す。日本原子力研究開発機構(JAEA)が高エネルギー加速器研究機構と共同で建設を進めているもので、光速とほぼ同じ速度(1秒間に地球7周半)まで陽子のスピードを上げて金属などの標的に衝突させ、中性子を含むさまざまな粒子を発生させることで、これまで見ることのできなかった物質の構造を観察することができる。1億分の1センチメートルという極微の世界を知ることで、ガンやエイズなどの難病治療薬、燃料電池向けの材料開発など、ノーベル賞級の研究成果が期待されている。
また、隣接する那珂市の那珂核融合研究所にある、臨界プラズマ試験装置「JT-60」。国際熱核融合実験炉(ITER)の建設がフランス南部のカダラッシュに決定したのに伴い、2017年頃から稼働する予定のITERのサテライト施設として活用するため、今年9月以降、日・EU共同で7年をかけて超伝導化などの大規模改造工事を行う。世界最高のプラズマイオン温度である5.2億度の達成など、世界の核融合研究をリードしてきたJT-60が、ITERと連携しながら夢の核融合発電の実現に向けて、新たな一歩を踏み出す。
ツアーでは、JAEA東海研究開発センターで、供用開始を数ヵ月後に控えたJ-PARCの主要施設を取材するとともに、研究者などとの懇談を通じて、J-PARCが切り開く未来のテクノロジーを探る。また、併せて那珂核融合研究所を訪問、JT-60の視察を通して、核融合研究の最前線とITER計画における日本の役割について取材する。
※今回のツアーでは原子力関連施設への立ち入りが含まれるため、ご参加頂く方には、関連法規に基づいて、別途JAEA宛ての申請書をご提出頂きます(申請書は参加が確認された方にお送りします)。また、手続きの都合上、核拡散防止条約(NPT)非加盟国等(インド・パキスタン・イスラエル・イラン・北朝鮮等)の国籍の方は、今回のツアーには参加頂けませんので、ご了承下さい。
【取材内容】
12月の供用開始に向けて着々と建設が進むJ-PARCは、大強度陽子ビームを作り出す加速器と、二次粒子を利用して研究を行う実験施設から成る。加速器は、全長330メートルの直線型の加速器「リニアック」、1周350メートルの「3GeVシンクロトロン」、そして1周1600メートルの「50GeVシンクロトロン」が既に完成。5月末までに、これらの加速器を使って陽子を加速させる性能テストも無事成功した。
一方、加速器により光と同じ速度まで加速された陽子を金属などの標的の原子核に衝突させることで、中性子を含む二次粒子を発生させて、エックス線でも解明できなかった原子などの極微世界を観察する実験施設の建設も進む。完成間近なのが物質・生命科学実験施設で、中性子やミュオンを利用して、新薬開発などのライフサイエンス分野やナノテクノロジー、燃料電池に不可欠な水素吸蔵合金の開発などエネルギー・環境分野などで画期的な成果が期待されている。国内の研究機関や大学、茨城県などが独自の実験施設を建設しているほか、台湾や韓国からも施設利用の提案があり、アジアを中心とした世界に開かれた研究拠点を目指している。
また、中間子やニュートリノを利用して、宇宙誕生の起源を探るハドロン実験施設やニュートリノ実験施設の建設も進んでいる。ニュートリノ実験施設からは、295キロ離れた岐阜県飛騨市のスーパーカミオカンデまで大量のニュートリノを送ることが可能となり、小柴昌俊東京大学名誉教授のノーベル物理学賞受賞で知られるニュートリノ研究における飛躍的な進展が期待されている。世界的にも貴重な研究施設となることから、12カ国400人程度の研究者が集結、うち300人は外国人研究者の見通しで、国際的な研究拠点として注目される。
中性子を利用した類似の施設は、米国(SNS)と英国(ISIS)にもあるが、中性子に加えて、ニュートリノや中間子などの研究施設を併設しているのは世界唯一だ。
日本・EU・ロシア・米国・韓国・中国・インドが参加し、人類初の核融合実験炉の実現を目指した国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクトが動き出した。建設地は、日本とEUの間で激しい誘致合戦が展開され、2005年6月、青森県六ケ所村をおさえてフランス南部のカダラッシュが選ばれた。2006年11月には、6カ国とEUがITERの計画実現のための協定に調印(2007年10月発効)、計画は本格的に動き出した。JAEAは、ITER計画における日本の国内機関として指定され、ITER協定で決められた日本が製作を分担する機器の製作とITER機構への人的貢献の窓口となる。
「地上に太陽を作る」という壮大な構想の下、JAEA那珂核融合研究所で1985年に運転を開始した臨界プラズマ試験装置「JT-60」。1996年には、5.2億度という超高温プラズマの生成に成功、人類が創出した世界最高温度としてギネスブックにも登録されるなど、世界の核融合研究開発をリードしてきた。今年8月末で、20年以上にわたる研究を一旦停止、今後7年をかけて、超伝導化などの大規模改修工事が行われる。改修後は、EUと協力しつつ、ITERの予備試験などの実施施設として利用され、核融合発電の実証原型炉の建設に向けた研究を続けることになっている。太陽で起きているものと同じ核融合反応によって発電を実現する、夢の新エネルギー開発プロジェクトへの日本の新たな貢献が注目される。
【実施要領】
1. 日程案
07:30 JR上野駅発(フレッシュひたち5号)
09:03 東海駅着
09:20 東海研究開発センター着
09:25-10:15 J-PARC概要説明、質疑応答
10:30-11:15 50GeVシンクロトロン
11:30-12:00 物質・生命科学実験施設
12:10-12:40 ニュートリノ実験施設
12:50-14:10 昼食懇談
14:30 那珂核融合研究所着
14:35-15:20 JT-60概要説明、質疑応答
15:20-15:50 中央制御室視察
16:00-16:40 JT-60視察
16:50 那珂核融合研究所発
17:27 東海駅着
17:35 勝田駅着
17:46 勝田駅発(フレッシュひたち52号)
19:08 上野駅着
2.参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者
3.参加費用:1人5,000円(上野-東海 往復特急乗車券、昼食を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等については参加者に通知します。
4.募集人数:先着順15名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が15名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定
することがあります。
5.FPCJ担当:矢野、小泉(Tel: 03-3501-3405, 5070)
6.備考:写真・TV撮影は担当者の指示に従って下さい。当センターはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。